妖怪を退治する人

貴重な証言。データとして保管させていただく。超長文
元 http://blog.livedoor.jp/worldfusigi/archives/6972808.html

Q.今まで退治した中で一番可愛かった妖怪は?
A. あんまりかわいいやつないんだけど、強いて言うなら、通称大平原なまけものってやつ。
なまけものににてるんだけど、あんまり正式名称きいたことない。
爪がめっちゃとがってて、家畜とか襲ったりする

Q. スペック
A. まだ駆け出しで、いま22歳

身長174
流派は一応「搬山」ってやつ
顔はイケメンだと支障が出るから、ブサ面よりのふつめん
童貞。これもそっちのほうがつごうがいいから
中卒だよ。
うちの実家田舎だったんだけど。
小さい頃、一回変なのに憑かれて、退治しに来たのが俺の先生にあたる人。
うちの家族ほとんど死んじまったから、先生に引き取られて今に至る
先生は京都大学の文学部の考古学専門だったらしいけど

Q.給料は誰がくれるの?
A.たまにお寺とか神社とかからい依頼来て。
それで見積もって、お金もらってる。
まぁ、大体一回くらいで100~300万。やばい山なら1000万↑はいくね。
でも、そういうのって基本2,3ヶ月くらいに一回しか来ない
ちなみにお札とかなんだけど自分たちで作ってるわけじゃなくて、徳の高い偉い人にお願いしてる。
めっちゃたかい。

Q.どうやって退治するの
A.ほとんど山勘といっていいほどのもの。
妖怪って本当はあんまり河童とか、天狗とかみたいにカテゴリされてなくて
全員が全員ちがうものなの。
だから、その場に合わせて対策考える。
うちの流派はどっちかというと結構無理やりに解決するのが多いかな。
他とかだと風水とか陣とかやるとこもあるけどね。
例えばこの前の先生のした仕事で、わるい座敷わらしみたいなやつ退治したんだけど。
お札ぺたぺた貼って普通に家燃やしてたww
まぁ、効果は早い分乱暴なんだよ

Q.本当にそんな職業があるんだ
A.正直あんまりお勧めしない。
妖怪の漫画とかだと結構そういうのとは交流できたりするけど、実際そんなことはない。
ほとんど自分の寿命をお金を交換してるようなもの

Q.妖怪ってどこにいるの?
A.表現しずらいけどそういう場所(京都、出雲、遠野)にいるのは昔、時の天皇がちゃんと陰陽師とか通して契約したやつだと思う。
外国とかだとよく王朝が変わったりするけど、日本はほとんどずっと天皇家なのはそのため。
天皇の権威がないとかなりヤバいことになるらしい。
実際、仕事するときは、天皇の写真もってるwww
他にもいろんな場所にもいるよ。大抵そういうはぐれメタルみたいなやつが危険

Q.妖怪って敵だらけなの?
A.敵だらけっていうか、たぶんやつら敵って概念ないのかも
悪いやつは害虫みたいなやつでただそこにいて悪さをするw
悪意とか感じたりするかもだけど、それはあくまで習性の一環。
昔だと式神様とかそんな感じのやつに手助けしてもらっていたらしいけど、最近はそういうのができなくなってる。
一番大きな原因が、天皇家が契約の更新みたいなのをしていないから っていうかできなくなった。
結構戦争でいっぱい人死んで、そういう分化が途切れちゃったんだろうね

Q.陰陽師とは違うの?
A.陰陽師とはちょっとちがうかも。
そっち系の流派の人はちゃんと理屈があって、こうしたら、こうなるから、こうするべき的なものがある。
でもうちはもっと乱暴で、ただ、今までの経験でこうすればよくなるよ!確信はないけど!
みたいな感じ

Q.神社と妖怪って関係ある?
A.神社は関係しているところは関係しているよ。
お稲荷様だけど、ウィキペディアに結構詳しく書いて合うよw
びっくりするほどね。
それ関係で思い出したんだけど、九尾のキツネいるじゃん。あれって悪いきつねの代表格みたいなもんだけど
描写を見る限り、どうしてもいいきつねのはずなんだよなぁ…

Q.どうやって生活してるの?
A.仕事柄結構質素な生活をおくってるかな。
愛用品とかもっちゃいけないから、漫画とか本とか買ってもすぐ売るし、パソコンつかってるけどいつもすぐに変えてる
携帯もなるべく安いやつで、交代交代に使ってる

Q.人間じゃない相棒はいないの?
A.いないw
俺友達あんまいないから、動物飼いたいんだけど。先生に危ないからやめておけっていわれた。
動物に憑いて、害を持ってくる可能性もあるかららしい。
あと愛用品とかもなるべく少なくしてる

Q.普段から気をつけた方がいいことってある?
A.夜に水を飲むときとかは、コップにもともとはいってたやつを飲まないほうがいいかも
新しく水道でくんできな。
あとは色々あるけど、一番気をつけないといけないのは夜道をで歩かなとか

Q.式神
A.式神とかを今実際に使える人はいないと思う。

表現しずらい点が多くて、俺も理解できてない部分も多いけど
とりあえず先生に聞かされたこと

なぜ使えないかというと、現代日本に住む人間なら無理な可能性が高いからだ。

入道とか道行うんぬんって話覚えているよね。
道行ってのはそのまま道を行くって感じで理解していいと思う。
つまり、実際に道を行って、その体感とか、世界に対する理解とか
そういう口では説明できないものを実感して、そして入道に至るみたいな感じかな?

しかし、その入道を一番邪魔をするもの。それは何かというと文字なんだ。
まぁ、あと言葉もそうかな?
すごい抽象的で申し訳ないんだけど
例えば「一」って漢字があるじゃん。
これは一を表現していて、これをみると「あ、一だ。」
みたいな感じになるんだけど。実際の「いち」って概念はこんな「一」という
文字では表せない。一個とか、一枚とかいろいろあるんだけど

でも、俺たちがその一という字を知ってしって。
そうすると、俺たちは一という言葉というかそういうもので自分の見解を縛ってしまって本当の意味で「いち」を理解することを阻害してしまう。

昔の力持ちたい人とかは、小さいころから決して文字の勉強はしなかったとか。

だから、動物がなぜ比較的入道しやすいかというと、やつらは言葉も文字もなくて、じぶんのそういう見解に縛りがなくてそれで道行をつみやすくなっているらしい。

もちろん、言葉や文字によって逆に概念を縛って、それでよりコントロールしやすくするという観点からもこういうのをみることもできるけど少なくても道行をつむという観点からしては、これは人間が他の生物と比べて大きなハンデを被っているんだ。

だから、こういう不思議系の修行法とかはあまり本とかには載っていない。
本で文字にしてしまうと、その修行法とかに対する見解を縛ってしまって結局修業できなくなるから。
ほら、例えば同じ文章でも、たくさんの解釈とか持てたりするじゃん?
そのため、口伝いが基本になるんだけど。
戦争のために、日本はたくさんのものを失った。

現代日本社会になると、たぶんも文字や文献ばっかでそういうものを使えようとして使おうとしても、「見解」が狭まって使えなくなっている。
霊使役とかで思い出したんだけど、うちのところにくるお客さんも妖怪と霊とかの区別がつけてない人が多いから、たまに専門外の問い合わせみたいなのが来るんだよね。

エピソード1.彼のおじいさんの話し

前半はほどおれのおじいちゃんのはなしだから、俺が直接かかわるってるって言うのはないんだけど、後半は俺につけが回ってきた感じの話。

うちのじいちゃんの小さい頃の話なんだけど、戦争で空襲のため、小さい子供とか女とかは田舎に疎開されてたじゃん?
俺の爺さんその時は12歳か13歳くらいで、疎開のために、じいちゃんの父方のばあちゃんの家に疎開した
じいちゃんはどっちかというと結構ガキ大将気質があってまぁまぁの都会そだちだったんだけど、すぐに田舎に慣れて色々友達もできたりした。

戦争中ってこともあって、あんまりたくさんご飯が食えるわけじゃなかったし、よく友達とかといっしょにそこら辺にいるウサギとか、タヌキとかを捕まえて焼いて食べたりしていたらしい

捕まえ方はいろいろあるんだけど。

おじいちゃんたちは地元の猟師がよく使う動物の足を挟むあのでっかい挟みみたいなヤツを何個かかってに回収して。それをまた設置直してたらしい。

子供は山の中に入るのは危険だって禁止されていたんだけど。
そもそもその時代、働ける男はほとんど軍隊にいったし見張る人もいなかったから、畑仕事を手伝っているとき、抜け出せば簡単に森にはいれたりもした。

じいちゃんはよくいえば活発的な奴だったらしく、畑の仕事ほったらかしてヤマにいって遊んでいた。もちろん帰るとばっちゃんに叱られていたけどそれでも懲りずに、よく山に入って遊んだり、たまに動物を捕まえてBBQしてた。

それは9月あたりの話だったらしいんだけど、ある日、じいさんがヤマに入りついでに仕掛けた罠に動物がかかってないか確認しに行ったら足の挟まれたでっかいねこをみつけた。

毛の色は赤が少しかかった感じだったらしい。

じいさんまた肉が食えるっておもってかなり喜んだんだけどその時後ろから足音みたいなのがきこえた

後ろのほうを見るとやってきたのは村に残った数少ない猟師のおっさんだった。

そのおっさん、かなり性格悪いやつで
たまに子供のとった獲物とか、子供がとれるわけがないだろとかいって、勝手に
奪っていくいじわるのやつでヤマで遊んでいるのをみられると、よくちくられたりもした。

じいさんは「うわ、やなやつがくる。あいつこの猫見かけたら絶対またとっていかれる」と考えた。
あんな奴にあげるくらいならこの獲物逃がしたほうがいい。
そう判断したじいさんはねこに仕掛けていた罠を外してやると、っしっしって猫を驚かして、逃がそうとした。

すると、ねこがじいさんが殺す気がないとわかると、まるで感謝するみたいに、じいさんのほうをうるうるしためで見つめて、そのまま林の中に逃げて行った。

そんで意地悪なおッさんがやってきた

おっさん「おい、何か見なかったか」
じいさん「ねこがいたけど、あんた来たから驚いて逃げてったよ」

みたいな感じに話して、おっさんは猫は怪我してそう遠くに逃げられないだろうとふんで、急いで猫を追いかけて行った。

じいさんも、その日はそれで家に帰った。

それから一ヶ月くらいたって、旧暦でいう10月つまり神無月のころになった。

まぁ神無月はみんなもしってのとり、神様たちが出雲とかに向かうころなんだけど大抵の妖怪とかは、そんなにくらいが高くないから、人間でいう正月みたいなもので妖怪たちであつまったりしているらしい。
表現がかわいいかもしれないけど、もっとおどろおどろとしたもので昔の人間なら旧暦の10月はあまり山に入りたがらないとかそういう話もあるみたいよ
俺も入りたくない

でもじいさんはそういう迷信を一切信じてない人間でやっぱり山に入ったりしていた。
でも、その頃になると、少しだけ雪が降ったりしていて。
じいさんはばあさんから危ないからもう山に行くなって言われてたんだけど、じいさんは最後に一回だとおもって、やっぱり山に入って行った

そんでじいちゃんが森から帰ってきた次の日

旧暦の10月だから実際はたぶん11月とかそんくらいだと思うし、かなり寒かったんだろうけど。地面には雪も積もってて着こんでいてもしばらく外に立っていればそこ冷えする感じだったのは簡単にわかるよね。

そんなに日に急にうちのじいちゃんはまるで狂ったかのように真っ裸で村の雪の積もった畑あたりで狂ったかのように高笑いしながらごろごろしはじめた。
もちろん、村の人たちもすごいとめたんだけど、狂ったじいちゃんの力が異常に強くて3,4人の大人でもとめることができなかった。

村の人たちはじいさんがよく山にいっていたのは知っていたし、暴れまわるじいさんをみて、やっぱすこしこわくて、なんかヤマヒジリとかオゴリ様とかそういう系にたたられたんじゃないかとか迷信の老人たちが言い出して、しかたなくじいさんを囲んでただ見ているだけだった

まぁ、呼ばれたのがそっち関係の人でさ。
とりあえずじいさんの様子を見た後、少し考えたら生姜をゆでて作った生姜汁を大量に作らせて、その中に塩大量にぶっこんで、じいさんにのませた。

そのころのじいさんは、一応布団の上に縛っておいておいたんだけど。顔色寒いからか真っ青なのに、汗はだらだらたれていた。

じいさんのことが心配だったぱあさんはその対処法聞くとすぐに実行して生姜汁塩たくさんをごくごく無理やり飲ませた。

するとじいさんは突然目をまん丸にして体を起こすと、わっと、はき始めた。

でも、出てきたものは消化液とか、たべものの消化されてないものとかそういうものやなくて、まっくろいどろっとした黒い物体だった。

あまり水分とかなくて、ものすごい悪臭がした。

呼ばれた人は、それに火をつけてもやした。
すると、じいさんは弱弱しくなりながらも、正気をとりもどした。

ちなみに生姜水塩たっぷりは割とお勧め。
みんな墓地とかいったあとは飲むといいよ。
何か悪いものはいってるなら自然と吐き出すらしい。

じいさんが目を覚ますと、呼ばれた人は淡々と、じいさんに昨日今日で何があったのか聞いた。

じいさんは聞かれると、とりあえず前の雪が少し降ってた日に起きたことを話し始めた。

そろそろ雪が積もって山が完全に入れなくなるから、その前に最後に一回なんか獲物取れてないのかじいさんはこっそり山に入ってみにいったんだけどどうやらどの罠にっも獲物なんてかかっていなくて少しやけになったじいさんは、夕暮れくらいまで探していたんだけど、やっぱりなかった。

しかたないと思ったじいさんは、寒かったし、腹も減ったしで、昼飯にかすめ取ってきた芋を焼いてくったら帰ろうと思って割と樹の茂ったほうにむかった。

普段あまん魔理行かないあたりだったけど、そんなに遠くなかったし、冬だから樹が多いところのほうがまきとか見つけやすかったんだろうね
すると、うしろから嬉しそうな声がした

じいさんはびっくりした。そのころになると、少し空も暗くなったし森の中で急に声掛けられるんだから。一応じいさんも昔の人だからすこしは迷信的な部分もあって、一瞬悲鳴さえあげそうになった。

でも、すぐに後ろにいるのは誰なのか気がついた

例のいじわるなおっさんだった。
おっさんは妙に親しげに方とかに手をおいたりして、夜遅いから、探しに来た、早く帰ろう。などといってきた。

じいちゃんはすこし、そのおっさんがなれなれしすぎて気持ち悪いと思い、その手を振りほどいて、帰る時は自分で帰る。
誰があんたと一緒に帰るか、とかいった。

おっさん、それ聞くと妙に焦った感じになって、もう遅いから、ヤマは危ない早く帰ろうと無理やりじいさんをひっぱって、帰る方向に連れて行こうとした。

じいさんは普段おっさんと仲が悪かったし、毛嫌いしてたから、おっさんから逃げた

山の中だったし、おっさんも割と年だったらしいから、じいさんはすぐにまくことに成功した
すると、急に体中が寒くなった。さっきまであんまり寒くなかったのに。

はしりまわって体が冷えたのか?と思って、これもそれも全部あのおっさんのせいだといらいらした。

そんで、やっぱ寒いし腹減ったし、疲れたので芋を焼くことにした。
どっか乾燥して、火を起こせる場所がないか少し探すと林の中に、少し開いたところがあって、開いているせいか、雪が全部溶けていて真ん中あたりにおれたでっかい樹があった。

樹はかなり古い感じで、中の部分は腐りきっていて、結構乾燥していた。

樹の根ものあたりには穴が少し開いていて、じいさんはこの穴ならちょうど火を起こしやすいと喜んで、そんなかに枯れた枝とか葉っぱとか詰め込んで、火をつけた

しばらくすると、あなから黙々と煙が出てきてじいさんがよっしゃ、あったまろう!とおもったとき。

穴から「ち、っち!」みたいな動物の鳴き声がした
よく見ると、穴のほうからネズミのような生き物がっしゅっとでてきた

煙でよく見えなかったが少し大きめのリスがそこにていた。

山の中ではリスなんてそんな珍しいもんでもないし、じいさんは山のいきものなら割と色々食ったことあったし、ちょうど寒くて腹減ってたから、お、丁度ここに手ごろな肉が!ってきに思った

だから、すぐにじいさんはその逃げようとしたリスをふんずけて殺すと、火の中にほおりこんだ。

すると、穴の中から「っち、っち」ってかなりたくさんのリスの鳴き声が聞こえてきて。じいさんは結構たくさんいるな、こりゃ腹いっぱい食えそうだって思って穴とかに樹の枝とか葉っぱとか大量に突っ込んで半分ふさぐ感じにして、逃げられないようにした。

10分ぐらいたつと、穴からの動物の鳴き声がやんだんだけど、その頃になって煙に乗って焦げた肉の匂いがしてきた。

じいさんは実際鼠とかも焼いて食ったことあったし、リスも焼いたことあった

でも、その匂いはどうもそのどれにも属さない、ものすごい悪臭のする感じだった

おかしいなぁとおもったじいさんは樹の棒をつかってすこし樹の穴の中をいじくりまわしてみると、なかから10何匹くらいの動物の死体が見つかった

よく見てみるとイタチだった。

イタチは肉質がかなりわるくて、筋が多く、さらに匂いもきついから猟師はおろか、少しくらい山に知識のある人間なら食べたりしないものだ

まぁ、あとイタチはキツネとかと似て、よく化けて出るとか言われてるしね
あんまりかかわりたくない生き物の一つなんだけど

最初に逃げだしたやつはどうやらまだ子供のイタチで、まだ小さいから、一瞬リスに見えたようだった

じいさんも、うわ、ついてねぇなぁ的に思って。
急に首の後ろあたりに寒気を感じて、気味悪く感じたのか、そのまま芋もすてて家まで急いで帰った

その話を聞くいた呼ばれた人。うちではこういう場合こういう人のことを「助搬」っていうんだけど

助搬も「あ、これ無理やわ」的な感じになった。
それでも、ばあちゃんとじいさんがものすごい泣きながらお願いすると、まぁ、詳しいこともまだわからないけど、もし殺したのがただのイタチならさすがに人間をのろいころすほどのちからはない。

でも、こうなってくるってことは多分その樹の穴の中にはイタチのほかにもっと別な何かがいて、その何かが化けて出てるんだといった。

何度も言うけど、妖怪のいいところはしつこくないところなんだけど話に聞く限り、もし、その妖怪がもう殺された場合、怨霊として出るから専門外だし、生きていることわりから外れてるから、まともに話し合ったり、天皇の権威うんぬんでなんとかすることもできない。

というか、もしイタチの妖怪の一種なら、イタチはかなり報復心がつよいから当の本人が死ぬだけじゃなく、周りにも危害が及ぶ。

助搬さんも自分に飛び火するのをおそれて、どうしても手伝おうとしなかった

それでもいろいろお願いしていると助搬さん自分一人ではやっぱり無理だから仲間を呼ぶので、一日待ってくれと言ってきた。

そして、その一日じいさんにとってわりと地獄だったんだけど黒い妙な物体を一日中ずっと吐いてるんだよ。

その間に、助搬さんは友人のこういう場合「?搬」っていうんだけど?搬のひとを呼んできた。

そして、次の日の夜に、2人体制で解決を試みた

儀式の決行は夜中にやることになった。

なぜ儀式をやる時は夜中にやるか思いだしたんだけど、妖怪たちに対する最大限の尊重らしい。妖怪も人間も平等で、妖怪退治っていうのも実はあんまり正しくなくてほんらいは妖怪と話し合って、示談させる民事裁判所てきな仕事なんだよね

俺がようかいを見下すと痛い目に合ったという話もあるんだけど、まァそれはいいとして

夜になると、?搬と助搬は体中におしっこをたがいにかけます。

ここが少し妖怪退治のあれな部分だけど、神主さんとかは体を清めたりするんだけどこっちは逆に汚くしないといけない。理由は分からないw

部屋の明かりを全部消して、東側に蝋燭をたてる

そして、?搬さんは一定間隔をあけながら打楽器みたいなやつ(名前忘れたあんまり使わない)をたたきます

助搬さんはその間、じいさんにひたすら軽くビンタし続ける。

楽器の音が部屋の中でやまびこみたいに反射していくんだけど、そのうちふっと蝋燭の灯が消えてその反射するおとがまるで別のところから演奏しているように聞こえてきたら成功

あとはレッツ交渉になる

レッツ交渉タイムに入ると、じいさんは急に白目向いてがくがくと震え始めたらしい

そして、楽器の演奏をやめ、消えたろうそくを部屋の真ん中に移し、蝋燭をもう一度つけた
ここでじいさんの薬指に針で軽くさして、ちょっと血を出したりとか、いろいろ細かいことがあるんだけど
そこは省くね

そんで、詩みたいなのを読むんだけど。大体な意味は来てくださりありがとうございます!
とりあえず、まずはゆっくり座って休みましょう
最初はちょっと果物でもいかがですか?

