六壬 0. 歴史
運命学をふくんだ学問分野を中国では五術といいます。
- 命(めい)
- 人の宿命・運命を占う分野
- 卜(ぼく)
- 事柄の吉凶を占う分野
- 相(そう)
- 目に見える(相)を占う分野
- 医(い)
- 中国医学の分野
- 山(ざん)
- 呼吸法どの肉体の修練の分野
命は、紫微斗数や四柱推命などであり、卜は易などの占いです。相は手相や風水が相当します。医はおわかりでしょう。山は仙道の修行とです。
この分類にあるとおり「この事象はうまくいくのか」といった個別の吉凶については、命占はあまり得意ではありません。大きな天地のリズムは伝えてくれども、個別の話は「卜」の範囲です。
さて、東洋の卜占には大別してふたとおりあります。
周易
街中で筮竹を立てて占っている易者さんが使っているものです。
易の占いとしての使い方は二通りあります。ひとつは易本来の陰陽理論のみを利用したものです。易経は周の文王が編纂したといわれてます。このまま易経の解釈を利用する方法を周易といいます。古来、王様が未来を占うため亀甲を焼き、入ったヒビを見て占うところから始まったように、王の占いとでもいうべきものです。儒教の教祖の孔子が易経を「韋編三度絶つ(昔の竹でできた本を束ねていた革ひもが三度も切れた)」ほど読み、十翼といわれる注釈を残しました。このように易は君子(学と徳の高い人)が使う占いの王道といわれており、筮竹を使い、八卦を得、易経に基づき解釈します。
もうひとつあります。中国の大きな思想体系のひとつに五行というものがあります。木火土金水が森羅万象の性質であり、その相生、相剋で事象を捉える方法です。五行理論と陰陽理論を利用する易を断易(だんえき)とか五行易、六爻断易とかいいます。断易では、易経の内容をほとんど使いません。
しかし、周易より個々の状況把握については優れているといわれています。 ちなみに周易以外は、雑占といわれ卑しめられています。
ちなみに、このサイトで紹介している梅花心易は、ずーっと時代を下り、宋の時代に邵庚節が時間から易の卦を取り出す方法を考えたものです。
六壬
六壬は当然、雑占です。六壬神課(りくじんじんげ)とか、大六壬などと呼ばれます。およそ2000年前の唐の時代に中国で成立したのではないかといわれています。占いの道具は使わず、占おうと思った時の月、日干支、時刻を組み合わせて占います。占おうと考えた、占うことになった瞬間(占機といいます。)の時に、そのものごとのすべてが含まれているという考え方です。
中国の古い小説(封神演義など)で仙人が指を折って占う、といってるのは六壬だといわれています。
日本には、すでに飛鳥時代に輸入されていたようですが、正式には609年の百済僧観勒による招来が記録に残っています。
奈良、平安時代の陰陽師にとっては、必修の占術であったようです。陰陽師として有名な安倍晴明は「占事略决」という六壬の解説書を子孫のために残しており、これが唯一、安倍晴明自身が書いたものだろうといわれています。
しかし、現在の六壬はだいぶ変わっています。占いの方式は進化し続けています。日本ではものすごく古い本を金科玉条として、方式を変更するなど思いもよりませんが、中国、台湾、シンガポールなどでは占い師のコミュニティでいろいろと新しい試みが続けられ、進化しています。
六壬は難解ながら、他の占いと大きく異なる点は占い自身が意思を持った答えを返すことが多く、正しい答えであるかどうかも読み取りやすいのです。また、自分と占う対象がはっきりしていること、物事の流れがわかること、いつ起きるかもわかること、などが特徴としてあげられます。 易のように、徳を求めることもありません。 中国では六壬を極めると、世の中でわからないことはなくなるが占者は不幸になるともいわれています