ってそこらへんでどんと、じいさんはガタガタしながら強く手で床をたたいた

これで半人前の俺でもわかるんだけど、この詩みたいなのは世間話みたいなもので会社同志が交渉するときにやる、最近どうですか?みたいなものなんだけど。

これも聞いてくれないとなると、かなりヤバい感じになってる。
サジ投げて逃げたほうが絶対いいんだけど

その場にいた2人はなんとか続けようとした

いったはずだけど、こういうのって割かし力技が大きいんだよね

最初にでた提案が、とりあえずじいさんをやるから、あと他の人間は許しておくれというもの。

ここでいうやるっていうのも実はあれなんだけど。

つまりは妖怪退治する人とか許してもらってここを去るまで我慢してもらって、こんな露骨に呪い殺すんじゃなくてもっと、事故に見せかけた感じに殺せってこと。
まぁばれないように勝手にしていいよ。ってことなんだけど。

それをいうと今度は部屋の真ん中にあった蝋燭が消えた。
この蝋燭が付いている間は交渉をする気がまだあるっていうあれなんだけど
消えたらまじでやばい。何が起きるかもうわからなくなる

すると、じいさんがすごい嫌な声を上げながら暴れだした。

しかも、部屋の中にいやな気配がでてきた
具体的に言うと、狭い部屋の中に?搬と助搬とじいさんしかいなかったはずなのに何十人もギュウギュウ詰めになっているかんじ?

しかたないから、いったん力技で無理やり離脱することに?搬と助搬は決めた。
助搬はあらかじめ用意したじいさんの名前が書かれていた藁人形にじいさんの指ぶっさした針を刺して、じいさんに犬の血をぶっかけながら部屋のそとにひきずりだした

?搬はその間、激しく楽器をたたいて送り言葉って感じの詩を読んだ

まぁ、そんなこんなで、?搬と助搬はじいさん守りながらなんとか朝になるまでねばった。

そんで朝になると、またじいさんに生姜水飲ませて、今度は塩水で濡らしたしめ縄でじいさんを囲い
一夜疲れたじいさんはそん中ですやすやと眠った。

本当はこういう風に結構簡単に守れたりするんだけど。根本的な解決手段にならないし縄は常に濡らしていかないとアウトになる。

なぜ最初からこれをやらないかというと、因果応報というか、もとはと言えば最初に悪いのはうちのじいさんのわけで、少しはイタチ(の妖怪?)にいじめさせて夜のときに「ほら、もう困難になるまでいじめたし、ゆるしておくれよ」的なことをおねがいしたかったんだけど、相手方の態度がものすごく悪くてそんな暇ももらえなかった。

じいさんが寝ているあいだ、?搬と助搬とじいさんのばあちゃんと村長とかと作戦会議をした

とりあえず相手方はイタチの妖怪で、イタチ入道に間違いはなかった

何々入道ってよくあるけど、この入道ってのは一種の敬称みたいなもの。
何々さんみたいな。

入道の意味は道行の入ったって意味で。道行ってのはまぁ修業した年数とか修業した気合いとかそんな感じだと思ってもらうといいと思う

仕事断るときとかたまに私の道行じゃあ、こんなこと無理ですって言ったりする。

そんでそのイタチ入道なんだけど、まぁ別にすごいイタチとかってわけじゃなくて多分別物なんだけど、イタチとすごい仲良くて、じいちゃんが燃やした日は神無月でみんなで集まってわいわいやってたら、じいちゃんに放火されて全滅。

って感じだったかもしれない
そりゃあ、イタチ側からしたら、自分たちなんも悪いことしてないのに急に殺されたんだから、そりゃあマジギレするわな。

話し合いなんてできっこないし、たぶんじいさんを呪い殺しても、気は収まりそうになかった。
もしかしたら、村が全滅するかもしれないとかなんとか。

そこでみんなどうするべきか困ったんだけどそこで助搬がじいさんから聞いた話だと、その日いじわるのおっさんにあったらしいからそのおっさん何か知らないか聞いてみようってことになった。

でも、そのおっさんを呼んできて、話を聞いても、前の日は山になんか登っていないというんだよ
そこで助搬さんはぴーんとなった。
どうやらこの件にはもっと別の何かがかかわっているみたいだから、もしかしたら、そっちのほうから解決の糸口が見つかるかもしれないって。

そんでみんなでじいさんたたき起こして。最近他に動物とかとかかわったことないか?とか、不思議なことにあったことないかとか色々聞いたけど特に思い当たる点がなくて。最後にやっとねこを助けた時の話を思い出した

ここで猫について少し紹介だけど

まぁ、みんな化物語とか猫娘とかすきかもしれないけど
多分一番有名なねこの不思議系はねこは9つの命があるとかだともう。

そんで猫系の妖怪の厄介なところはそこらへんにもあって他の妖怪と違って一端つかれるとかなりしつこいんだよね。

まぁ、あんまり人間には積極的にかかわろうと思ってないけどね

そんで?搬と助搬さんは色々考えた結果、そのねこに長命牌をたてることにした
つまりはネコを神様として祭るわけだね。

そんで、もし、本当にその猫がかかわっているとしたら猫的にはあれ?俺神様として祭られてる?なんでなんで?みたいな感じになって、みに来るはずだからその時に、その猫と交渉できないか試してみることにした

まぁ、風水的な部分俺良くわからないから、はぶくけど。
とりあえずネコに牌をたてて、石とか、木とか並べてばあちゃんの家を簡易の神社みたいなの作る感じ。それがやり終わったあたりになると、また日が沈んできていざ決戦、みたいな感じになった

夜になって、また再び前日にやった作業をやるんだけど今度はじいさんをちゃんと縄で囲って守っていた。

そんで東側の蝋燭が消えると、その縄がものすごい勢いで乾き始めたから塩水どんどんつけたしていった。

周りは真っ暗になっるんだけど、部屋に息遣いというかそういうのが10何にもなって空気がものすごく重くぴりぴりしたらしい。

そんな状況がつづいて。このままだと自分たちもやばいなと思ったころ、じいさんがむくりと体を起こした。

その目は真っ暗の部屋だったのに。妙に光って見えたらしい
ここで少しわかると思うんだけど

こういう風に守ったりできるのは、相手側に悪意がある場合になるんだよね。

実は大抵の妖怪って無邪気に人に害をなしたりするから、無自覚でこういうのが効かなかったりすることも多い。

そこで?搬と助搬たちはキタコレってなって。
蝋燭を部屋の真ん中に移してもう一回火をつけた。

火はものすごく揺れて、すぐにも消えそうだったけど、消えなかった。

光の都合かどうかわからないけど、部屋にはたくさんの人の影がうつったらしい。
そこで?搬さんは詩を歌うのをやめた。

さらに助搬さんはじいさんの周りにあった縄とかも全部撤収して初々しく2人で部屋かが出た。

そんで、ばあちゃんにもし、明日の朝になってじいさんが生きていたらまずは一安心。でも、たぶんもうこの村から出たちはあまりしないほうがいい。
森にも二度と近づくな。
ネコの長命牌を家に祭って、毎晩その前に少し食べ物と、いっぱいのお水をおくこと

その水を次の日じいさんに飲ませること。

などなどたくさんの約束事を言い渡して。夜の間に急いで村を出た
俺的にはこの二人かなり賢いなぁとおもった。

もし、これでやっぱりじいさんが死んだら、多分あとは何もできないだろうし、次はもしかした自分たちがターゲットにされるかもしれないから、まだ注意がじいさん周りに間にあるときに逃げたのは正しいし、妖怪はなのある主以外あまり関東に近づきたがらないからそこら辺まで行けば安全かもね。まぁ、戦争で空襲うんぬんで危険だけど

そして、一夜じいさんの部屋にあった蝋燭はついたままで、朝になると同時にふっと消えたらしい

まぁ、俺の爺さんの話はこんな感じだ。

その次が孫である俺の話になるんだけどね。
その後の話なんだけど、じいさんがちょうど中学入るあたりに戦争は終結
じいさんの親は空襲とかでなくなって
結局じいさんはばあさんの家に残ることになった。
あのよる、一体その部屋で何があったのかわ誰も知らない。
妖怪たちが運動会してたのかもねwww
まぁ、ばあさんは割と金持だったらしくて、家は広かったんだけど。
そこで育った。例のイタチの件もあってなかなか結婚相手見つからなかったんだけど
割と年になってから村の女の人と結婚して、子供を産んだ。
そして、子供を産んだ次の年、がけ崩れでしんだ。

そんでその子供が育って、俺の父親になってわけ。

俺のじいさんはがけ崩れで死んだんだけど、その嫁。
つまり俺のばあちゃんにあたる人は生き残った。
その頃はじいさんのばあちゃんも結構前に病気で死んで。
俺のばあちゃんは女手一つで俺の父さんを育てることになった。

小さな村だった集落は他の村とかと合併したりして少しずつ発展して、小さな町になった。
相変わらずド田舎だけど。

俺の父親はそこで普通に育てられた。
俺のばあちゃんは正直あまり迷信とか信じてなかった。
だから呪われたとか言われている俺のじいさんとも結婚できたんだろうね。

だから、一時期ネコを祭るのを怠ったりした。
でも、そのたびに、父親はひどい病気になったりしていたから。
ちゃんとその守りごとを守るようになった

エピソード2.俺の話

俺は霊感とかからっきしだったんだけど俺の父親は少しあったみたいで。小さい頃はよくまっくろの影のような絵を書いていたらしい。

そんでばあちゃんに、これなに?ってきかれると窓の外にたくさんいるよっていつも答えていたらしい。

それを聞くと、ばあちゃんはいつも「ああ、イタチたちはいまだに復讐をあきらめていないんだな」って思ったらしい

まぁ、そういうのもあって、俺の父はかなり内気で寡黙の人間だった。
つまりコミュ障だった。

父はあまり活発的じゃない人だったし、早熟の子でばあちゃん苦労も知っていた
だから、ばあちゃんにいわれたことはいつも忠実まもって。
森とかに近寄ろうともしなかった。

そのためか父親は健康に育った。
地元の高校から出た後は関東のほうで就職した。
もちろんねこさんの神棚みたいなやつを一緒にうつした。
そこで恋をして結婚して、そして俺をうんだ。

しかし、俺の母さんも父親が色々迷信めいた儀式を毎日やってるのをみて
宗教にはまってるんじゃないかって心配したりしたけど父親も頑固でやめようとしなかった。

それから何年、俺がうまれた

俺が生まれて3年後、妹も誕生。

そんで、毎年のお盆は、父親の実家、つまり例の町に帰ることになってる

俺は父親に教えられていたとり、毎日儀式めいた何かをやっていた。
ていうか、小さいころからやっていて習慣的になっていてむしろ他の人ってやってないの?的な状態だった。

田舎の小さな町だったから、各家同士はほとんど知り合いってわけで、そういう帰省のときは、いろんな家とかの子供同士もよく一緒にあそんだりした。

ただ、みんながやまで虫取りとか、川遊びとかの時は俺と妹はいつもばあちゃんと父親にいくなって止められた。

同じ年齢の仲間たちが楽しそうにそういうの行くのを見るとすごくひかれた
まぁ、母方の実家もあったから、毎年そっちに行っていたわけじゃないけど

俺が中学2年で妹が6年くらいのとき、その町に帰省したとき、事件はおきた。

近所のガキ大将的な奴が、夜に家を抜き出して、近所の墓地で肝試しをやるといいだした。

俺はその年でも、ずっと夜道で歩きを父から厳重に止められていて結構そういうのにあこがれがあったし少し悩んだんだけど、友達とかに説得されて結局行くことにした。
俺の妹もその話を小耳にはさんで、行きたいと言い出した。

俺と妹はよる、親とばあちゃんが寝た後こっそりと家を出ることにした。

そんで玄関に向かおうとした時、急に神棚みたいなところに飾ってあった
ねこさん長命牌が結構でっかい音立てながら畳に落ちた。
その時は焦っていてあまり気にしなかったんだけどさ
畳なのにあんなに大きな音立てておちるのかって?今だと少し不思議
多分何か警告しようとしたんだね。
まぁ、風に吹かれて落ちただけかもしれないけど。偶然にしてはなぁって感じ

しかし、その時の俺と妹は急いで長命牌を元の位置に戻して親とばあちゃんがその音で起きなかったことにむねをなでおろした

そこからは、みんな子供たちで合流して、墓地に向かった。
集まったのは5,6人くらいだった。
墓地はそこまで広いもんじゃなく肝試しの内容もシンプルだった。
墓地の一番奥には一個名前が書かれていない、かなり古い感じの墓があっるんだけどそこに目印としてあらかじめ色のつけた割り箸があるから一人づつそれをとってくるというものだった。

俺の順番は前から3人目、妹は最後の一個前になった。

俺の番になって、俺は特に何もななく目印をとってきた。
俺は驚くほど霊感がないから、何も感じなかったし、何も見えなかった。

そして、妹の番になって、妹はひとり、墓地のほうにすすんでいった。
そんで、そこで少しおかしなことがおきた。
かなり待ったんだけど、一向に妹が戻ってこなかった。

ここらへんで寺生まれのTさんが来てくれたらありがたかったんだけどあいにくいそがしかったらしい。

しかたないからといって、兄の俺と、ガキ大将で様子を見に行くことにした。
そして墓地を進んでいって、真ん中あたりに、妹はいた。
妹の様子が少しおかしくて、墓地に生えていた木のそばに立っていて木のほうに顔を向けてなにかぶつぶついっていた
俺とガキ大将は妹のことを呼んだんだけど特に返事はなかった。

俺とガキ大将もこわくなったからとりあえず、妹に近寄って、妹をこちらに向かせた。
すると妹はやはりなにかぶつぶつ言っていたんだけど微かに震えていた。

俺たちもどうしようか悩んだけど、とりあえず、妹をつれてみんなのところに戻った。
みんなも妹の様子をみると不安になって、色々話しかけるんだけど妹は無反応。とりあえず、肝試しはお開きになった

肝試し自体大人に秘密だったし、怒られたくないから

こっそり家に帰って、あすの朝になれば妹もよくなるだろうと安直に考えた。

俺は妹の手を引いて一緒に家に帰って、彼女をベットまで誘導した。
幸い、軽く手をひくと、ついてきたので、あまり苦労しなかった。
彼女を寝かせた後、おれもこわかったんだけど、大人に相談すると怒られそうで怖かったしそのままにしてねることにした。

まぁ、いまだと、少し妹のこの時の状態がわかるんだけど妖怪に「?」された感じだと思う
「??」まぁもっと複雑に?っても書くんだけどこれってのは何かというと、昔の人が妖怪の鳴き声を漢字に表したみたいなものらしい

?は、音でゴウ、キョウ、訓でかまびすし、やかましい

いまだと、さらに深い意味も入ってきて。妖怪にびっくりさせられて、魂の一部を持って行かれたっていう感じだ。

人間の魂は本当かどうかわからないけど、七魂八魄あるらしくてその一部を持って行かれた状態かな。

持って行かれ方は色々あって、その対処も違ったりするけどね

とりあえず、妹はほったらかして、俺は布団に入ったんだけど。
俺と妹は同じ部屋で、布団を畳に敷いて並んでねていた。

やっぱり俺も妹のことは心配だし、すごくこわかったからよく眠れなかった。

そんでしばらくうとうとしていると。となりからなんか変な音がした

妹のほうからだった。
妹のほうに少し顔を向けると、妹は体を起していた。

最初は何をしているのかわからなかったんだけど。
じっとみつめると。妹が自分の髪むしゃむしゃしているのがわかった。

妹は肩まで髪を伸ばしていたのだが、その髪の毛を自分で引きちぎってその髪の毛を、喉につめるように
むりやり口の中にいれてた
悲鳴を上げたかった。
でも、喉の奥がまるで詰まったように声が出なかった。
金縛りとかそういうのじゃなくて、多分びっくりしすぎた感じだと思う。

そこから妹のことをじっと凝視して。しばらくたってからよっと、なんとかなしないとって思って。

すぐに電気をつけた。
そして、妹のほうを見ると、髪の毛を無理やり引っ張ったせいか、頭皮の一部から血が出ていた
布団には妹の髪の毛がたくさんあったんだけど。
それと同時に、妹のものではないと思われる短い毛もいっぱいあった。

今度こそ、俺は悲鳴を上げながら、父さんと母さんとばあちゃんを起こしに行った。

それから朝までは色々あって。
怖かったとこともあるし、色々混乱しててよく覚えてない。

父さんと母さんとばあちゃんが起きて妹をなんとか無理やり止めて、それでも暴れたから、縄で縛った。
そんで、俺から話聞いたり。
他の子供の家に電話したりで

俺はとにかくあんたは大丈夫か?何か気分が悪いところは?
とか聞かれて。大丈夫だって答えたら、母親に別の部屋に連れていかれて布団に入れさせられ、とにかくあんたはねなさいっていわれた
俺が翌朝起きた時は、妹の様子はかなり落ち着いていた。
でも、かなりの高熱出していたらしくて。

一回様子を見に行った時はすごいうなされてたみたい。
俺はばあちゃんに呼び出されて、そこで例の俺のじいさんの話をしてくれた。

俺もやっと、なんでいままであんな儀式めいたことしていたのか理解した。

そして、家から出るなって言われて、家のテレビのある部屋で、ポケモンをずっとやってた。
金銀世代なんだけど、ポケモンって式神っぽいよねwwwなんか

昼ごろになって、ばあちゃんの知り合い?よくわからないけど
よくお盆とかでいっしょに遊ぶ他の家の大人とかがうちの家に集まったりした。
それなりに年の人とかもいた。

大人たちは妹を車に乗せて、どこかに連れて行った。

多分大きな病院とかそこら辺にいったと思うんだけどね。
俺とばあちゃんは留守番をすることになって。

その間、妹と俺の寝ていた部屋はほぼ開かずの間で。
俺もばあちゃんもそこに入ろうとしなかった。
夜になっても、大人たちは帰ってこなくて。
俺とばあちゃんはすごく不安になったんだけど。

だからと言って、家から外に出て、他の家まで行く気にもならなかった。
一番近い家まで歩いて10分なんだけど。
家の外に出て夜道をあるきたくなかったんだ。

すると、妹のいた部屋のふすまの向こうで、何かカリカリする音がするようになった
最初はさ、おれとばあちゃん怖かったしお互い聞こえないふりしてさ。
様子を見に行こうとしなかった。

そんでどんどんその音ひどくなって
最後には、なんか部屋の中から話声みたいなのが聞こえ始めた。
ひそひそはなしみたいなので内容は特に聞こえなかった。
それでも無視していたんだけど。

晩御飯食べていた時のこと。
ばきって音がして。

飾ってあった神棚が倒れた。
いそいで起こしたりしたんだけど。
ねこさんを祭っていた長命牌にひびが入ってた
俺とばあちゃんはもうそれで参ってしまって。
電話で近くの家にいた仲がいいおっさんみたいな人に来てもらった。
妹の部屋のほうを確認してもらったらなにもなかったらしい。

そのまま俺とばあちゃんは明け方になるまで起きてて。
そこらへんで俺の母親から電話があった。

妹は病院で様態が急変して死んだらしい。
死因は急性の肺炎とのこと。
病院から帰ってきた父さんと母さんはかなりやつれていた。

とりあえず、おれはその時点で徹夜の眠さに負けて、ねることにしたんだけど。
途中一回起きて、水を飲みに行った時、大人たちが葬式うんぬんの話をしているのを聞いた。

そんでもう一回部屋に戻って、眠って。起きたのは翌日の朝だった。
起きると体が妙にだるくて。嫌な汗をべっとりとかいていた。

だから、シャワー浴びようと思って、部屋から出て、風呂場に向かおうとしたら
母さんに会って。母さんは俺の顔を見た瞬間大声をあげて悲鳴を上げた。

鏡で自分の顔を見せてもらった。
なんか変な赤い点々がたくさん顔にできていて、気持ち悪い感じだった。

顔から首にかけてそれはあった。
特に痛いとか、痒いとかはなかったんだけど、とにかくけだるくて。
熱も測ったけど、熱は特になかった。

俺はまた部屋に戻されて、眠るように命令された。
そんで、大人たちが隣でまた話し合いみたいなのをしてしばらくすると、口論みたいなのが始まった。

半分意識がもうろうそして、具体的な内容は特に覚えてないけどとりあえず、俺をどうするてきな話だった。

そのまま俺はねたんだけど。妙に鮮明で奇妙な夢をみた。
夢の中で、俺は冷蔵庫の前にいたんだけど冷蔵と壁の間の隙間に、人間の顔が半分くらいめり込んでいて
そんで甲高い感じの声で、あっちいけあっちいけっていってくる。

でも俺すごくのどか湧いてて、冷蔵庫からジュースとりたかったから無視して冷蔵庫をあけた。すると中に女の人の体が入っていて。

なんて表現したらいいんだろ。女の人といっても多分スーパーとかにある
マネキンみたいに頭と足と手がなくて、肩と太もものうえらへんまである感じのあれ?
その女の体が、ま○こみたいなのをこっちにつきだす感じで冷蔵庫にはまってた。

おれなんかすげーむらむらして。そんで思わずずぼんをぬいで
まぁ、後は想像通りなんだけど。

目を覚ますと、夜になっていて。そんで下半身のほうも少しべたべたしていて
濡れてて、きもちわるかった。
ああ、これやらかしたかなぁっとおもって。

電気つけて、布団を確認したら。

少しくらい例の白い液体もあったけどそれ以上にその液体に混ざった感じで

どばって、血が付いていた
赤い粒々みたいなやつ?
体確認してみたら、それが腹よりすこし下までどばってわいてた。

大人たちにに布団についたもの含めて、それを見せたら、母さんが大丈夫、大丈夫だから、と泣きながら抱きついてきた。

それから、しばらくかあさんがご飯作ってくれて。
茶碗蒸しと、おかゆを少し食べて。かきこおりもすこし食べさせてもらえて。
ポケモンもやってたら、深夜になって。

うちの玄関のチャイムがならされた。
そんで、中年くらいの男が俺の部屋に来たんだけど。

それが、おれと先生が初めて会ったときだ。

 

エピソード3.妖怪化する子供

一度うちの先生のところに来た女の人のお話で、短いからさらっと紹介するね
うちに問い合わせに来たその女の人は、姉についての相談だった。

姉は結婚していて、8歳の子供がいたんだけど、その子供が水におぼれて死んだ。
そんで姉はとっても悲しんだんだけど、さらに青天の霹靂で、姉の夫が姉と離婚することになったんだ。

そんで姉は一時期かなり沈んでいたんだけど、子供の死んだ一周年くらいに、子供が帰ってきた!とかわけのわからない感じの話をし始めた。

姉を知っているひとは、みんなな悲しさのあまり、おかしくなったんだと思ったけど相談者の妹だけが、姉はおかしくなってないって言ってた。

ある日、妹さんが姉の家に夜に尋ねたら、なんか部屋が真っ暗にしてあってそんで姉の部屋からかすかに話し声が聞こえた。
姉の部屋に行くと、ドアが半開きで姉が鏡の前に座ってなにかひそひそばなししていた。

そんで妹さんの目が暗闇に慣れると、その鏡にぼんやり、黒い影みたいなのが映っててその輪郭はとてもぼやけていたんだけど、間違いなく姉の子供の形だと、妹さんは言った

そんで最近になって、その子供の9歳の誕生日が近いんだけど急に家を片づけたり、子供のおもちゃとかかったりしていた。

なんでってきいたら、姉は子供が誕生日の日に戻ってくるからその準備をしているといった。
そして、今までは子供に会うことはできたけど、抱きしめることもできなかった。
でも今度はやっと抱きしめられる!とよろこんだ。

妹さんは怖くなって、別の霊能力者つうか、そんな感じの人に聞きに行ってこれはどういうことだって問い合わせた

すると霊能力者さんは
「子供が溺れて死んだから、五行の中では水に属していて、鏡になんか変なの映ってたから
これは五行で金。姉の子供は、金で葬式をして、土で葬式しなかったから、化けて出た」
とかそんな感じなこと言ってた。(長ったらしいうえに、俺意味がわからなかったんだけど多分こんな感じ)

そんで、その人はそれ以上かかわろうとしなかったから、うちに来たみたい

そんで、先生はこれはうちの専門じゃないんです、みたいなことを言って別なところを紹介して、帰らせたんだけどそのあと、俺に対して

先生「霊能力者もあながち嘘っぱちじゃないかもな」
俺「え?どういうことですか?」
先生「土で葬式してないってのはつまり、火葬していないって意味だと思う。つまり、さっきの人のねえさんの子供はちゃんとして、死体を火葬して供養してないからばけた」
俺「でも、そんなんで化けるんですか?」
先生「まぁ、たぶんそれは子供の死体の行方の話だな。」
俺「そういうえばそれなら死体どこ行ったんでしょうね」
先生「多分知っているのは2人だろうね。」
俺「二人?」
先生「多分あの人の姉と、その夫。急に離婚したみたいじゃないか。もしかしたら夫さん子供を愛する場から、死体持って隠れちゃったのかもね。そんでその夫の居場所を知ってるのはその妻である姉だけ」

ってところで、先生はバカなとこはするもんじゃないなぁとか言って、話を締めくくった

この話がどんな意味もちだして、何言いたいかというと、多分霊とか妖怪とか使役したいなら、それなりの「道具」と「感情」とか必要なんだろうね

どっちも、現代社会だと難しそうだ。

初めて会った先生は結構ちゃんとした身なりで、スーツ姿だった。
俺は最初先生のことを医者かなんかだと思った。

なんせ体の調子はどう?とかどこが痛い?とかそういうことを聞いてきて、そんでおなかを押したりしてた。

そんで、どこも痛くないけど、だるいみたいな感じを伝えたら先生は最近のこととか聞き始めた。
学校のこととか、家族のこととか、友達のこととか世間話的な感じだったんだけど、まぁ、最終的には妹のこととか肝試しのこととかあと夢の話とかもした。

先生はかなりの聞き上手で、話してて結構楽しい人だった。
一通り話をし終わると、先生は部屋から出て、隣の部屋で大人たちとなんか話し始めた。

そんでしばらくして、先生はまたもどってきたんだけど。

今度は手に生きたニワトリを持っていた。
そんで、ごめん、びっくりするかもだけど。ちょっと我慢してね。
といって、ニワトリをその場で殺した。

さらに、新聞とか敷いて、その上に盆とかのせて、そこでニワトリをさばき始めた。

やっぱニワトリはさ。それなりに暴れて、羽めっちゃ飛んで、正直少しビビった。
ニワトリをさばき始めると部屋の中が生臭くて俺部屋から出たいとか、こんなことやってる意味がわからないとかいったんだけど、ここにいなさい、って先生にいわれた。

もくもくとニワトリさばいている先生は軽くトラウマものだった

そんでしばらくすると、部屋の中に生くささ以外に別の匂いがし始めた。
なんかが焦げたにおいだった。

そしたら、先生は部屋の電気を消した。
そんで、蝋燭一本だけ部屋の真ん中に置いて、ニワトリの血ぬき?
みたいな作業を始めた。

でも、ここで俺でも少しおかしいなぁと思うことが起きた。
ニワトリから出る血の量が明らかに少ないんだ。

俺はその時ニワトリとかさばいたことはないんだけど、そこら辺はフィーリングかな?
あれくらいの大きさなら、こんぐらい血出るんじゃないかなぁーみたいな感じの予想を遥かに下回る血しか、出てこなかった

そんで、ニワトリの血が流れなくなったら。
先生は部屋の窓を開けて、ニワトリを家の外にぶん投げた。

そんで蝋燭を消したらり、電気をつけたりして抜いた血とかを持って、部屋を出ようとした
襖があいたとき、母さんがこっちに入ってこようとする姿が見えたんだけど先生が静かに首を振って、とめた。

俺はもうわけがわからなかったんだけど、なんとなく先生は医者とかじゃなくて、まじない師みたいな感じな人だと理解した。

しばらくして、先生帰ってきたんだけど、今度は手にひよこを持っていてそれを俺の手に渡してそれを左手で握り殺せって言ってきた。

この時の俺にとって先生はただのきちがいだった
まぁ、いろいろもめたりしたんだけど、結局先生の言うとおりにした。

そんでひよこをつぶすんだけどさ
ここでまた少し奇妙なことがおきた。
ひよこをつぶすと、体が少しだけ軽くなった感じがした

そして、いつの間にか、焦げくさいにおいとかも消えてた。
すると、朝結構ねむったはずなのに、どっと疲れが出て、すごく眠くなった。

先生はぐったりしたひよことか回収して、今日はもう大丈夫だから寝なさい
と言って、部屋を掃除したりしてくれて、俺はそのままねた

その夜は、何の夢もみずにぐっすりと寝ることができた。
朝起きると、結構いい感じの目覚めだったんだけど、結局赤いぽつぽつはなくなってなくて、むしろ膝あたりまで増えていた。

時間は7時くらいだったから
母さんとか父さんおきてるかなぁとか思ってへやから出て腹減ったし、冷蔵庫でもあさるつもりだった。

すると、リビングらへんに先生がいた。
俺が顔を出すと。今日は2人きりだ。と言ってきた。

もちろん、最初は「はぁ?」って感じだった。
まぁ、先生とはあってから一日もたってないうえに、俺的にはにわとり云々で俺のためだとは理解したけど、やっぱり怖い人で、二人きりは少し嫌だった。

親たちがどこ行ったの?って聞いたんだけど、その時は教えてくれなかった

朝ごはんにインスタント麺つくってくれたんだけど、食べている間は気まずかった。

うちでは飯の間に話をかしながらワイワイ食べたりしたんだけど、先生は食事中はしゃべらない人間らしく、俺がなんか言おうとしたらあとでゆっくり話そうみたいな感じで軽く止めてきた。

ちょっと脇道
例えばさ、悪魔払いは聖書とかよむじゃん。

妖怪の場合それと似たものがあって、詩みたいなのをよむんだよ。
もともとこういうのは全部昔から伝わったもので、いまだと意味も完全に理解できなかったりするんだけど
本来は八百万の神それぞれのための詩と、さらに詩を作った当時の妖怪とかのために三百万の詩があるらしくて。それをつかって妖怪と「交渉」?みたいなことをするんだ。

そういう意味では悪魔と妖怪はにてるのかもねw

でも、そういう詩とかどんどん失われて行って

いまはほとんど邪道なやりかたと、一番使ういくつかのものしか残ってないしね

朝ごはんを先生といっしょにたべたあとあたりから。
朝ごはんを食べ終わると、先生は昨日窓の外に捨てたニワトリは覚えているかと聞いてきた。

もちろん覚えてたと答えると、先生は俺を連れてニワトリの死骸を見に行った。
すると、ニワトリの死体なんだけど、何か食い散らかされた感じになっいて、骨とか散乱していた。

まぁ、田舎だし、なにか野生の動物が食べに来たって可能性は十分にあったけど
先生は、それを見せながら

「お前はいまこれを食ったやつらに呪われてる。このままだと死ぬ。原因は多分お前のじいさんが焼いた「もの」たちのせいだ。その話は聞いてるか?」
みたいなことを言ってきた。
ちょうどばあちゃんから聞いたばかりだったと答えると。
先生は、残念ながら俺の爺さんはかなりしつこいやつらから恨まれたらしくて、多分、払っても払っても、また戻ってくる。ああいうタイプは一家が全員死ぬよいに追い詰めるまではきっとあきらめない。だからもう普通の方法じゃあほとんどどうしようもないかもしれないと言ってきた。

そんで、おれが選べる道は3つあるといってきた

一つ目は俺があきらめて死ぬこと。
そんときの俺は結構普通だったんだけど、それは多分にわとりに気をとられているから。
多分、また夜が来たら、今度こそ、やばいことになって死ぬ。
だから、その前に先生がいろいろ準備して、俺をねこ様のかわりに神棚にあげるというものだ。

つまりねこ様はなぜか知らんけど、多分あの肝試しの日に、妹が何かにあってそれがきっかけに家を守るのをさじなげた
ねこは移り気が激しいから、一度あきらめると、もうどんなに頼んでも意味がない

だから、その代わりのものとして少年よ神話になれって話だよねw
つまり、俺が死んだあと、俺を神さまかなんかとして祭って、俺が家族を守るてきなそういう。

この場合、先生は幽霊専門じゃないから、実際これをやっていみがあるのかわからない。
というリスクつき。でも、先生的には一番楽だから、おすすめの方法だった。

多分あまり長くいれないから、少しだけ解説。

にわとりを使った、妖怪駆除みたいなのは結構メジャーな方法らしい。
まぁ、いろいろ方法が違うんだけど、まとめて「こけおどし」っていうみたいよ。
あくまで先生がそうよんでるだけかもだけど、「こけ」はニワトリのこけこっこからきてるのかもねw
こけおどしは大抵4種類に分かれていて方法とかいっちゃうと、適当にやってしまう人とか出てきそうだからあまり詳しく描写できないけど。

「朱」「化」「疾黄」「瓦割り」ってよんでる。
最初の「朱」はおもにニワトリの血をころして、血を使う方法。
昔だと、にわとりとかうしとかころして、神さまにお祈りしたりするけどそんな感じ。にわとりを殺して、妖怪さんにたべさせる感じかな?よく動物の入道につかったりする。

「化」は身代わりのようなもの。これは手相の世界の話らしいんだけど昔だと、人を殺す手相ってのがあったらしい。
そういうひとには手にひよこを握らせて、将来殺すであろう人の代わりにひよこを殺すってぎしきがあったんだ。
まぁ、先生もこれを俺にやらせたんだけど、その理由はまたあとでわかるので

「疾黄」は多分に一番使わない方法
妖怪に住んでいる家にニワトリと生んだ卵を入れて、そん中で卵を孵らせるという少し時間がかかるけどそんな感じの方法。
主に、蛇とか虫とか、そんな感じの入道につかったりする。

最後の「瓦割り」はいたずら好きな妖怪に使ったりする方法。
妖怪を呼んで、にわとりを斬首して殺す。そのあと棒でニワトリのあたまをものすごいぐちゃぐちゃになるまで叩き潰す。これで、大抵のそういう妖怪はびっくりして、にげていく。

そんな感じです。
第二の方法。棚おろしっていう方法。
これは先生的にはあまりというか、絶対やりたくない方法。

ここで、入道がいかに神様になるっていう話になるんだけど。
通常入道になったものは神火をともし、神性をもち、神格を与えられれば神さまになる。
これはどういうことかというと、すごい複雑な話で、俺も理解できないんだけど簡単に言うと、魂だけの存在になって(多分少し違うけどそんな感じ)神になり、その役割を全うすると誓う。
そして、人から、その役目を与えられて、晴れて入道は神になる。

しかし、この道はとても気わしいもので、そんな簡単にぽんぽん神さまは生まれない。例えば誓いの部分なんだけど。人でも神さまになる時があるよねその時に発するその誓いのことを「広願」というの。

具体的に内容は「私は永遠に自分にまかされた役割を果たします。たとえ、この後、私を祭っていた人々が私を忘れようとも住む場所が路傍の石になろうと、だれも私を覚えてなかろうと」みたいなもの。でも、実際にそんなことできるやつなんてめったにいないよね。

たとえ、誓う時は本心でも、本当に時代の流れで、その心が変わらないかっていうと疑わしいからね。

だから、神さまになることは決して楽しいことではなく。本当の意味で善良で、見返りを求めない存在じゃないと、まっとうできない。

それでも、たまに神さまが禁とか破って、妖怪に落ちることもあるしね。
猫様とかは、実は、本当の意味で神さまにしたわけじゃない。
単純に、「よ、あなたかみさまー」みたいにおだてあげて守ってもらうみたいなもの。だから実はただの妖怪だったり。

そんで棚おろしは、そんな神様を一時的だけ、神様じゃなくする方法なんだ。

なんでこんな方法があるかというと、大昔の人が、神様を殺すために作ったのかも
神さまは神さまのままだと死なないからね。

まぁ、やることはやることだけに、すごい罰あたりだけどね

そして、その棚おろしという方法と組み合わさって使うのが「ハセツ」ってもともとは呪いみたいな感じのもの。

なにをするか、これも簡単にいうと、神様を一時的に神さまの坐から引きづり落として怒り狂った神さまはもちろんそんな儀式をやった人をのろおうとするんだけどそこで儀式をやった人は、いやいや、みてください。私はただの人間で、なんの力もなくあなたを引きづり落とせるわけがないじゃないですか。

それをやったのはここにいる入道ですよ!みたいに流して代わりにおっぱらいたいやつらをやつざきにしてもらう。というもの

ただ、この方法には危険性が大まかに2つある
ひとつが神さまが本当に騙せるのか
もうひとつが、神さまがおっぱらおうとおもうやつらを倒せるのか?
というもの。

先生によると、昔の神さまは八百万いるのに、200年くらい前には多分三十万か、そこらへんらしい。
その理由としてが、まぁ、自分たちで禁をあぶって妖怪に下るやつもいれば。
この儀式でたくさん他の妖怪と戦って神じゃない間に死んじゃったらしい。

神さま実はよわかったり。
まぁ、だからどんどん日本の国力が弱くなって、最後戦争うんぬんがあったとかないとか

もし、神さまが負けたりした場合は
神さま殺されちゃうから。その業を誰が背負うかというと術者が背負うことになるんだよね
天罰?みたいなのがくだるのかな。天罰ってなんぞって俺もなるんだけど。
たぶん、不治の病とかかなぁ?

そんで、術者に天罰が下る可能性と、術者にそのまま神さまが呪いをかける可能性で実質成功率が2割きっているらしい。

先生の師匠に当たる人も、これで死んだとか。

だから、先生は、この方法が成功すれば、イタチたちは多分多い払えるけど自分的にはすこしいやだ。とのこと

三種類目の方法、それは「かりびらき」というものだった。

かりびらきはどういう感じになるのか実際よくわからないんだけど仮開くって意味じゃないのかな?

これを説明するためにはまず妖怪的な意味での人の誕生を説明しないといけないかな?
これも先生の受け売りなんだけど古事記とかそういう日本の神話では人の誕生は直接描かれていないんだけどなんかの神さまが、人間は土から生まれたとかそういうのを言っていたらしい。

多分そのもとになったのが中国の半分体が蛇だった神さまが人を作る際人を自分に似せて土くれをこねて、息を吹きかけたらしい
進化論信者が顔真っ赤にしそうな話だけど

息を吹きかけると、土くれだったものが動き始めて、それが繁殖して今の人間になったとか何とか。

多分、日本神話的にも、その大陸側人間創造の神話の影響受けているのかもね

でもまぁ、ここで人間の魂がいかに神さまに近い存在かうかがえる。
つまり、人間の大抵の構成は土くれで、魂みたいなものは神さまの息みたいなみのらしい。
でも、神さまは多分肉体とかもってなくて、息を吐くっていう表現もおかしく

極論神さまの息もまた神さまの一部で、最後までつきつめると人間の純粋な魂は神さまの一部になる。

もちろん、その一部というのは、人間でいう、細胞ひとつとかそんな感じのものだろうけど質的な意味では同じになる

しかも、天地創造級の神さまのね

それを利用したのがかりびらきって方法だ。

とても危険で、人間を霊的な意味で死なせる方法だった
かなり簡潔に書くんだけど
とりあえず、色々準備する→水を被る→髪の毛を全部切ってもやす→その燃えカスでかすに泥を混ぜてこねる→体に塗る→水で流す→ねる→その間にいろいろやるみたいな感じです。試されちゃったりするとかなり困るから、ここら辺の省略は勘弁

それをして何になるかというと、妖怪は人間の魂の部分を人間だと思っているんだけどこれで泥とかと一緒に魂が一時的に体から流されていくらしい

それで妖怪のめをごまかしたり、人柱にしたりとか色々できるみたい。
でも、実際にそれをやると色々不都合が出る。

何せつまり魂がなくなるって意味だからね

この儀式をやっても
魂っていうのはけなげなもので、しばらくすると人の体に戻るらしい

でも、実際問題は、妖怪はこの魂みたいなものを喜んでばらばらにしたりするからそのせいで、もどってこれなくなっちゃう

儀式の間にねむるんだけど、目を覚めたとき、魂が体に戻ってないとどうなるかというと、その人間は霊的にはしぬらしい。

霊的に死ぬと、ぱっと見た感じ人はあまり変わらないらしいんだけどどうなるかというと、すこしここは一端伏せておく。

あとでまた機会があるから話す。長くなるし、とりあえず話を進める。

つまり、この方法を使用して、いったんイタチさんたちをごまかして殺したと勘違いさせる。

そんで満足したイタチさんたちを帰らせるみたいな感じ。
ただ、まぁ問題点としては2つ。
ひとつは俺が確実に霊的に死んでしかも、イタチさんたちはどうやら、単純に俺を殺したいというより
俺の一家自体を呪っているから俺をなんとかたすけても、他の家族は全滅する可能性が高い

そして、他の家族はこの方法が使えない。

理由は簡単で、童貞じゃないから。

ほんと、童貞はこの世界だとすごい。30歳で童貞とか、まじ魔法使い並みにつよい
先生はこの3つの方法を詳しく説明してくれるとどの方法を選びたいかは俺が決めろ、と言ってきた。

俺はなんか自分の話をされている感じが全くしなくて、あ、ふーんみたいな感じだった。

でも、いざ君が選んでくれっていわれると。そんなの、答えは決まっていた

もちろん、一つ目の方法。俺は死ぬことにした

なんていうか、俺はあまり他人の負担になるような人間になりたくなかった。

まぁ、理由とかあまりないけど、なんていうかだれにも迷惑をかけたくなかった。

2つ目の方法は、先生がかなりのリスクを被う。
先生とはほとんど初対面で、そんな人に命の危険を背負ってまで、助けてくれなんて言いにくいし、なんせ成功率も低いとか

3つ目の方法はもう論外だった。
俺だけ生き残っても、家族全滅とか何にも面白くない。
両親にはもうお金とか、色々迷惑とかかけて、そんでのうのうと自分ひとりで助かるとか、屑すぎて、中学当時の自分にはありえなかった。

まぁ、しかも神さまになるって少し興味がひかれた。
ほら、中学だったから、察してくれ。もりだったんだよ、そういうのに対して

先生は俺が1番目の方法を選ぶと知って、なんだか安心したように見えた。

まぁ、他の二つはどっちにしても、少なからず先生としてはめんどくさかったんだろうね。

とりあえず、俺は先生の指示通りに色々やった。
まずは下剤を大量に飲んだり、いちじくを決めたりして。そんでもう出ないぐらいトイレにこもった。そして、睡眠薬を少し飲んで、これで悪い夢をみずに気持ちよく逝けると説明された。

人生最後の食事がインスタントのらーめんだったのは少し不満だったけどしかたなく納得した。当時はガンダムシードディスティニーとかみてて結局どうなるのかなぁーとか気にしながら、眠ることにした
実はお札がなぜ偉い人とかの顔かも、色々そこら辺に事情あるらしいけどくわしくはしらない。あれ自体で魔よけになってるみたいよ

あと平等院鳳凰堂とかもいいらしいね。

ねると、すぐに俺は夢をみた。
これも少し奇妙な夢でさ、俺は自分が夢を見ていることを自覚していた。
そんで、あ、先生のうそつき。夢見ないと言ったのにとか思ったりもした

夢の中ではずっと、たーたーたーたーっていう感じのBGMがながれててシチュエーションは俺の通っていた学校だったんだけど俺はそこで転校生になっていた。

そんで文化祭みたいな行事を準備する中、担任が劇をやろうみたいなこと言ってそんでオーディションをやることになった。

担任は台本みたいなものを出して「この劇をやるのですが、オーディションの際一個だけ気をつけてほしいことがある。このオーディションを受けた人は、二度とオーディションした部屋から出られない」みたいなことを言っていた。

俺のクラスにはなぜか俺の妹がいて、妹はなぜかやるきまんまんでオーディションを受けることにした
前の分でミス、オーディションを受けたら部屋から出れなくなるわけじゃなくてオーディションで外れたやつが出れなくなるらしい

俺も「あ、これ夢だ」って自覚していたけどなぜ妹についていって、オーディションの部屋に行った。
その部屋は音楽室なんだけど俺の母さんと父さんがいて、その二人は教室の後ろでひそひそばなしをしていた。そんで室内にはまだ色々おかしいものがあった。

確かバーベキュー用の網が壁に立てかけていて、ゴルフクラブが地面に散乱していて音楽の先生がピアノをどんどんバラバラにしていた。

俺はなんだかどんどん不安になって、なぜか震え始めて、オーディション受ける人が10数人いたんだけど
そいつらの顔だどんどん歪んでいくみたいでそんで、担任が入ってきて、いまからオーディション始めよといった瞬間俺の中でなぜか恐怖が爆発して、音楽室から飛び出した
学校の中庭くらいの場所まで走って、俺のクラスで俺が結構気にしていた女子がいるんだけどその子がいて、彼女は俺に近づいてきて、「あれ?オーディションうけにいったんじゃないの?」みたいなことを聞いてきた。

俺は「あ、え」みたいな感じでそれに答えられなくてすると、彼女はすこし笑って「ダウト」って言ってきた。

その瞬間、悲鳴が頭上から聞こえた。
上を向くと、そこにはオーディションを受けていた同級生たちとか妹と父さんと母さんが首をつっていた

なんか表現しずらいけど、とりあえず夢だからなぜロープが伸びてなぜかつるされてた。

俺はいそいで二階の窓みたいなところに行って、つるされた妹をじっとみつめた
そしてものすごい後悔の念がしてもしあの時オーディションに残っていれば、一緒に死ねたのかなぁとか考えて俺は目をさました

目を覚ますと、周りは真っ暗だった。

頭がすごく痛くて、しばらく自分がだれで、どこにいるのかわからなかった。
そんで何分かたった後に、やっと今いるのはばあちゃんの家の一室だとわかった。

どうやら、俺が寝たと記憶していた部屋とは別の部屋だった。
誰かがはこんでのだろうか?とかぼんやり考えて喉がひどく乾いたから、厨房に行くことにした

俺は厨房に行って部屋から出ようとしたら、襖のあたりでごろりとしたものに躓いて転んだ。

割とでかいものの感じがして、はっきりとした質量というか重さというかそういうのを感じた
何だろうと思って、足元を見てみたんだけど、何もなかった。

そんで、そこで頭がすっとさえわたった。
あれ?俺死ぬんじゃなかったけ?なんでいきてるの?
ていうか先生は?今何時、どうなったの?
とかいろいろ頭の中で渦巻いた。

とりあえず、時計が部屋にあったはずだから、電気をつけた。
深夜の一時半であった。

俺はものすごく不安だったし、怖かったから家中の電気をつけまくってリビングみたいなところでテレビもつけた。
家の中には俺以外に誰もいなくて。ただ少し気になったのが、家のいたるところに黒いねばねばした奇妙などろ?表現しにくいけど、そんな感じのものがたくさんあった
俺はその時、猛烈にトイレとかに行きたくなったんだけど黒い泥とかみて、怖くなって、どうしても自分で行く勇気はなかった。
だから、厨房の流し台でおしっこをした。
今思えば汚い話だ。

ばあちゃんの家は一番広いリビングの部屋と、厨房みたいなとこがつながっていたから俺はリビングと厨房をつなぐ通路と厨房の間の襖を全開にして、他の部屋の扉とかは全部閉めてその前に机やいすとか置いて、軽いバリゲードとか作ってみた。

なぜそんなことをしたのか、その頃の自分はまったくわからなかったんだけど多分半分パニックになって、とりあえず、恐怖の本能とかにしたがって自分のテリトリー?みたいなのを作りたかったんだと思う

それを全部やり終わったころには、夏場だったし、夜だから涼しいとは言え汗だくになっていた。

冷蔵庫から麦茶をだして、がぶ飲みしながら、ぼんやりと大音量のテレビを眺めていると玄関のほうから(もちろんそこまで行くドアは封鎖済み)ばあちゃんの家にある電話がりーんりーんってなった。

飛び上がるくらいびっくりしたんだけど、少し落ち着くと、もしかしたら、父さんたちからの連絡かもってよろこんだ。

そんで、自分で運んだいすとか机とかまたすばやくどかしてドアノブに手をかけた瞬間、全身をすごく嫌な感じが駆け巡った。

どう説明すればいいのかわからないんだけど、間違いなく、ドアの向こう側には何かがいた。息を殺して、潜んでいる感じがどうしてもいた。

今思うと、もしかしたら、それは被害妄想みたいなものだったかもなんだけどその時の俺はドアノブを握ったまま、固まった。
そんで、電話のベルは2,3ふんかな?ずっと鳴っていてその後、静かになった。

俺ははっと安心して、ドアノブから手を離したんだけどそんでびっくりした。

ドアノブを握っていた手が、なぜかすすまみれになっていた。
いそいで水道まで行って、手を洗った。正直もう何が何でも動きたくなくなった。
でも、再度気合いを入れてバリゲードを再建して。
録画してあったホームアローンをテレビで大音量で流しながら麦茶を飲み続けた。トイレに行きたくなったら、そのまま厨房の流しに流し続けてたまに別の部屋とかで物音したけど、風の音だとか自分に言い聞かせてそのまま籠城し続けた。

結構ずっとねっぱなしだったから、夜中とは言えぜんぜん元気で4時近くまでそのまま過ごした。
そして、玄関のほうですこし物音がして、「おーい、もうおきたか?」的な感じで、先生の声がした
それでも何もせずにじっとホームアローンがおわって、今度は天使にラブソングを流しといたテレビを見つめていたら

どんどんと、ドアらへんが震えた。
さらに無視していたら、バンバンとドアが強く推されて、ドアからあちら側が少し見える
隙間みたいなのができて、そこには本当に先生がいた。

先生はなんとかバリゲードにふさがれたドアを押しあけて入ってきて、俺をみると
あ、怖がらせてみたいだね。さっきは電話に出てくれなかったし。
みたいなことを言ってきた。

先生は全身泥だらけで、頬には蚊に刺された後もあった。
俺はとりあえず先生に、どこに行っていたとか、母さんたちは?とか俺死ぬんじゃなかったの?とか色々聞いた

先生はまぁまぁおちつけと俺の質問をとめると今夜はもう眠れそうにないし、ゆっくり話そうといってきた。

そして、先生が何を話し始めたかというと。陰陽師とか日本でのそういう系の妖怪退治の由来だった。

もともと、そういうものがどこをもとにしているかというともちろん大陸側で、国でいえば中国であった。そして、中国では風水とか易経とかそういうのはかなり昔にまとめられたものなんだけど、実際にそれを妖怪退治とかに応用し始めたのは三国志とかのあの時代であった。
まぁ、有名な人の話なんだけど
当時の曹操って人が、中国の北側を統一する前に、敵として袁紹がいた。
曹操がかなりの劣勢で、金でも、軍隊の数でも、食糧とか人口とか土地とかでも負けていた。
もちろん曹操は最終的に逆転して勝つんだけどね

その差を少しでも埋めようとした曹操が考えた策の一つがひそかに一部の部下に命じて、歴代の貴族とかの墓を荒らすというものだった

もちろん、墓あらしとか、当時の時代ばれたらまじでやばかったから(主に民衆から嫌われたりして
ほんとに極秘で行うしかなかった

当時は貴族とかが死ぬと、膨大な数の副葬品があった。

曹操はそこに目をつけた。その金銀品を回収して、少しでも軍事費用に当てたかったのである。
そして、昔の墓っていうのは風水とかに合わせて作ったりしていていい風水ほど、いい墓が建てられていた。
墓の内部は、罠とかもあったんだけど易経に従ったものが多くて曹操の部下たちはより墓を簡単に荒らすために、まずはその二つを勉強しながら作業を進めた。そして、そのおかげで、莫大のお金が曹操の手に入ったんだけどここで問題が起きた。墓をあらしてるんだから、もちろん罰があたるというか汚いものとかがついて来るよね。

そして、そこで、対そういうものについて組織的に色々策を考えることになった

まぁ、実際妖怪がいるかどうかは俺には証明しないといけない責任はないと思うし信じるかはあまり重要じゃないと思う。

そんで、先生がそんな感じの話すると俺は今そんな話をする意味ってどこにあるのか、疑問に思った。
そんなことより、両親が今なにしているのとか、俺がナンデ生きているのかとかそっちのほうが気になった。

それを先生に言うと、先生はまぁ、まて。あと少しで本題だ。
と言ってきた。

墓あらしが、除霊とか、陰陽術とか、そういうものの大本に当たるんだがこれはつまり、そういったものは式典とか祭りとかそういう感謝や畏怖の気持ちで神さまに対して行うものとは大きな違いがある。

根幹に位置する意味というのには反省や贖罪になっているのだ

因果って言葉があるように物事には因つまり、理由があって、「果」結果が伴う。

俺の家とかでいうと、俺のじいちゃんが先にイタチたちを丸焼きにした。
だから、恨まれた。

妖怪とかは特にそうで、理由がなければあまり人間にかかわろうとしない
これは道行を積むいみで重要なんだけど、今の話にはあまり関係ないからすこし省くね
簡単に言うと、妖怪はあまり人間と付き合うと、人間の欲望というか、そういうのに毒されるから好ましくないらしい。

まぁ、一部のやつは自分から面白がって近づくがそういうやつは大抵弱いやつで、人間の命を脅かすとかはまずなく、いたずらとかが目的が多い。
そして、そういういたずらっ子は、「おまえ、いたずらはよくないぞ」と教えれば、すぐに素直に聞いてくれる。

だから、最初のほうではどうやってイタチをだますとか、追っ払うとか3つの方法云々と言ったが。実は半分くらいはうそだ。

実は、先生が使った本当の方法は、まぁ、うちの得意とする交渉であった。
何度も言うように、妖怪退治とか言ってるけど。
少なくても俺や先生みたいなタイプは妖怪を殺したり、封印したりするほどの力なんかない。

一時的に退散させることはできても、恨みとかそういうのが深ければまたすぐに戻ってくる。しかも、その時は、退散させた人も恨まれたりしてかなり損な仕事だ。

先生はイタチにこういう条件を出した。
確かにイタチ一家をうちのじいさんが殺してしまった。
その罪は重い。だから、イタチたちも、俺の一家を根絶やしにしたいと思っているであろう。
だが、はたして、殺してしまえば、それで罪は償われるのか?
イタチたちの気持ちは本当にそれだけで治まるのか?

ちがうだろう、多分殺しても、その憎しみは晴れないだろう。
ならこうしようではないか。

殺すのはもったいないから、生かしておこう。

ただ殺すだけなんかより、より苦しんで生きさせたほうがずっと
復讐心を満たす。
しかも、普通に殺すより、そっちのほうが妖怪側にとって、業の少ない手になる

最初はもちろんイタチたちはすぐにはこの案には同意しなかったらしい。
確かに、そのようにいじめたほうがずっと、楽しいかもしれない。

でも、あまりにも長い間待ったから、やっぱり今すぐに殺したいとのこと。

だから先生は新しくこう提案した。
では、こうしよう。
この家の人間で一番家族思いの人間をのみ残して、他のやつを全員殺そう。
そうすれば、君たちはすこしは気が晴れているだろうし
残された人間はひどく悲しんで、苦しむだろう。

さらに、私はこの家に残った家族からたくさんのお金をもらえる。
まさに一石二鳥だ。
どうだ?私と組んで、この家のものをだまさないか?

先生は最初から、家族全員を助ける気などなかった。
罪は罪だから、償う必要がある。
彼はある意味とても公平な人だった。

まぁ、だからこそ、妖怪と交渉できるんだと思う。そういう風に人間の利益だけでなく妖怪側の利益、さらには、自分の利益すべてを秤に乗せて、バランスをとる

これが、過去の墓あらしたちが生み出した、妖怪退治という仕事だった。

それに、実際のところ彼は全然仕事をしなかったわけでもない
現に、俺の一家全員死ぬところ、こういう風にして一人を生かす道を見出したんだから
そして、3つの方法うんぬんの話。
この話で、家族愛というかそういうのを、先生はためしたらしい。
一つ目の方法をやるってことは自分より家族を優先しているんだから家族愛がすばらしいであろう。
この方法は実際はただ、簡単な妖怪払いみたいなものでこいちは生きたままくるしめようぜげへへマーキングだね

2つ目の方法は、自分の危なさを強調することでこの方法を選んだ人から、お礼の金をたくさんぶんどるためのもので実際にぞんざいする方法ではあるが、現代の人間が実行してもただ失敗するだけの方法
ちなみにばあさんがこの方法選んだらしい
ばあさんからは成功しても、失敗しても、多額のお金を受け取る約束をしていた

3つ目の方法は単純に、妖怪に襲われやすくなるだけ。というもの。
俺の父さんとかあさんはこれを選んだらしい
案外、怖がっていたのかもね、2人とも。
先生の話を聞き終わった俺は茫然とした。

まぁ、つまり、俺は結果的には「助かった」らしい。
でも、決してイタチたちから逃げれたというわけでもなく。
むしろ、イタチたちは多分、これからも、夜な夜な君をいじめて楽しむであろう。
というようなことを言った。

ここからは、もう妖怪とあまり関係ないし、俺が思い出したくもない話だから、詳しくは言わない
ただ、色々あって、俺の父さんと母さんと、ばあちゃんはそれから一週間の間に立て続けになくなった。

俺は中学生だったんだけど、親戚も全員いないし、何の当てもなくなった。
先生は、そんな俺を養子にするとかいいだしたけど、俺はあんたみたいな野郎の息子になるかよ、死ね屑、はげ。みたいな感じだった。

だから先生は、でも、お前どうせこの先どうしようもないんだろ?
しかも、イタチどもがずっとお前をいじめていくぞ
なら、俺の弟子入りでもしないか?
ちょうど、仕事手伝ってくれる人間がほしくなってきたころだしバイトとか雇うわけにもいかない。
まぁ、給料は出さないが、それなりに知識が身に付いたりするぞ?みたいなことを力説してきた。

当時の俺は都会育ちのゆとりだったから、正直なところ、どうするべきかわからなかった
そんで、先生のうまい感じの口車に乗せられて、半分強引に弟子入りした
うちの遺産とかうんぬんはうまいぐらいに先生に持って行かれた。

かなり前に、俺が先生のことをどう思っているかという質問があったけど。
まぁ、正直、自分でもよくわからない。
憎いというかそういう気持ちもあるし、尊敬の念もあるし、でも、やっぱりゆるせない

エピソード4.東南アジアであったこと

これはちょうど去年のこのころの話で先生がマレーシアの友達に会いに行くから、お前も来るか?

みたいなことを言っていた。

その時はめずらしく、先生が交通費を持ってくれるという話だった。
ちょうど、その時はすこし稼ぎがいい仕事が終わった後で先生の機嫌がかなり良かったのが理由かも成人してからは、先生からなけなしだけど、給料をもらっていたんだけど。

仕事の時、新幹線とかの移動費用も自分持ちが多かったからかなりめずらしい話だった。

特に仕事関係のものでもないらしくて、俺はどうせならと考えてついていくことにした。

まぁ、軽い旅行気分だった。
ちなみに、この話は妖怪関係とすこし違う話でどっちかというと、人が怖いみたいなやつ。

その先生の友達って人は、昔仕事ですこしお世話になったという人で中国人のおっさんらしい。そんで霊感がすごいうんぬんで金牌術っていうよくわからない分野のものに詳しく妖怪から、除霊とか、風水とか、なんでもござれの感じな人だった。
現地ではそれなりに有名な人らしい。

金牌術についてはまたすこし後に。

俺としては、その頃にはそれなりに貯金があったから到着してからはすぐに先生と別行動して、帰るときに合流するみたいな感じに持って行きたかった

行く前にはそれなりホテルとか物価とかしらべて、ひとりでインジョイするつもりだったんだけどそんな俺の考えを知ってか、先生は飛行機で俺にマレーシアの女はすごいんだぜ、ゲヘへみたいな話をしてきて

そんで、友達に会った後に、俺を東南アジアの女の素晴らしさを知ることができる場所に連れて行こうか?
と聞いてきた。

俺は3,4分ぐぬぬって悩んだけど、やっぱり男なわけで童貞を異国で捨てるのも悪くないなぁとかなんとかw

一人でホテルを予約していたんだけど、キャンセルした
そんで空港から、先生に連れられて、その人の家に行くことになったんだけど

最初はバスに乗って、2,3回乗り換えて、さらにタクシーに1時間半揺らされてその後さらに車が通れないような細い道(町中なんだけど、なんか細かった)を徒歩で1時間。それでやっと着いた。ちなみに、その間の荷物持ちはもちろん俺だった。

もしかしたら俺は先生に荷物持ちとして連れられてきたのでは?
とかおもった。

先生の知り合いの住んでいる場所はかなり古い感じのアパートみたいなものでそのアポート一つ丸々その人のものみたいな感じ?
ぼろいけど、中は結構きれいで住むにはいい感じだった

俺と先生を出迎えてくれたのは、かなりのイケメンで俺と多分ほぼ同じ年の青年だった。

日本語ペラペラで、先生と話していたんだが、俺はほぼ無視された。
たぶん、雇われた荷物持ちだと思われていたのかも

そんで、話の内容から、その青年の名前はワンなんちゃらで
中国人で、先生の友達ので弟子的な人だった。

無視されて少しムッとしたから、わんとか犬かよとか、大人げないことを思ったりもした

そんで案内されてやっと、先生の友達の人にあったんだけど、これまたかなりのイケメンで、後から、先生よりも年上で50台後半だと知ったんだけど40代のナイスミドルみたいな感じだった。
少し前にも質問あったけど、うちの業界ではイケメンは少し少ないという話をしたよね
これはとくに理由というのは定かではないんだけど
最近自分が思うに、たぶん、イケメンのほうが女性的な部分が強いからじゃないかな?
あくまで憶測だから気にしなくてもいいが

そんなジンクスを真向に崩された気がして、俺はすこしこの子弟に興味がわいた

最初ナイスミドルのおっさんは先生とひさしぶりとか日本語で色々話して

そんで、俺の存在に気がつくと
この子は誰だ?と聞いてきた。

先生は俺のことを紹介すると、おっさんはリーなんチャラだと紹介した。
リーのおっさんは物珍しそうにすこし俺を眺めたりしたんだが、俺と先生を座れる席に案内して、ワンくんにお茶を出させた。

その間に先生とリーのおっさんが世間話を色々していて俺がちょうどお茶を口にしようとしたら、先生にそのお茶は飲まないほうがいいぞと、たしなまれた

先生にえ?って感じな顔をしたんだけど。
先生は呆れたかのように、昔は教えただろ?綺麗な部屋には気をつけろって。

そんで、そこでやっと思い出して合点した。
この家ってもしかしたら蠱を飼っているんですか?って聞いたら。リーのおっさんはそうだ。と答えてくれた。

まぁ蠱って割と有名だから、wikiにも割と詳しく書かれていてるんだけど。
多分みんなが思っているような式神みたいなものとはまた違うんだよね。

かなり前に、そういった式神みたいなものは多分使える人はいない、といったよね。

じゃあ蠱ってのは実際のところどういうものかというと蠱ってのは一種の人工的に妖怪に似た何かを作り出す手法なんだよね

まぁ、作り方とかはwikiに色々書いてあるんだけど

あそこ敵には蠱は呪いの道具として使われていて蠱をすりつぶして、呪いたい相手に飲ませると、相手は呪われて死ぬというもの。

ただ、うちの先生によるとそんなもんマユツバにもほどがあるとのことだ
普通に現代の常識的に考えてたくさんの虫とか蛇とかを共食いさせたりとかすれば、それだけ生き残った
やつにたくさんの寄生虫が集まるし、それがないとしても、かなり汚い

そんなものをすりつぶして誰かにのませたら、病気の一つや二つにもなる
しかも昔は医療環境がひどいから、多分そのまま死ぬ

ただ、これだけだと、蠱の使い方としては下の下
結局のところ、ただ毒を盛るのと同じだからね

本物の蠱使いってのはもっと恐ろしいものなんだよ。

最初に言った通り正しい蠱とは一種の人工的に作り出された妖怪で人間に対してはかなり悪い方向の感情をもっているらしい

そして、その力というのは、どっちかというと座敷わらしに似たもので昔話では、とある金持ちの一家が歴代にわたって蠱を飼っていたんだけど新しく嫁が家に入り、嫁には蠱を飼っているとは言わなかった

ある日、その家の他の人が外出して、嫁だけが留守番していたら突然部屋に置いてあった大きな桶から物音がして、嫁が確認すると中には大きな蛇がいた

びっくりした嫁は急いで、お湯を沸かして、その蛇にかけてころした。
家の他の人が返ってきた後、その話を聞いたら、みんな泣きだしてすこししたら、家の人間全員が病気でなくなった。

というものがある

蠱の専門家でも何でもないから、説明がうまくなかったり、詳しくなかったらごめん
結局のところ蠱はなんの働きをするか簡単にいうと「寄生虫」みたいなもの

蠱を作った人は、それを他人に「憑かせる」
作られた蠱によっては、その憑いた人から運気とか寿命とか色々吸い取って憑かれた人間が死んだりすると、また作った人の元に戻っていく。

ただ、ここで気をつけないといけないのは蠱はより住みやすい環境に住みつく習性があるから、たまに憑いた人の家が心地よくてそこに居座ることもあるんだけどど、その場合、作った人も、憑かれた人も色々吸い取られて死ぬ。

しかも、蠱は一定時期に人を殺したりしないと作り手を殺すのでいったんつくったら、三年おきぐらいに新しく人を殺さないといけないとのこと
じゃないと、作り手を殺す。

さらに、もし蠱が見つかって、誰かほかの術者とかに殺されればそれでも作り手は死ぬ

大体こんな感じかな?

そして蠱を飼っている家の特徴としては、ほこりがひとつもないほど綺麗
人がたくさん住んでいる場所に家が建っている
写真が飾っていない、とかなんとか

もちろん、蠱の予防策的なものもあって他人の家で、ご飯とかいただくときは、箸でまずお椀をたたく
ネギを持ち歩いて、他人の家に入る前に、齧る
万能な塩たっぷりしょうが水を外出後に飲んでみるとかとか

ちなみに、蠱のいる家でお酒飲むのは厳禁で、かなりやばいらしい

そんで蠱をどうやって放つかというとこれも方法が色々あるんだけど

どの方法でも、あげる→受け取る、というサイクルが必要みたい

例えば、財布みたいなものに蠱を仕込んでおいて、それを道端に置いていく。そんで、その財布をねこばばすると、蠱はねこばばした人につくとか

放つ側としては「財布を上げる」そして拾う側としては「財布をもらう」
みたいな関係ができて、そこで蠱は拾った人に憑く

だから、道端に物が落ちていたらむやみに拾わないほうがいいし、拾ったとしても警察に届けたほうがいい

そして、蠱の厄介どころとしては、作り手が仕込む場合もあるけど、蠱は式神とかと違って自分の意思があるからたまに、独断で誰かについてしまうことも多い。

例えば、蠱を飼っている人が友人を誘って食事をするとしよう。
その友人とは親しいとしても、飼っている人は「食事をあげる」
友人は「食事をもらう」って関係ができると、蠱が無断に友人について友人を吸い殺すことも多いらしい。

まぁ、これでも軽いほうで。ひどいと握手を求める、それに応じられるとかだけでも、相手に憑いたりする。

だから、蠱を飼っている人は碌な人間関係はつくれない。
身内から死んでいくからな。

ここで話を戻すんだけど、俺はそんなことを思い出しながら口をつけそうになったお茶を置いた。

蠱を飼っているなら、相手側に何も悪意がないにしろ、むやみに何かをもらったりするのはかなり危ない行為だった。

同時に、なんて物騒なもん飼っているんだ。
しかも、お茶を出してくるとか憑かせる気満々じゃないかとも思った。

すると先生はそんな俺の考えを読みとったのかリーのおっさんは好きで蠱を飼っているわけではないと説明してきた。
どうやらそれは親から受け継いだものらしく、俺でいうイタチみたいなものだという。

そんで、それでもお茶を出したりするのは、礼儀がなっていないと蠱に愛想尽かされる可能性があるかららしい。

それで、もし憑かれたとしても、それは自己責任だとのこと
一通り世間話が終わるとリーのおっさんは先生に見せたいものがあると言って先生を別の部屋に案内していたった。

俺も付いていこうとしたんだけどリーのおっさんは若い人にとってはつまらないものだといって
ワン君に町の観光案内でもしてもらいなさいと言ってきた

俺はしかたなくワン君について行って、そこらへんを散歩することになった。

ワン君も日本語がすごく上手だったんだけどなんか態度が悪いというか、微妙にこちらを見下している感じがあってすこし気に食わないやつだった。
しかしワン君の対応自体は丁寧だし、お願いごととかは普通に聞いてくれる感じだった
彼としばらく町をうろついて、屋台みたいなところで色々食べたんだけど

ワン君は結構すごかった。
なにがすごいかというと、みんなからの人気がやばかった。
なんか現地の言葉は理解できなかったんだけど町の殆どの人と知り合いみたいで、みんなから挨拶してもらったりお店なら、普通に食べ物ただでくれたりした。

現地に到着したのが午後の3時頃だったんだけど、そのまま町を2,3時間回って特に観光スポットはないけど、異国の文化というかそういうのが新鮮だった。

お守り屋さんとかもあったんだけど、物珍しさから色々買ってしまったらそんなもの何の役にも立たないから、もしほしいなら、私が効力のあるものをあげると、ワン君が言い出した。
蠱のこともあるから丁重にお断りした。

そんでなんだかんだでリーのおっさんの家に戻ると、リーのおっさんと先生が消えていた
そんでワン君によると、どうやら書置きがあって、二人で飲みに行くらから明日の朝まで留守番を頼みたいとのこと。

まぁ、二人は古い友人みたいだし、2人きりで話したいことでもあったのかもね
でも次の日の朝までとは...まさか例の東南アジアの女性のすばらしさを知ることができるいいところじゃないよな。とか思ったけど、先生は帰るときに連れて行ってくれるという約束を信じて我慢することにした

ワン君は俺に部屋を用意してくれたあと、この家で夜を過ごす時の色々の注意を言ってくれた。

まずは夜の間決して目を手で触ってはいけない。
もし触りたい場合は、何か布とかでクッションしてから触るとか
夜の間は決して「死ぬ」とかそういう系の言葉を言ってはいけない
もしどうしても言いたい場合は「ああいうこと」とぼかすこととか色々

用意してくれた部屋はまぁ、ビジネスホテルみたいな感じな部屋で窓がなかった。でも、割と快適みたいだったから、ネギを少し時間置くごとに齧ってワン君のくれた蠱よけの笛みたいなのを一定期間おいて吹いて

風呂を浴びて寝ようとしたそのとき事件が起きた。

エピソード5.三尸虫

 

俺がちょうどペットに入ろうとしたら、全部屋中に響き渡るようなブザーの音が鳴った。
どうやら誰か来客が来たようで

俺は、まぁワン君が対応してくれるだろう。とおもって放置するつもりだったんだけどしばらくすると、下の階ほう(俺は二階の部屋を使わせてもらっていた)がすこし騒がしくなって子供が泣き叫ぶ感じの声がしたりして好奇心がわいてきたから、パジャマから普段着に着替えて様子を見に行くことにした。

すると、朝に俺が案内されたあの応接室?みたいな場所で、現地の人っぽい男3、4人と女の人が一人いて、その人が子供を抱きかかえていて、 子供は泣いていた。

男の一人がワン君となんか話していて、ワン君は話を終わらせると、部屋から出て行った
なにがあったの?って聞いたけど、急いでいるみたいで無視された。

俺はなんだなんだとおもって野次馬根性で眺めていたらワン君が聴診器をもって再び部屋に戻ってきた

聴診器を持ってきたワン君は子供に診察のようなことを始めた。
そんで、難しい顔をして大人たちと話し始めた。

しばらくそれをぼんやり眺めていたら、ワン君と目があった。
するとワン君はやっぱり難しそうな顔で俺のほうにやってきた。

何かあったのか?ときいたんだけど。
どうやらリーのおっさんとワン君が住んでいる街には正式な医者がなくて 普段彼らが医者まがいみたいなことをしていて 、今日も今着ている人たちの家の子供が朝からお腹が痛いと言って、最初は気にしていなかったんだけど 夜になってから急に痛すぎてわめき始めて、しかたないからリーのおっさんを訪ねた みたいな感じだった。

それで、なんでワン君とかが現地の人にあんなに尊敬されているのかが少しは分かった気がした
近くにいる唯一の病気が見れる場所のひとなんだもんな。

それで、まぁ、弟子のワン君もまだ半人前だけど、一応それなりに知識を持っているみたいで その子供はどうやら急性盲腸炎みたいだとのこと

それでどうやら結構切羽詰まっていて、今すぐ手術をしないとやばい症状らしい。

一応リーのおっさんとワン君は外科的な知識もあって、普段は本当に極たまに小さな手術 もやったりしているし、盲腸もきったことあるらしいんだけど。
いつもはリーのおっさんがメインで、ワン君がお手伝いみたいな感じだった。まぁ、もちろん2人は医者免許なんてないんだけどね。それで、今日リーのおっさんは出かけているし、近所のでかい病院までといっても 歩きで30分、さらに車で3時間かかるらしい。子供の盲腸は進行が急速で、穿孔しやすいらしいから。さすがにそれでは命の危機がある

だから、今からなんとか手術をしたいんだが、手伝ってほしいとのことだった。

俺ははぁ!?みたいな感じだったんだけど
ほかに手伝えそうな人くらいいるだろと、初めてエヴァに乗れと言われたシンジくん 状態だった。

その時はナンデ俺が?とかおもったけど、どうしても手伝ってほしいとお願いされたから どうなっても知らんぞと無理やりワン君と現地の人たちに懇願されて 手術室みたいなところに行くことになった。

手術室みたいなところはアパートでいう3階のはじっこにあって 確かに清潔っぽかったけど、でもやっぱり衛生的には気になる環境ではあった
あと、機材もすごい簡易的なものばっかで おいおい、こんなんで大丈夫かよ!とおもった。

そんで、一応白衣みたいなのを着替えさせられて新品みたいな感じで袋に入っている手術道具とかを使って、ワン君は手術を始めた。
でも、妙なことに、俺に手伝えとか行った割には、なんにも俺にやれとか 指示はくれなかった

棒立ちのまま、手術を眺めていたんだが ワン君の手並みはみごとなものだった。ブラックジャックみたいでカッコよかった

それでよくわからないまま、手術は1時間半から2時間?ほどで終わった。

子供はすやすや眠っていたんだけど。
ワン君は疲れ果てたみたいな感じだった。

そして、ついてきてくれと俺に言うと、切り取った肉片?多分盲腸みたいなとこだと思うんだけど それを持つように指示されて 彼は手術室の地面にあった出っ張りみたいなのをひっぱた。

すると、そこには狭い階段みたなのがあって 、すまない、今これを一緒にやることを頼めるのは君しかいない 三尸虫は分かるか? ときいてきた

三尸虫というのはわりとしっているものだった。
先生によれば、一番かかわりたくない系のものの一つらしい昔の人は、なぜ人が年をとるのか知らないから、虫が人の命を食べている と理解していた。
三尸虫は人の体に住んでいて、人の精神力というか、気力というかそういうのを食べて生きている
しかも厄介なのはこいつらは吸えれば吸えるほど喜ぶやつらで 宿主のことなんか全く考えずに、ひとを殺すまで吸ってしまう。その後、また知らん顔をして新しく生まれる子どもとかに憑いたりしているんだ。
人間が道行をつもうとする場合、まずは最初のこの虫たちをなんとか殺さないといけないだから、昔の道士とかは重金属の水銀とかでできた丹をたべたりしていた。
三尸虫をころして、自分が死ぬ前に入道してしまえば!
みたいなかんじだけど、そうそう簡単にいかないからなぁ。あと、神さまも三尸虫に吸い殺されることがあるとかつまり、マジでやばいものなんだ。
悪い例かもしれないけど、もののけ姫とかで、最初にでてきたあの豚の神さまからすごいくろいにょろにょろがたくさん出ていたんだけど、あれを三尸虫のイメージにしてもいいかも

三尸虫がどうしたのか、と俺が聞いたところで ワン君は俺をつれて階段を少し降ながら、断龍杭のことは?と又聞いてきた。
断龍杭ってのも結構有名な話だ。
これまた起源は昔の中国だったんだけど 明朝をひらいた朱元璋は、自分の作った王朝がまた、別の王朝に滅びされるのをおそれ 部下に命じて、中国全土の龍脈つぶしにかかった。
龍脈はまぁ、なんか風水的にすごいところで 昔は、龍脈の力を借りないと皇帝になれないと信じられていた。
まぁ、借りたとしても、その後の地殻変動とかで、龍脈の流れが変わったりして 王朝が入れ替わったりするらしいけどねそんで、その龍脈をすべてつぶす方法に使われたのが断龍杭。でも、明のその行為により、明の龍脈が弱くなっても、漢民族から別の王朝が生まれず 代わりに異民族の清によって支配されるとかなんとか近代でこれにまつわる話だと、二次大戦中の日本とかあるね。
小国の日本は東南アジアを占領したりしたんだけど、支配している国のほうが圧倒的に 人が多いし、土地もでかいということから とりあえず、そこら辺にある龍脈をつぶしまくったらしいね。
まぁ、結果、これは無駄になったかは知らんが、東南アジアではなく 新大陸がわからたたかれたわけですが
と、そういう話をしながら、階段を下りていたら急に肩から、後ろに向かって引っ張られる感じがした。
階段の中は結構真っ暗だったんだけど 後ろに人がいないのは確かだった。でも、後ろからたくさんの息づかいというか、そういうのを感じた。
そして、妙に焦げくさいというか、そんな匂いがした。すこし立ち止まったから、ワン君は少し不思議に思ったのか 早く来てくれ、と言ってきた。すまないけど、俺はこの先から降りていけないんだ。 と、俺は答えた
前の話でしたように 例の俺のじいさんが焼き殺したイタチたちは別に、完全に復讐を遂げて満足しているわけじゃない。
そいつらはずっと、いまだに、俺をいじめてあそんだりしているわけなんだけど 俺もどっちかというといじめてほしかった。なんというかおれはMじゃないんだけど でも、家族がみんな死んだのは俺のせいというかなんというか妹をあの日とめていればとか、そういうことで結構罪の意識があるんだと思う。
だから、何か罰がほしかったのかもねそんなこんなでどうやら、彼ら的には、まだ俺は結構いじめがいがあるみたいで 極たまにやつらが役に立つこともある。
俺が死んだり、それに近いことになってもらってはつまらなくなるらしいから、なにかとマジでやばいところとかに行こうとするときはこういう風にとめてくる霊感皆無の自分としては助かるんだけど 存在は迷惑だった。仕事柄、そういう危ないところに行くのはしかたないことだから、無駄に恐怖心をあおられるだけで、結局行かないとだ学んだから

でも、今回は違って、別に行かないといけない理由は何もないわけだから 危ないなら近寄らないのがいちばんだ。

だから俺はワン君のお手伝いを断ろうとした

すると、ワン君はいらいらしげに、この下に断龍杭が刺さってあるんだ。
ひとりじゃむりだから、手伝え。と言ってきた。俺はえええみたいな感じになったんだけど、それを聞いて納得した。
断龍杭と三尸虫の組み合わせでいうとかなりメジャーで つまり、俺は手術の手伝いとして呼ばれたわけではなくて 「祝死」 という儀式の手伝いをするためにおばれたわけだ
「祝死」というのは中国の「清」の時代にうまれた文化で、薩満たちによってうみだされたものだ
清は中国の女真族という少数民族によって作られた国家で薩満はその民族のオラクルみたいな存在かなそして、この「祝死」ってのは非常におそろしい儀式なんだよね。これは、三尸を寸断された龍脈に植えてるというもので 詳しい、理屈とかはわからないんだけど、とりあえず龍脈の「死骸?」をかりて ものすごい勢いで増える。これで、人工的に三尸を増やすことができる
これを利用して色々三尸でやるんだけどこの儀式にはすごいデメリットがあった。
当時の薩満たちは将来とかのことはあまり考えていなかったみたいだけど 植えられていた三尸が龍脈を食い荒らしながら、どんどん増えて 最終的にあふれだしてしまうんだよ。中国の18世紀とか19世紀初頭とかはかなり戦争で人が死んだりしたんだけど それが、この「祝死」によって 最終的に三尸が増えすぎて、マンホール的存在だった断龍杭をふっとばして 湧き出てきてしまったのが理由とか何とか
まぁ、中国はほぼ自業自得で祝死の影響をうけていたんだけど 実は、日本も結構これの被害があったりするんだよ。
これは前にも言った通り、第二次大戦中に日本は東南アジア諸国の龍脈を寸断してまわったんだけどその時の話で、どっかの国のとある風水わかる人に、日本軍にむりやり道案内をさせたんだが その人は日本軍の軍人たちをつれて、龍脈にたどり着くんだけど その人はかなりすごい術師だったらしくて 色々策を巡らせて、龍脈を切断させたあと、軍人たちを殺した。そして、その軍人たちの死体と三尸を龍脈に埋め込んで 祝死をして、軍人たちのしたいとか持ち物とかも利用して 半永久的に、日本を呪うすごい術を構えたそのある術ってのが、降頭術の由来というか、そういうものの大本かな
基本的な部分は、ほとんどそれに似ていて 当時これを考えた人はマジですごいと思ったそれが今回の本題である、降頭術である
(ついでに)日本が呪われているって話なんだけど、日本人はほかの国の人間と比べて 現在はうまれながら三尸が一匹多いらしいよ。
いろんな人が色々試していたけど、結局直すのは無理だって話になった
そのため、修業とかそういうのはほぼダメになっている。
それも、式神とか霊使役とかが無理な要因の一つかな。ここでひとつ、そういった系の修業とかの話を なんかよくわからずにそういうおまじないとかに手を出すのはよろしくないことだからね

もともと修業はなんのためにあるかのかという話なんだけど 聖人になるためらしい。その聖人ってのがなにかというと 例えば、この世界が将棋の盤上だとすると、一般人は全員ただのコマなんだよね

でも、聖人はこの将棋盤から飛び出して、将棋を指す人となっている。

つまり、聖人は天地と合一した存在になるということらしい。

それじゃあ、それにむけて何が必要かという話になるんだけど 道、法、術、機の4つの概念をまず理解する人う用がある

なんか難しそうかもしれないけど これを簡単にたとえると、ある人が車で青森から、東京までいくとしよう
この場合、この車が器。いい車ほど、スピードが出て、早く目的地に着くよね?
ちなみに「器」は使う道具とかの意味じゃなくて、才能とかそういうものをさすらしい

そして「術」は技術、つまり、車では確かに少しくらい差がでるけど 片方が車運転歴10年のベテランドライバーで 片方が免許取りたての新人ドライバーだと たとえ器に少しくらい差があったとしても、ベテランのほうが確実に早く到着するよね?

「法」はなにかというと、これは方法 つまり、青森から東京までどうやっていくのかということ
例えば、片方が車でいくけど、もう片方が新幹線か飛行機で行くとしよう
新幹線や飛行機で行くほうは、どんなに器がだめでも、技術がだめでも より早い方法をとっているから、確実に早く東京に着く

そして、最後が「道」だ 。道はつまり青森から東京まで行く方向だ

どんなに早い方法でいい技術で、すごい機材をつかったとしても 全然違う方向に行ったら、地球一周しても、目的地にはつけないよね

「入道」「入道」ってよく言うけど。これはつまりこの「正しい道のりをみつけ、入ることができた」
ということ、つまり、どんなに時間がかかろうとも、でも正しい方向はつかめたから いつかはたどり着けるだろう、のような感覚でいいと思う

ただ、目的地は青森から東京までとかの比じゃなくて 何億光年も離れて星とかなんだけどね

現在でいう、霊能力者とか霊感があるとかいうひとは
この概念でいうと、器に頼る人間
そして、式神とか、お札とかそういうのをできるという(実際できるのかうたがわしいけど)
が術に頼る人間
俺の先生によれば、人と妖怪とかとの間の関係を正しく認識し、交流する 我々のような人間がつかんでいるのが「法」単純に「道」をめざすものもいるんだけど、これは無理なので、ただのバカであるとのこと
これは多分まじめなお坊さんとかそういう人のこと言っているんだと思うけど

別にお坊さんとかをバカにするつもりはないんだけど

何がいけないかというと、ただ単純に道を極めては、もしその道の途中で何かしらアクシデント
に出会うと対処できないからである

我々は人間だから、世の中にいる限り様々な業を知らずの内につくってしまう
その業のせいで、たまに悪いこととかとも出会ってしまい
それで命を落としてしまうかもしれない。それじゃあ、いままで頑張ってきた意味が全部パーになる

でも、だからといって、だたひたすら法や術、器に頼っていてはどんどん道を踏み外し 悪い方向に行ってしまう

ひたすら自分の利益のために「術」を磨くのもよくない
これは目的は特にないけど、とりあえず、車で他人の道をふさごう!
みたいな感じになる。そして、方法だけど。これ自体はどんなに間違えても少なくても他人には迷惑はかからない
ただ、法は人が決めるものだから、それで自分を縛ってしまうと、もし方法が間違いの場合 正すのはかなり難しくなる。青森から東京に行くためには、飛行機が一番はやいのに、車で出発してしまい 取りかえしのつかない感じね
その呪いってのは誰がやったのかはわからないし、くわしい方法も少なくても俺は知らない
降頭術使いじゃないし
とりあえず、死んだ日本軍の死体を断龍杭のまわりにうめる、そんで何かしらの方法で
その死体が生きていると、日本軍の兵士魂とその三尸の虫に勘違いさせる魂は体が死んでいないと勘違いするから、死体から完全に離れない
三尸の虫は、死体に入って、「あ、これやっぱ死体だ」と思って
はい出てきて、死んだ龍脈に寄生する。そして、龍脈に寄生した三尸の虫が増えすぎて、臨界値になると
また龍脈からはい出る。でも、そこで、三尸の虫を食い止める陣みたいなのをしくその結果三尸の虫はどうするかというと、日本軍さんたちの死体の中の魂は日本を思う気持ちというか
そういうのでいっぱいで、人の思いは、道を作る力がある。
三尸の虫はそのおもいで出来る道のみを頼りに、日本にやってきて、日本の新しい子供たちに寄生するわかりにくかったらすまんが、多分大体こんな感じ。そんで降頭術ってのは大体こんな感じで、だれかの体の一部とか、思い入れのすごいものとか そういうのを利用して、三尸の虫で、人を潰す。

蠱とにているけど一番の違いはここかな?でも誰が術をしているかがばれると 被害者は、術をかけた人を怨むよね?その恨みによって、被害者と術者の間に思いの架け橋ができて 被害者が死んだら、術者も次に死ぬ。

だから降頭術のタブーは、自分がやったと決してばれてはいけない

俺は目的がわかったし、祝死ならしかたないか とおもって、後ろから引っ張られるのを無視して ワン君についていくことにした。

祝死の儀式には、一時的に三尸の虫を鎮める方法があって その鎮めている間に、昔の薩満たちはそれらを取り出していたわけなんだけど いまだと、薩満の大体の文化は失われて、一部しか現存していない
その一部と他の左道の文化と結びあわせられ、生まれたのが金牌術だ。

ちなみに左道ってのは「道」をあまり考えず、ひたすら「術」を極めんとする人 に対する軽蔑用語かな。

薩満のそういう部分のものを応用して、現代では三尸の虫だらけの龍脈を安定させて たりするんだ。

俺はその時、それについてのくわしいやりかたとかはしらなかったんだけど その存在自体は知っていた。

ワン君が俺を必要とすると判断したんだから、彼にしたがうしかなかった

階段をおりきると、真っ暗な、少し開けた空間についた。
そして、さっきまでは全く気がつかなかったのだが そこらあたりからものすごい腐った肉のようなにおいがしていた。俺はまっくらだから、明かりつけなくていいのか?とワン君に聞いたけど ワン君は付けないほうがいいといった。そんで、ワン君は手術で取り出した内臓をもって、暗闇の中に進んでいった。
俺はその場に立ったままでいいと、指示をされた真っ暗だったから、すぐにワン君の姿は見えないようになった
真っ暗の中一人ポツンと置いてかれたから、すこしこわかった
しばらくすると、奥のほうでたんたんたん、とリズミカルに手を打つ声が聞こえてきた
そして、ワン君が大声で「ソンセンラァーー」云々と叫び始めた。中国語くさかったから、意味はよくわからなかった。
こういうのってパクれるところはパクリたかったんだけど、中国語の知識はなかったから 少し残念だった。しばらくその声を聞いていると、空間の奥のほうで足を引きづるような音が聞こえてきた
しかも、すごくゆっくりだけどなにやら、俺のいる方向にやってきているようだ。すーっと寒気がしたんだけど、大丈夫だと自分に言い聞かせて 何か使えるものがないか、念のために考えた。何も準備してなかったから、専用のものはなかったんだけど ポケットにあらかじめ忍ばせておいたコンドームがあった。俺は急いで両手に唾を吐きつけて、コンドームを取り出した。
そしてその中に髪の毛を一本だけ入れて、特に尿意はなかったんだけど その中におしっこをした。

そんで、それの口を結んでおいた。すこし手におしっこがついて 嫌な感じだった

地下のところで変な、足を引きづるような音がどんどんと近づいてきたんだが ちょうど、俺の目が暗闇で見えなくなるくらいの瀬戸際のところで とまった。

そして、そこでひたすら足踏みをする感じの音に変わった。

ワン君は「祝死」の何かしらのことをやっているのはわかっていたが 具体的に何やろうとしているのかは分からなかった。
でも、それで、暗闇の向こう側にいるやつが何なのかはわかった。

そのとき、俺の目の前にいたのは大方そういう感じの死体だった。

この地下のスペースで狭いドアひとつという場所は 多分だれか人をドアの前に立たせれば、死体が勝手にどっかにいかなくて済むようになるためだったんだ

そんな感じで暗闇で待つこと30分くらい

ワン君は一段大きくなんか叫ぶと、俺に対して日本語で 「正気の歌はうたえるか!?」と聞いてきた。

正気の歌の詳細はたぶんwikiさんのほうがくわしいから割愛するとして。
正気の歌というのはうちの世界でもかなりメジャー系な歌い物だった。

これは読み方に色々工夫があったりするんだけど。作者の文天祥ってのがすごい人で あまりにもその気迫というかそういうのがすごかったから 一喝で、どんな汚いものも退散させられたとのことだった。

金牌術をしらないものでも、これを読むことで、文天祥の気持ちをいうか そういう気迫を借りることができるとかなんとか。

俺も先生に一応叩き込まれたから、歌うことはできた。
そんでワン君は、俺とそれを合唱するようにいってきた

それを聞いた俺はとりあえずなるべく息が合うように正気の歌というものを 彼と一緒に読みはじめた。

そんなに長くないものだったんだけど。
不思議なことに、それを読んでいくと、足をひきずるような音がどんどんと 俺のほうから離れて行った。

そして、正気の歌の終盤になると、奥のほうから ワン君の声が少しずつ近づいてきて 最終的には彼の姿が見えた。

そんで、歌が終わると、彼は急いで俺を引っ張って 階段を上がっていった。

その間に俺は、ワン君に説明を求めたんだけど 彼は俺に「とくに説明する必要はない」 と言ってきた。

まぁ、他人の流派の話とかを聞くのはよろしくないというか なんというか

中国系だと、そういうのがもっと顕著で 師匠と弟子でも、全部教えないとかざらだから 俺は手伝ったのになんなんだそれはみたいな不満はあるけど その時はとりあえず、それでなっとくした。

そして、ワン君はまだ待っていた病気の子供の親とかと 話をしに行って 俺は自分の部屋に戻っては、このリーさんの家は嫌な感じで 出ていきたいとおもって、ベットで悶々とした。

そのまま怖くて一睡もできないまま、朝を迎えて 腹減ったし、下に降りてみると。ワン君はすでに起きていて 庭みたいなところで、国術の朝練をしていた。

国術というのはいわゆる中国の武術の一種で 朝鮮でいう撃術とか、ロシアのシステマとかそういうのと似たものって想像して 厳密にいえば、八極拳とか八卦掌とかもその一種で ワン君は筋肉がすこかった

さすが人気のイケメンワン君というか、なんというか 朝ごはんは屋台のおっさんがただでいいと言ってくれた。

まぁ、町で唯一の病院もどきだしなぁとかおもって 俺はかなりうらやましかった。

俺も仕事の関係上、人を助けていると押しつけがましく思ったりすることもあるが ここまで尊敬されることはあまりなかった。
たすけたとしても、たすけなかったにしても

かかわった人的には、二度と会いたくない類の人間だからね。
副業として、医者とかなろうかなとかまじで悩み始めたときに 事件は起きた。

突然屋台にかなり厚着で、グラサンをかけた男が近寄ってきて そして、胸からいきなり拳銃を取り出して
パンパンと、短く二回ほど、ワン君に発砲した。

ワン君はその男が拳銃を取り出したのをみると すぐさま横に飛ぼうとしたんだけど、間に合わなくて
そのまま脇腹にいっぱつ、太ももあたりに一発あたった。

でも、そこからのワン君がすごかった。
撃たれたにもかかわらず、そのまま相手に突っ込んでいって 俺が腰抜かしてへたり込んでいて、状況も読めない中 その男をぶん殴って、失神させた。
彼の練習が終わるまで待つと、彼は俺を連れて、街へと繰り出し そこらへんの屋台で朝食をとることにした
階段の上のほうはだんだんと明るくなるんだけど ワン君の顔がはっきりとわかるようになると 俺はびっくりした。

ワン君のいけいけな感じの顔は、青あざだらけになっていて 全身が黒いすすのようなもので覆われていた。 そのまま手術室に上がり、彼と俺は精神的にも肉体的にも疲れ果てて とりあえず、冷たい水でシャワーを浴びてから服を着替えてもとの服とかを燃やすとか そういう後始末に入った。

俺は拳銃とか今までみたこともなかったし
ましてや、人がうたれるのを見たこともなかった。だから、半分恐怖もあって、男を倒した後の、ワン君をどう処理すればいいか まったくわからなかったし
現地の人たちで人だかり出来たんだけど 何言っているのかもわからなくて、何をどうすればいいのかわからなかったそんで、まだ意識のあるリーさんと現地の人たちがしばらく話し合って 血をだらだらとながすワン君を三輪車の大きいバージョンみたいなやつに乗せて リーさんの家にとりあえずいくことにしたらしい俺はぼんやりとしたまま、現地の人たちについていった。
途中いろいろ話しかけられたんだけど、俺は「ははん?」的な感じだった。発砲した男に関しては、そのあとは俺はよく知らない。リーさんの家に着くと、彼は色々と現地の人に指示飛ばして、 包帯とか、とりあえず、止血した。
ここらへんになって、ワン君は気を失った

しかし、奇妙なことにワン君の指示で、どうやら地元の人が、出血のために色々やってたんだけど

血は一向に止まる気配がなくて、たえずににじみ出ているようだった。
包帯とか色々使ってたみたいだけど

それもどんどん真っ赤に染まる感じだった。
医学の心得のあるのはワン君だけだったし そのワン君も失神していて みんなが途方に暮れていたちょうどそのころ。
次の朝には変えるとか何とか言っていた、師匠とリーさんが戻ってきた。

そして、リーさんは状況とかを地元の人に聞いて 先生は俺に聞いてきた。

俺はとりあえず、ワン君が屋台でなぜか撃たれた話をして 先生もびっくりしたような感じだった。
そして、ワン君の様子を少し見てきたが 先生は特に医学にくわしいわけでわなかったから 様子が悪そうだねぇ、みたいな話を俺とした。
すこし先生からお酒と香水臭い感じがした。
あ、これってもしかして、俺を放置して、「いい場所」とか逝ったんじゃないのか!
とかおもったけど、こういう状況だし、何も言わないことにした。

一方地元の人から、色々と聞いていたリーさんは 俺と先生に、すまない、こんなことが起きてしまって。本当は観光案内くらいはしたかったが それどころじゃなくなった。
とりあえず、家の中の部屋は自由に使っていいから、ゆっくりしていってくれ みたいな話して 治療のためとかだと思うんだけど 深刻な顔で、ワン君を手術室のほうに運ぶように指示しているみたい
ワン君をつれて上のほうに行った。俺はぽかんとしたんだけど先生はまぁ、しかたないなぁみたいな感じで 俺をつれて、もってきた花札で自分たちの部屋であそんだ。遊びながら、もちろん雑談はするんだけど その間に、先生に昨日の夜の話をした。
すると、先生は顔色を変えた。それはやばい。早くリーさんに教えないとみたいなことを言って リーさんを探そうとした。
リーさんは案の定というか、手術室のような部屋にいて
まだ、治療中だったようだ。そしたら、待っているついでに、先生は俺にいろいろ話をした。
まぁ、詳しい術とかどうなっているのかは、先生も金牌術の専門家じゃないから
わからないんだけど。どうやら、昨日ワン君は俺を手伝わせて 誰かが子供にかけた降頭術を解いたんだと言ってきた。うちは妖怪専門だし、こういう呪い系は存在は知ってるけど 降頭術というのはまぁ、前のほうで説明したような気があるからもう、あまり詳しくいわないけど。よくある症状としては、けだるいとか、病気になりやすくなるとか すぐ怪我をするとかで、日にちがたつにつれて、どんどんひどくなって 死に至らせる、という呪い方らしいんだ。具体的な解き方は実は先生も分からなかったらしいが でも、降頭術を解いてしまうと、術をかけた人間がすごいしっぺがえしをくらうこと、そのしっぺがえしを食らわないためには 術を解いた人間を殺すこととかだ、と言ってきた。

降頭術は東南アジア一帯で流行っているらしくて 大抵のその手のすごい人は、地元の規模の大きいギャングとかに所属していて大量の金をもらう代わりに、人をのろったりしている。

だから、降頭術ってのは例え、見つけても、解き方を知っていたとしても 決して関わってはいけない。
じゃないと、そっちの術師と、どっちか生きるか死ぬかの話になるから もうどうしようもなくなる。

まぁ、じゃあ、降頭術師は手の着けようがないのかというとそういうわけでもなく その手の人って10年に一度とか、5年に一度とか そういうペースでしか、人をのろったりしかできないので。 その間は呪いで稼いだ金で、豪遊しながらくらす。

手術室でリーのおっさんを待っていると そのまま2,3時間たった。

おっさんが出てくると、ものすごい疲れている感じの顔だった。
待っていてくれたのか的なことをいったが、すぐさまそれを遮る形で 先生は俺が言っていたことを彼に教えた。

話を聞くうちにリーのおっさんの顔色はどんどん悪くなった。
そして、話を聞き終わると、彼は今ワン君はなぜかどんな処置を施しても 血が流れ出るのがとまらないらしい。

もちろん、応急処置で、流れるのをかなり遅くしたが それでもおかしいことに、血がひたすら流れ出てい来るというかなりヤバい状況とのこと。

俺は、これってやっぱり降頭術が原因ですかって聞いたが リーさんは少し悩むそぶりを見せて、そうだと、俺に答えた。

リーのおっさんが住んで着る街というかスラムは実はとあるマフィア?みたいな組織が
仕切っているみたいで。
そんでリーのおっさんはそのお抱えで、風水とか占いとかそういうのをしながら生計を立てている。まぁ、そういう裏社会云々はまた長くなりそうだから、省略するとして とりあえず、そのマフィアはほかのマフィアと争って、敵側のボスみたいなのを 殺してしまったらしい。そんで、新しくボスになったやつが、下に威厳を見せつけるためもあってかな?
大金はたいて、降頭師に頼んで、地元のマフィアのボスの子供さんをのろわせた。前に書いているように、降頭師ってのは5年や10年くらいでしか、一回働かない。
なぜかというと、一つに罰あたりすぎるから、やりすぎると寿命がちじむから もうひとつが、「俺、10年に一回しか働かないんだから、そんぐらい他の術者は放っておけ」という意味合いもある。術を邪魔されると、邪魔した人間とはどっちかが生きるか死ぬかの争いになるから そういうのを避けるためもあるのかな?
だから、暗黙の了解として、他の術者は、降頭術がかかった人間をみたら 放置するって決まりがあるらしい。
その呪われたギャングのボスの子供が前の日に連れてこられたあの子
三日前ほどの一度ボスはその子を連れてリーのおっさんに助けてほしいとお願いにらしいが もちろん、その時は自分にはどうしようもないと、おっさんは断った。暗黙のルールをまもったんだよ。例えどんなに親しい人でも、こればかりはできないってやつしかし、ワン君はそれをやぶった。まぁ、俺が言うのもあれだけど、彼は若すぎたんだよ。
そんで、俺なんかよりはるかに優秀なのも、少し祟った。彼はそのマフィアの子供とかなり仲良かったらしくて生まれた時に出産に立ち会い、世話や遊び相手もたまにしていたらしく、情が移っちまったらしい。だから、やばいのは分かっていたが、自分は優秀だし もし、相手側の降頭師が何か仕返しをしかけてきても、自分ならなんとかできて、 自分の先生には迷惑かけないと思って リーのおっさんが留守になったのを見るや否や、ボスに連絡して 降頭術を破ったのだ。
何も知らない俺とかもついでに使ってね

これがいわゆる業かな?
分かっていても、情に流されてしまう感じ。
一度仲良くなってしまった人間とのつながり
一度仲違いになってしまった人間のつながり
そういう複雑に絡み合った思いというかそういうのというかこういうのが後あと、自分の不利益につながってくる。
でも、だからと言って、それを避けたり、払ったりはできない。ワン君の場合はその例だね。自分が弟同然と思っている子供が呪われた。
それを助けるためには、業を背負うことになる。でも、自分のみに危機が迫ったとしても、どうしても助けたい。
そういう時のことを、先生は俺にこれを「劫」と教えた。俺は今でも覚えてる。手術室に入った時の、ワン君のあの真白の顔
リーのおっさんと先生は深刻な顔をして色々話し合った
どうやら、相手側のギャングはてっぽうだまの下っ端で、ワン君を重症にしたうえで 呪いをかけているみたいだと合意した。まぁ、確実にワン君を仕留めたかったんだろうね。これは謝りに行っても、無理だし。 助けるとなっても、降頭師側にさらに喧嘩を売ることになる。先生はリーのおっさんに、出来ることをしたいのは山々だが さすがにこれは事情も事情だし、関わりたくないと伝えた。俺はワン君が少しかわいそうだと思って、どうにかできないか先生に聞いたが 先生はそんな情は捨てろ、といった。
そんなことより、お前は自分の身を心配しろ。お前だって降頭術をやぶる手伝いをしたんだろとさらに続けた。ワン君はいい手をつかったと言わざるおえない。
俺を使うことで、先生まで巻き込もうとしたんだからね。

まぁ、ただ、先生はそこまでお人よしじゃないので まんがいち、俺もしかいしの対象だったら、容赦なく切り捨てただろうなぁと 今でも思う

でも、リーのおっさんは先生と違って、弟子思いだった。
やっぱりワン君をなんとか助けたいとのことだった。そこで、先生はどうするつもりなんだときいたら リーのおっさんはただ頭をふり、部屋のどっかに消えていった。そんで、しばらくすると、またもどってきてこれをどうぞと 爪切りを渡してきた。俺はあ、これってもしやエンギではないかと思った。これは昔教わった、この人の行動は もう自分とは関係ありませんよとの儀式らしい。そして思った通り、先生はその爪切りをとると、かなりの深く爪を切った。
目安としては、少し血がにじむくらい。
俺も、それをやった。痛すぎて涙目になった。その爪と爪切りをリーのおっさんに渡すと、おっさんは爪切りを割って その爪を赤い布袋に入れた。

これで、その爪の入った袋を燃やすまで、俺と先生は、リーのおっさんと 一言もしゃべったり、筆談したり、とかそういう交流を一切持っちゃいけないんだけど 彼のその間の行動は、俺と先生とは関係ないよってことになるらしい。

そんで、その日は飛行機のチケットの都合上、まだその家に残ることにしたんだけど 俺と先生はリーのおっさんが準備してくれた客部屋で、中国将棋とかやりながら時間つぶした

まぁ、俺は降頭術の仕返しが飛んでこないか、一日中がくぶるしてた。

俺の場合、助けてくれる師匠なんかいないからねww

その間。リーのおっさんは 何やら準備しているらしく、かなり玄関のほうとかは騒がしかった。

そして、夜中。先生はもう寝ると言って、自分の部屋でぐーすかし始めて 俺も、色々あって眠れなくて、うとうとしていて、でも、やっぱり疲れもたくさんあって 結局眠りに落ちようとしたそれくらいの時に

俺の部屋のドアをトントン叩く音がした
そんでぼんやりとワン君の声が聞こえてきた。

なにをしゃべっているのかは、多分中国語だったのかな?
よく理解できなかった。寝ぼけてたしね。

なんだよ、こんな時間に、とか思いながら。
めんどくさいから放っておこうとかそんな風に無視してたら 急にッバと足を強く引っ張られた気がする。
そんで、急に眼が覚めて、身を起こしたんだけど、真っ暗で何も周りが見えないのに くすくすくすっとなんか誰かが笑っているような気がした

気味が悪かった。
なにかすごく嫌な予感がしたから、ベットから飛び降りて、ドアのほうに行って 耳を澄ませてみた。今度は何も聞こえなかった。でもなんか変なにおいがした。嗅ぎ覚えのある匂いだった。
半分寝ぼけた頭はその匂いを認識するのには時間がかかった。
俺はとりあえず、部屋の外の様子をうかがってみようとドアの鍵を回すと 扉はピクリともしなかった。なんかものすごい重いものが、ドアをふさいでいるようだった。そんでやっと、その時点で頭の中が明瞭になってきて。 臭いの正体がわかった。
物がやけて炭になっていく匂いだった。何で、またこんなことにとか、ぼんやりおもってしばらく、ドアを押したり 声をあげたりしていると、扉の隙間から煙がむくりとでてきた
俺はなぜか確信した、これは火事だ。
いや、なんというか俺は火事を経験したことないし その現場に行ったことがないけど、俺以外の何かが、俺自身の頭に これは間違いなく火の手が迫っていると、俺に伝えてきた。そんで、俺はこれはマジでやばいぞ。何が起きたのか知らんが 俺このまま蒸し焼きにされて死ぬかもしれない、と思った。どうしよう、どうしようと部屋中をまさぐりまくった。
部屋には窓がなく、脱出のルートはないし、使えそうなものはなかった。
ポケットの中にはコンドームがあった。ああ、俺童貞のままで死ぬのかなぁとか思った。
その時だった。バンバンと何かがまた強くドアをたたいた。
俺はもうモクモクと煙が入ってくる扉に咳しながら近寄って だれかーとか叫んだ。
返事はなかった。俺は無駄だと思ったが、ドアを開けようとして タックルをかました。すると、扉はバンと、結構すんなりあいた。予想以上に力入れた俺は何かに 頭をぶつけて、痛みで少し悶えた

痛みが治まり、あたりを見ると、結構火がこっちに迫っていた。
そんで、俺のドアの前なんだけど、ドアをふさいでいたものなのか 本棚とか、重そうなタンスとか、そういうものだった。

そういうものは当たりに散らばっていて、もちろん、おれのタックルで どいたものじゃないだろうって感じだった。

もしそうだとしたら、俺は相当な火事場の馬鹿力を発揮していて、多分 その時なら、キン肉バスターとかできるぐらいだったんだと思う。

一体誰がどかしてくれたんだろうとか、それを考える暇もなく俺は逃げ道を探した。階段に行くほうはもう火が広がっていて とてもじゃないが行けそうになかった。

そんで、そういうえば、先生の部屋に窓が!と思いま出した。
そして、急いで隣の先生の部屋に行った。

部屋に先生はいなかった。
窓のほうにかけよると。俺はぞっとした。二重の意味でね

まず窓の中、ぼんやりとガラスの反射で窓が鏡になっていて 俺の姿の後ろに、黒い影のようなものがたくさんいた。
そして、窓の外、家が燃えているからだろうか。当たりが赤く光って見えているんだけど

そこにはたくさんの無表情の人が立っていた。
現地の人たちだろうか、何もいわず、ただ整然とそこに立っていて じっと、燃えている家をただ見つめていた。

煙の量がどんどんと増える中、俺には何かを考える暇がなかった。
窓をものすごい勢いで開けて。 俺は、そのまま飛び降りた。

もちろん、一階じゃないし、それなりの高さがあったけど。
それ以上に、パニックになっていたし。その時はそれ以外方法はないと思った。地面に最初についたのは足だったが、グキッといった。
次にからがを強く打った。頭を守るための手も、ぐぎっといった。
でも、なんとか受け身はとれた。ふしぎに痛みはなかった。
そして、あたりを見渡すと。現地の人が、俺を見つけたのか かけよってきて、そんで、俺の顔を見ると。
さっきまで静かだったのがウソだったかのように みんな、声をあげたり、何か叫び始めた。中には泣きはじめる人もいた。
そっからは、意識を失ったので。覚えていない。
目が覚めると、もう朝で、狭い車の中にいた。
後ろのほうに横たわっている感じだ。手と足はものすごく痛くて、みると添え木なのか木の板があった。
車の運転席を覗き込むと先生がいた。
助手席は誰もいない。先生は、もうすぐ病院のある町につくと言ってきた。俺は、記憶の混乱のせいで状況がまったく理解できなかったし 痛みでそれどころじゃなかったから、道中は静かにうめき声を上げるだけだった大きないかにも観光名地みたいな町の病院につくと医者に色々処置された。まぁ、どうやら手と足の骨折と、その他もろもろの打撲らしい初めて骨折したんだが、骨つなげるあれ、めっちゃ痛いねwww
そして、ひと段落して、とりあえず一日入院するようにと、日本語の分かるその医者に言われて病室にうつされて、そこでやっと、先生とゆっくり話ができた。

簡潔に言うと、先生は俺を売った。

リーのおっさんは俺をワン君のかわりに殺すつもりだったらしい。

先生によると、リーのおっさんは先生にエンギをする直前にうちの業界特有の手を使った合図みたいなので、30万でどうだ?(ここでいうのはドルかな?)と聞いてきたから

先生もあ、これ多分弟子のことだな、と思っていいよと返事した。
(その時の俺はまだこれを習っていなかったが、この件の後にすぐに習得した)

それから、先生は暗黙の了解的に、とりあえず俺を家に残すために、色々と俺の暇つぶしとかに付き合って夜中になったら、こっそり家を抜けだした。

詳しくはリーのおっさんが何をしたかは先生も知らないらしいが。 でも、たぶん俺を殺して、リーのおっさんとワン君が助かるか 俺が生き残って、リーのおっさんとワン君両方死ぬか、どっちかだったらしい。

現在は、ワン君は失踪していて、そんでリーのおっさんはまだ生きているが もう長くないだろう

リーのおっさんはこんなことに巻き込んでしまって悪かった。
しかし、これしかなかったんだ。許してくれとはいわないとかなんとか 俺に伝えてほしいと先生に依頼していた。

まぁ、これから会うこともないだろうな
それにしてもよくあれで生き残ったな。運がよかった。と先生は締めくくった。

俺はやっぱり何がなんだかよくわからなかったけど、無事なほうの手で 先生の顔をグーでなぐった

リーのおっさんはその夜に、どういう儀式をしたのかはわからない。
もしかしたら、あの地下室の断龍釘とかとも関係あったのかもしれない。あの時聞こえてきたワン君の声は一体何だったのかも謎だ。
ワン君は失踪したらしいけど、一体どこに消えたというのだ。
何で、家は火事になったんだろうか。そんで、その時外にいたたくさんの 現地の人たちは何がしたかったんだろうか。俺を引っ張ったりしたり、笑い声が聞こえたのは幻なのか 俺の部屋のドアをふさいでいたもの。
あれをどかしたのは一体誰だったのか。
考えても分からないことが多すぎた。でも、窓に映ったたくさんの影。あれはだけはわかる。
間違いなく火で、焼けて炭になった。イタチたちだ。

>「倀」っていうやつ

これについてのくわしい記載とかどこの本に乗ってるとかようわからなんが 確か、昔話で、虎に食われた人間が「倀」になって、他の人間を嵌めて虎に食わせる。
そうしてやっと、最初に食われた人間は虎から解放されて、成仏できるとかなんとか。

つまり「倀」ってのは、よくある系の話で 例えば、自殺した人間が、次に来る人間を殺そうとするとかそういうのよくあるじゃん

まぁ、多分、それができるのはそうとう道行を得た妖怪みたいなやつらなんだろうけど
有名のやつだと、金太郎とかの話でもクマの手下として出てなかったっけ?
ここら辺はよく覚えてないや。

「倀」はそういう風に殺されてもなおとらわれている人間のことを指すし とらえている側のこともさしている部分がある。
昔だと、そういう風に道行の高い動物または入道がこういう風に呼ばれたりしてたんだけど 最近だともっぱら、とらえているのが「場所」だったりして
そういう「場所」もこの「倀」って妖怪なのかもね。

自殺の名所とかw

先生が言っていた「死」という漢字

もともと「死」は「一」つまり地面かな?
その下に死体が埋まっている状態を指しているんだって
つまり土の中に「タ」と「ヒ」の形で死体がね。

むかしでは死体を埋葬する際に二種類の方法があって。
どっちか忘れたんだけどひとつは親族とかを普通に埋葬するときで 人を座った形にして、樽の中に入れて埋めるんだって。

もう一つはすごくむごくて、なぜか埋葬する人の背骨をま逆にへしおって そのまま地面に埋めるとか何とか。

これからわかるものの一つが「怨」という漢字。
ぱっと見た感じで分かると思うんだけど。
これは誰かの「死体」になることを、「心」から望むという意味になるらしい

それも、普通の死に方じゃなくて、なんかよくわからない感じに背骨をへし折って 死ぬのを望んでいる。

で、この怨と同じ読みができるのが「恨」

これは「心」から変化した、えっと、何へんかわすれたけど、あの左側の部分と 「良」という漢字から点をとったものからなっているんだよね。

つまり、良いという状態から、何かかけてしまった。
もっとはっきり言うと「恨」っていう漢字は、心が良くない状態にあるということなんだよ。

だれかをねたんだりうらんだりするのは仕方ないことかもしれないけど。
それは相手側にとっても嫌なことだけど 一番は自分の心にとって良くないことなんだよ。

清めることがいいことか?

Q.「歩く神社」と言われる人がいたらしい。なんか行く場所行く場所浄化されるから、霊能者とかにはお前来るなwwwと言われるとか。
何か普通術式も浄化して、別の綺麗な術式に組換えちゃうらしい。もちろん呪いの類いは浄化して祝いに。
心霊スポットの廃墟に行けば、強制浄霊とかなんとか。

A.ただ浄化するだけというのは問答無用で業をどんどん背負うってことだからかなりやばいとおもうんだけど
業っていうにたいする認識のつがいだと思うんだけどすごく複雑で、俺もうまく言えないんだけど
まぁ、因果ってものがあるじゃん。

原因があって、結果が生まれる。この概念がとても大切なんだよね。
たとえば、そうだね。誰かからプレゼントをもらうとするじゃん。

その誰かは、多分好意とか、まぁおかえしがほしいとか、そういう感情があってそれをおくってくる

そしてそれを受け取る側としては、たとえそれに対してどんな思いを抱いたとしてもその二人の間に、つながりみたいなものが生まれる

このつながりのことを因果みたいなようにいうんだけど昔の仙人修業とかは、なるえくこの因果がないほうがいいらしい

浄化する人とかの話だけど、実際にいるかわからないがもし本当にいたとしたら、たとえば、道端になんかの妖怪があるとしよう。
その妖怪は何も悪いこともしないで、ただ人間って面白いなぁーって人間を観察していた

そこにその浄化する人が通りかかる。妖怪は浄化されて、ちりいっぺんもなくなってしまう
しかし、その妖怪にも友達とか家族とかがいる

その浄化する人はなんの悪意もないけど、いつの間にか、その妖怪のそういう仲間と悪い関係を結んでしまう。

悪い原因があれば、いい結果が生まれるわけがない。この悪い原因のことを俺は先生から業とおしえられた。

問答無用で浄化するのは、つまり、街に出て問答無用で町の人を無差別に殺して町のものを無差別にぶっ壊すのと同じ意味だと思うからすくなくても、俺としてはかなりヤバい感じはする。
あとはそうだね。
例えば、借金を背負った人がいるとしよう。
そんで、ある人が、その借金を背負った人をころしてしまいました

そして、その借金を、背負った人は返せなくなっちゃうよね
じゃあ、その借金はどうなるかというと、因果の世界では背負った人を殺した人が返さなくてはなくなる。

妖怪とか殺すと、その妖怪がした悪さの分のつながりは、殺した人のものになる
それが殺したほうの責任というかそういうものだとおもうんだ

まぁ、簡潔にまとめると、悪いことをしたてるんだから、そのうち罰あたってもおかしくないよな?
みたいな感じだと思う。

浄化するのがわるいこと?って思うかもしれないけどたとえ汚いものでも、存在しているならば、それには一定の天の意思というか自然の摂理というか、うまく表現できないけど

そういうのがあるから、それをただひたすらぶっこわすのはよくないと思う
どんな方面でも

害をしている=じゃあ、浄化すればいいじゃん。っていうのは絶対に間違えていると思う

現代社会でそんなことができる人がいるなんて、少なくても俺は信じないんだけどいたとしても、やってはいけないことだと思う。

ちなみに業の話の続きだけど
悪いことをする=いつか報いが来るというわけじゃないんだ

いじめをすれば、いじめをされた人から恨まれるじゃん。
なら、その恨んでいる人が急にぶち切れて、殺しにかかってくる「可能性」というか、そういう感じのものが業なんだと俺は理解している

悪いことがいい結果につながる可能性は少ないけどいいことをしても、その結果が悪いことを引き起こす可能性はかなり高いのも因果をむやみやたらに結ぶなということなのかもね
業についてだけど、清めることができないから、恐ろしいんだと思う。
少なくても方法は俺はん知らない
死んでもなくならないらしいし、他人に移すことはできるらしいけどね

業や因果についてもともとの意味と、現代人がおもっているものは違う意味な気がする。
現代のやつは結構仏教に影響されているもので

で、仏教というのは偏見かもだけど良いことをすれば幸せになれると的なことを言っているようなものだと
俺は先生から教わっている。

でも、いいことをしていい結果が生まれないなんでざらにある話だし。

じゃあ、これから先生の話をするので

多分その話の終わりころには、業とか因果とか当いうのがもう少しわかると思う

俺の先生の死んだ理由

は溺死。

今思えば、先生は水場というのが嫌いであった。
海は絶対に近づかないし、川にさえめったのことない限り近づかない。

水道とかでさえ、あまり使わずに、水分補給はいつもペットボトルで風呂は、浴槽にためたやつを使う。
昔、夏に先生を海に行かないかと誘ったことがあるのだが、もちろん断られた。

何でそんなに水が嫌いなんだとか聞くと、先生はいつも自分には霊感があるから水辺とかそういう妖怪とか幽霊とかたまりやすい場所にいくと気分が悪くなると説明していた。

でも、一度酒を一緒に飲んでた時、先生はうっかりなのかわからないが口を滑らせて自分は小さい頃港町で住んでいて、小さいころはいつも海で遊んでいた。
潮干狩りしたり、釣りしたり、もちろん泳いだりもした。
しかし、あるとき、先生が海で泳いでいるたら、何かに掴まれた感触がしてそれで溺れそうになった

そして、一つ上の兄が溺れ死にそうだった自分を助けるため色々頑張って結果自分は助かったけど、兄はかわりになくなってしまった。
とか言っていた
先生はお酒が結構好きだった。
しかもどっちかというと強いほうで、居酒屋めぐりとかが趣味だったりした。

あんなふうにべろんべろんに酔うの俺が知っているなではあの時だけだった気がする。

俺もまぁまぁ飲むほうなんだけど。
強いほうじゃないし、特にビールとかの美味しさがまだわからなくていつも果肉入りのなんとかサワーとかを頼むタイプだった。

ちなみに先生によれば、脱童貞できればビールのおいしさが分かるらしい。
本当かどうかわからんが。

酔ったその日の飲みは、ちょうどとある仕事を終えた後で詳しくは先生の話だからあまり語らないけど,
ある家の妖怪を追い出した。でも、その家の子供は多分だけど虐待を受けていてその妖怪は子供のことをかばおうとしていたのかもしれないとか少なくとも、俺と先生は推測していた。

そして、俺がサワー2杯くらい、先生がアツカン3合くらい飲んだ時に
お前は、俺のやっていることがあくどいと思うか?

と聞かれたんだ。

俺はすぐさま頷いた。
すると先生は笑って。

実は自分でも、たまに自分のやっていることがすこし残酷じゃないのかとか思うことがある
でも、例えそうだとしても、後悔はしていない。
なぜなら、それは間違いなく自分のその時にやりたいと思ったことだからだ。

人間はセイチョクにいきるのが一番だ。とかなんとか。

俺はセイチョクって何ですかと聞いた。
すると先生はお酒が入ってか、すこし饒舌になって語り始めた。

セイチョクってのは「正直」ってかいて「セイチョク」って読むんだよ。
でも勘違いするな、セイチョクは「ショウジキ」じゃない。
「ショウジキ」はお坊さん用語で、嘘をつかないことを指している

お坊さんたちの世界ではウソをつくと地獄に落ちる。たとえそれが人のためのウソでも
だめだ。まぁ、お前も酒が飲める年になったから、世の中には「良いウソ」ってものがあるくらい
しっているだろうけど、でも、そんなことお構いなしに、ついたら地獄

だからウソをつかずに「ショウジキ」にいないとだめだ。

でも、セイチョクは違う。セイチョク正直、文字通りまっすぐであるという意味だ。
何にまっすぐか、そりゃあ、自分の心にだよ
そして、先生は、昔のすごい人で孔子ってひとの話をしてくれた。

ある日、孔子がある国の王様と話をしていたら、その王様が

「うちの国のものはみんな正直だ!例えばAの家の父親がBの家のヤギをぬすんだ
すると、Aの家の息子さんが、自分の父親が盗んだと証言したんだ」

すると、孔子はこう答えた

「私が思う正直はそうではありません。もし親が盗みを働いたら、子供はそれを隠くし
子供が盗みを働いたら、親はそれを隠ぺいする。これが本当の意味での正直だ」
自分の心に素直に従って行動する。
これがとても大切だ。妖怪と接する際も、人間と接する際もこれだけは変わらない。

自分の本当の心に従うんなら、うそついても、ごまかしても、なんか悪いことをしてもそれはしかたないことだ。自分の本心なんだから。

セイチョクに生きるとどうなるかというと「満足」する。
「満足」している状態こそが一番心にとっていい状態でそれこそ、幽霊や妖怪なんて目じゃない。

「破ァ」でそういうのを追っ払うとか言う話があるけど
あれこそ真の意味で「満足」している人間だからこそできることが。

とかなんとか、確かそういう話をされた。
でも、そこで俺はふっと疑問を抱いた。
そして先生に、なら自分の心の欲するままに行動すればいいなら
セッ○スしたいならレ○プすればいいし、ものがほしいなら盗んだり奪ったりすればいいけど
そういうのも仕方ないの?

すると先生は
それはいい質問だ。といった。
自分の心の欲望を満たすために好き放題やる。

しかし、これも心にとっては良くないことだ。
なぜかというと、心が「満足」を忘れてしまう。

いつの間にか心の中ではいつも「もっと、もっと、次は、次は」とひたすらそれだけになってしまう
これが、「魔」だ。
お前は霊感ないし、術とかそういうものとも無縁だろうが、この魔というのが
この業界の人間を滅ぼす一番の理由だよ。

いつの間にか心が欲望だけになった、満足することも、自分の心の目指すべき本当の道も見失って、最後は妖怪よりもみじめなものになってしまう。
その頃にはもう先生から道とかの話しをされていたんだがそれについても、先生は触れた。

魔は、道をくもらす。
昔の修業するやつらはよく厳しい訓練とかしたりするんだけどなぜかというと、この魔を産まないためだ
しかし。まがさす、という言葉のように。魔は駆除できるものではない。

ならどうすればいいのか。中国では無為自然という言葉がある。
なにもしない、何ともかかわらない。
そうすれば、魔はうまれない。

でも、これも無理だ。当たり前だが、なにもしないとか、死んじゃうwwww

じゃあ、どうするべきか。
まずは自分の心の中の魔を見つけて、それと向き合うこと。
自分の醜いこと、ダメなとこ、そういうのをちゃんと受け止めること。

それで卑屈にならないこと、なんか妙に自信かになったりしないこと。
あるべき現実をあるべきように受け止めて。

そして、それに振り回されて一喜一憂しないこと。
それができて初めて、人間としては一人前。

で、そこからも大切だ。

魔を駆除ぜず、手を引いて、自分の心の敷いたレールの上をゆく。
これが本来の意味のセイチョクだ。

しかし、自分ひとりだけで生きていく場合ならこれでいいかもしれないが世の中にはたくさんの人間がいて、その人たちと関わり合いを持ちながら我々は生きていかねばならない。

この時、他人がわれわれの心をぶらしてくる。
例えば、どっかの会社のサラリーマン。自分の本心を保っているとしても例えば嫌な上司がいて、その前で嫌なのにぺこぺこしたりする。

すると、自分がどんどんと自分の本心が嫌になってしまう。
そして、いつの間にか本心を拒絶してしまい。
セイチョクどころか、魔でさえも直視しない。

これが今はやりの「鬱」だ。

じゃあ、どうすればいいか?
そんなのわからん。わかっていたら私もとっくに「聖人」だ。
方法は自分で探すしかない。

先生にはいくつかのポリシーみたいなのがあった。

例えば、こういう清らかなことを言ったとすると。同じくらい卑猥なことをいうとか誰かに親切をしたら、その直後に同じくらいの意地悪をするとか。
そういうところのある先生は、さらにこういうことを言った。

私は自分の魔を手なずけるのがへただ。
だからこうしていつも、行動で自分に言い聞かせないといけない。

自分は善人でも悪人でもない。
自分のやっていることに、自分の本心以外、別の理由をつけてはいけない。
善悪ではなく、自分が何を選ぶのかが大切だということ。

そして、自分の選んだことなら、決して後悔はしない。
こういうやり方を、中庸の道という。

私は、これが自分にあった道だとおもっている。
だが、多分、お前にこれは向かない。

じゃあ、お前はどうする?
お前にとっての本心とはなんで、どういう道をとるか?
その年だ。そろそろ決めなさい。

俺はそんな先生の話を聞いて悩んだ。
思うところはたくさんあったんだが、自分の道とかそういうのを言葉にして言えるほど、多分まだ俺はおとなじゃなかった。

先生が俺にこの話をしたのも偶然とかじゃなかった気もした。

かなり最初のほうで、うちの流派の話をしたが。「搬山」というものでこれの由来は愚公移山だ。

昔々、あるところにある村があった。その村は交通の便がかなり悪かった。
というのも、その村の目の前に大きな山があったからだ。

その村で一番頭の悪いじいさんは、これをなんとかしようとしてその山まで行って、土を掘って、その土を持って遠くの海までいきその土を海に捨てた。

彼は毎日それをやった。そして、彼の息子と孫も、それを手伝った。
それでも、毎日海に捨てられる土の量は、微々たる量だった。

すると、村の最も頭のいいじいさんはその頭の悪いジンさんに言った
「あんたがどんなにがんばったところで、それくらいのことで山が本当になくなることはないだろう」

それを聞いた頭の悪い爺さんはこう答えた
「確かにそうだ。少なくとも私の生きている間に、この山は動かないだろう。だって、毎日これくらいしか捨てられないんだから

しかし、私が死んでも、私の息子は毎日土を掘っては捨てに行く。息子が死んでも、孫が毎日土を掘っては捨てに行く。孫が死んでも、その子供が。その子供が死んでもその子供の子供が毎日土を掘っては捨てに行く。そして、それを積み重ねば、いつかは山はなくなる」

村で一番頭のいい爺さんは、それを聞いて絶句した。

一方、その村の前の山の神さまがその頭の悪い爺さんの話を聞くとやばい、この爺さん本気だし、多分マジでこれを実行される。
なら、山を無くされるくらいなら、どっか別なところに移ろう、と自分で山を移動させた。

搬山流で最も大切なのがこの頭がわるい爺さんのような意志だ。
詩を歌う際とかも、この意志を持って歌う。

つまり、自分は決してあきらめない。どんなことがあってもあきらめない
だから、そっちのほうから折れろ。というようなことを妖怪に伝えるのが大切だ。

でも、それをやるには、自分の心の道をまずは見つけないといけない。
道しるべもなく、それほど強い心を持てる人間などありえないからだ。
先生の話を聞いて、少し俺は考え込んだんだがやっぱり自分の道なんてまだよくわからなかった。

そして、ふと疑問がうかんだ。

そういえば、先生はどうやって自分の道をみつけたんだろう。

まぁ、人間なにも経験せずして、自分の道を見つけられるなんてめったにないことだから。
もちろん先生にだって、きっかけとか、そういうのがあるはずだ。

俺が素直にその疑問を口に出すと。

先生はそこから、自分の出生を語り始めた。

まず最初にびっくりしたのが、なんと先生はある港町の小さなお寺の次男坊だった
ということだ
先生は三人兄弟だった。

長男と、次男である先生、そして三男。
両親は厳しい人たちだったらしく。かなり躾とかにうるさかったとか。

そして、まぁ、お寺の生まれってこともあって、結構仏教とかに触れる機会が多かった。

先生は小さい頃、自分の両親が嫌いだった。というより、怖かったらしい。

兄である長男は、かなり優秀で、両親のほこりだった。
そして、三男は末っ子ということもあり、大人たちから可愛がられた。

そんな中で、先生は自分が一番親に愛されていないのではないかと考えていた。
なぜなら、兄は優秀さもあってか、あまり叱られることがなかった。
弟は可愛がられていたから、何かやんちゃしても
仕方ないなー、という風に流されていた。

でも先生だけは、何かをやらかすごとに、いつもこっぴどく言われていた。
失敗するときに叱られる言葉といえば
「兄さんの小さい頃はこんなことはしなかった」とか
「お前は本当にダメな子だな」とかそういうやつ。

その割には、あまりほめられることもなかった。
学校で、自分としてはかなりいい成績をとっても
家では「もっと頑張りなさい、お前の兄さんのこのころはもっと高い点を取っていた」
とかであった。
先生の兄はやさしい人だったらしい。

先生が叱られて、一人部屋の中に閉じこもって泣いているときでもいつも慰めてくれるのは兄だけだった。

でも、先生は家族の中で一番兄のことが嫌いだった。
兄はいい人だと分かっていたんだけど。

それでも、嫉妬というか、兄のその優しさがかえって自分をみじめにしているような気がして
なまえきだった弟以上に、兄とは顔を見たくなかった。

そんな先生だったけど。一つだけ、自信があることがあった。泳ぐことだ。

先生の兄は、運動神経はかなりのものらしかったが、泳ぐことに関してだけはからっきしだった。

一方、先生は泳ぐことが大好きだった。
学校が終わると、いつも友達と海に潜っていた。
泳いでいるときだけは、兄より自分が優れている感じがしたらしい。
ことの起こりは先生が10歳の時のこと。

初夏の頃の話。普通の年なら、そこまで暑くないはずの時期だったんだけどその時はかなりの猛暑だったらしい。

学校のプール開きはまだだったし、仮に開いていたとして海のほうがたのしいから、そっちに行っていたんだろうけど先生は友人たち何人かと一緒に泳ぎに行く約束をした。

しかし、それを親に伝えると、父親から反対された。
普段はそんなことないはずだったんだけど。なぜかダメだと言われた。

なんでと、父親に聞くと。これはお前の書いたものか?と先生に一枚の絵を見せてきた。

そこにはうねうねとしたミミズのようなものが書いてあった。
しかし、そのミミズからは足のようなものが3本伸びていて全体的に真黒に塗りつぶされていた。

確かに、それは先生の書いたものだった。
以前海辺に遊びに行った時、岩場でみた変な生き物だった。

学校の美術の時間に書いたものだ。

先生が確かに自分が書いたものだと答えると父親はさらに聞いた。お前が見たものなのかと?

先生がさらに頷くと父親は、ならお前は今年、海にいっちゃいけない。とそういった。
そんなことでもちろん先生は納得しなかった。
なんでいっちゃだめなの?と父親に聞いたが、父親は駄目なものは駄目だと一点張りだった。

さらにやっぱり行きたいと言い出すと、父親は怒り始めてこっぴどく先生を叱った。そして、今日は一日中家を出るな。といった。

先生はあまりの理不尽さに、悲しくなって、また自分の部屋にもどるとまた隠れて泣きはじめた。

すると、父親が叱っているのを聞いたのか兄が部屋にやってきた。そして、何があったと、先生に聞いた。

兄は話を聞き終わると、少し笑って、なんだそんなことかといった。
そして、兄は先生にある提案をした。
先生の兄は親からかなり信頼されていた。
だから、今日は友達とドッジボールをするとウソをついて弟の先生も連れて行きたいと親に言う。

先生は今日の間、家を出るなと言われているがさすがに、いつもしっかりしている兄が世話をやくといいだすなら
外出は許可してくれるだろう。

まぁ、泳げない兄が先生を連れて海に行くなんて思わないだろうしね。

そんで、兄は先生と一緒に海に行く。
水着とかは隠して持っていけばいいしね。

子供が考えるようなザルな作戦だったけど海に行くたかった先生はこの話にすぐに乗った。

兄はさっそく、その話の許可を父親からもとめた。
父親は、いいが、絶対に弟を海に連れていくなよ。と念を押したが結局、許しを出した。

多分父親のほうも、次男を家に一日中閉じ込めておくのはすこし申し訳なかったのかもしれないね。
兄も同行するし、とかで安心した部分もあったのかも。

しかし、兄と先生は家を出ると、すぐさま海に向かい始めた。
海についた先生は早速海に入って遊び始めた。

兄は泳げなかったけど、やっぱり猛暑に堪えたのか、すごく浅いところで水につかっていることにした。

ちなみにだけど、そこは砂浜とかそういう立派に整備された海水浴場のような場所ではなくむしろごろごろとたくさんの岩が転がっているような場所だった。

先生と、その時待ち合わせしていたメンバーは、よくそこで泳いでいた。
岩が結構多かったためか、潮の流れがあまり急じゃなかったし。
溺れそうになっても、すぐにそこらへんのでこぼこした岩に掴まれるから地元で泳ぐというと、そこだったらしい。

先生は待ち合わせていた友人たちと泳いでは、はしゃぎまくっていたんだけどそのうち、友人たちは疲れて一人また一人と、兄のいる水の浅い場所に移動して兄とおしゃべりするようになった。

しばらくたって、気がつくと、先生は一人で泳いでいて自分の友人たちは全員、兄と何やら楽しげに遊んでいた。

すると、先生はなんだか自分の友人をとられた気分になって。なんだかいたたまれない気分になった。
先生は少しむきになって自分は泳げるから、一人でも楽しいしとか強情を張って正直少し疲れていたんだけど、浅瀬にもどらずにもっと水が深い場所に向かった。

そして、そのかなり水深があったところに着くと(実際は2メートルくらいらしいけど、子供からしたらかなり深いだろうね)

そういえば、あのヘンテコなミミズを見たのもここらへんだなぁと、思い出した

でも、なんで急に父親は海にいっちゃいけないとか言い出したんだろうとかぼんやり考えていた次の瞬間。

先生は右足のほうに何かひんやりとしたものが触れたような気がしてそんで、全身が急に動かなくなった。
あ、やばいとか、思う暇もなく何かに足をひっぱられたような感覚で先生の体はぐっと、水面下に沈んだ。

あまりにもいきなりのことだったから、先生は何口も水をのみこんでしまった。
それでも、みずに慣れていた先生はなんとかして態勢を立て直そうともがいたがやっぱり体は思うようにうまく動けなかったし、ぐいぐいとひっぱられる力のせいもあって逆にどんどんと沈んだ。

息ができなくなって、半分パニックになって、水の中では上下左右もわからなくなって先生の頭はどんどん真っ白になった。

そんで、ふとした拍子だったんだけど、先生は水中で目をあけた。

塩とか水中のゴミとかそういうのでかなり目は痛いし、みずの屈折とかもあるし落ち着ける状況ならともかくパニックな頭で一瞬で状況を把握できるわけなんかなかったんだけど。

先生はなぜかそれだけは奇妙なほどクリアに見えたと言っていた。

真黒で、毛むくじゃらで、目も口も鼻も耳も顔さえもなかったんだけど不気味なニタニタした雰囲気をだしていて
それからは何か黒いモヤのようなものが自分の足に伸びていて、絡みついていた。
そこからの先生の記憶はあいまいになったらしい。

深い水の中で、一体何が起こったのかはもう覚えていなかった。

しばらくして、意識をぼんやりと取り戻すとまわりでは焦った、大人の声とかが聞こえてきた。

口の中からは激しい異物感がして、頭はガンガン痛く、体はピクリとも動かなかった。
なんとかして無理やり目をあけると

まず見えたのは、自分のすぐ隣に横たわっている誰かだった。

だれだろうとか、自分はどうなったんだろうとか、どこか思考が遠く、まとまらなかった。
でも、目線を少しづつずらし、なんとか隣の人物の顔が見えた。

先生の兄だった。

顔は真っ青になっていて、目と口は半開きになっていた

あれ?どうして兄がとかおもったのは一瞬。
次の瞬間、兄の瞳はじろりとこちらを向いた。
何かすごい感情がこもった目だった。

もちろん、言葉はなにもなかった。
でも、なぜか先生にはその目だけから、兄の言いたいことがわかった。

「おまえのせいだ。」

そこで、先生は再び、気を失った
あとから先生が聞いた話。

先生が溺れてからしばらくたってやっとそれに気がついた子供たちは、あせって大声をだしたりして大人を呼んだ。

幸い、その日は暑かったから、近くで、他の大人たちも泳いでいてなんとか駆けつけた

そしていつの間にか兄が子供たちの間から消えたこと。
たぶん、兄は弟である先生を助けようとしたこと。
兄は先生の近くの場所で溺れて死んでしまい、先生は助かったこと。
とかそんな感じの話。

でも、先生はそんな話を信じられなかった。
兄は泳げなかったのである。そんな兄が自分を助けるために水が深い場所に来るなど、ただの自殺であることなんて明白だった。

葬式やら、何やら色々あって。先生の両親はずっと泣いていて病院に2,3日いた先生が家の中に帰ると、ひたすら居心地がわるかった。

だれも先生をせめなかったんだけど。
しかし、なんとなく、まわりは自分のせいで兄が死んだのではないかと考えているのではないかと思った。
父親ともまともに話せなかった。

なんせ、海に行くなといわれたのに、それをやぶってしかもこの始末である。

というか、父親だけでなく、周りとも目もまともに合わせることができなかった。
目を合わせると、お前が悪いといわれている気がした。
誰とも話したくなかった。

学校にもいかず、ずっと一人部屋に閉じこもっていた。
食事はいつもいつの間にか部屋の外に用意されていた。

そして、ひさしぶりに口を開いたのは、兄の四十九日だった。

夜になって、父親に無理やり部屋から引っ張り出されてこういわれた

「兄に会いに行こう」
先生と父親は月明かりの中

先生が溺れた場所の近くの岩場まで向かった。
そして、しばらく二人とも無言でじっと水面を見つめていた。

先生は兄さんはなんで死んでしまったのだろうかとか
あの水の中でみたものは本物だったのだろうかとか色々と考えた。

すると、暗い少し離れた水面のほうに、何かが見えた。
靴だった。

たしか、あの日、兄が付けていた靴だった。
なぜかその時は先生は、あれを拾わないと!とか思ってそんで、ニ三歩海のほうに近づくと

がしっと後ろの襟を父親に掴まれ、どうしたんだ?と聞かれた

兄さんの靴があそこにある、と先生が答えると。

父親はどこにある?よく見てみろと言ってきた。

先生はもう一度、目をこらえて先ほど靴があった場所を見てみると今度は何もなかった。

あれ?と先生がふしぎに思っていると。父親は何かに納得したかのようにしてそして先生にこういった。
内地のほうに知り合いがある。お前をその家のほうに送る、とそこからの話を、先生はまぁ色々あったと略した。

とりあえず、わけもわからず急にある人のお家に居候させてもらうことになってその家はかなり遠い親せきの人で、年をとった夫婦だったんだけど、子供がいなくてそれなりにかわいがられた。

そして、兄の死からしばらくして、先生は水の流れがある場所がこわくなった。

というのも、死んだはずの兄の声が聞こえてくるらしい。

最初はなにか聞こえないことをひたすらささやくだけだったんだけどだんだんと、その声はエスカレートしていった。

兄の声は様々なことを語りかけてきた。

実は兄も自分のことが嫌いだったこと。
確かに兄と三男は親から甘やかされたが、でも、兄弟の仲で、いつも先生が一番親に注目されていたこと。

両親はいつも次男の先生と一緒にいることが多かったとこ。
自分はどんなミスをしても、親に軽く流されていて、どこかないがしろにされていた感覚があって先生がうらやましかったこと
先生が叱られると、良い気味だとおもっていたこと。
泣いている先生を慰めることで、自分はできた人間だと良い気分になれたこと。
そして、自分が死んだのは先生のせいだ、ということ
先生は、その後実家に戻ることはなかったらしい。

なんだか、あの町の、あの海の近くに行くのがこわかったからだ。

中学に入って、高校に入って、そして大学で京大に入った。
大学に入ると、父親ががんで亡くなったと知らされた。

大学ではとにかくいろんなことを勉強して、いろんな人と出会ってやっと、自分を悩ます兄は「倀」という存在になったのではないかと分かった。
兄はいまでも、あの海のほの暗いそこで、先生をおぼれさせたいとおもっているんだと。

自分には霊感のようなものがあって。
自分の両親は自分を守るために、色々ときついことを言っていた。
自分は両親が嫌いなわけではなく、好きだからこそ、愛してほしかった。
自分が兄に対して複雑な感情を抱いているように兄も自分に対して色々思っていたこと。

そして、先生は後悔した。

父親にも、兄にも、言いたいことはたくさんあった。
でも、周りの状況とか、自分の意地とかとういうのが邪魔して素直になれず、何も言えずに二人はもうなくなった。
そうして先生は結局のところ自分という人間にとって一番大切なものが何なのかを見定める力が足りないとそう感じた。

まぁ、人間ならそういう部分少しくらいあっても仕方ないかもしれないが

先生の父親は頑固おやじで、先生も少しそれに似てしまったせいかもしれないが素直になれなくて、それで苦しむことが多かった。

だから、先生は中庸の道を選んだ。
中庸はよく中途半端とかそういう意味で勘違いされるけど。
本来の意味はそういうものではない。

どんな時でもその時々に起きたことを判断する場合、どちらにも偏らず自分の平常心で行動でする、という意味だ。

まぁ気になる人はググってみれば、もっと深い話とかあると思う。

前にも言ったが、先生はポリシーというかそういうのを持っていて良いことをしたら、同じくらい悪いことをするとか正直なことを行ったら、次はウソをつくとか

はたから見たらただのおかしい人なんだけどこれは一種の願かけでそういう風にして、いつも自分の素直な気持ちを見つめることにしているらしい。

これが先生が自分の道を選んだ経緯だ。
話を聞き終わった俺は、先生にではなぜ、俺にはこの道が向いていないんですか?
と聞いた。

まぁ、話を聞く限りこういう考え方とかも悪くないかなぁと思う部分もあったからだ。
先生は俺の質問にこう答えた。

世の中には霊だの幽霊だのが見える人間と、そういうのが全く見えない人間がいる。

そしてさらに、そういうのを見えると主張する人間には

本当に霊感があるひとと、霊感がないのにあるといっているひとと、二種類存在する。
でも、この二種類の人間どっちにしても、どこか心がおかしい人間だ。

この世に本当にいるのかいないもかも分からないようなものが見える人間ってのはどこか心に闇がある。
そういう闇を通して、人間は化け物を見つけだす。

そして、見えないくせに見えるとか言い出すような人間も心は不健康だ。そんなウソをつくやつはつまり、心がどこか満たされていない人間である証拠だ

まぁ、見えない人間が全員が全員正常とはいわないが。
でも、先生的には霊感のない俺は、精神的な部分においてはきわめて健全な人間であるということだ

そうなれたのは、きっと俺が良い育てられ方をされたからだ。
もちろん先生にではなく。

もうすでにいなくなった。俺の家族のほうだ。

人格を形成する一番大事な時期に、俺は間違いなく幸せだった。
俺は良い家庭で育てられた。

先生は自分は自分に素直になれない人間であるが俺はそういう人間ではないと言った

何か喧嘩した後でも、すぐに笑って人に謝ったり、許せたりして。
傷ついたりもするが、その分他人のこともおもったりもできて。

よくついついさぼっちゃうが、それでもなんとか自分を律することができて
自分の幸せのよりどころというか、そういうのがはっきりとわからないかもしれないが

ぼんやりとイメージできて、そしてそれを追い求めることを恐れない。

俺のそういうところが、間違いなくただの「普通の人間」であると先生は評した
でもだからこそ、そんな俺には、道についてのアドバイスはできないと先生は続けた。

この業界の人間は大抵どこかおかしい境遇があって。
正直、殆どのやつはみんな頭がわいている。

そんなどこか心が欠けている奴なら、それなりに苦労はするだろうが自分の心に住む「魔」はすぐに見つかるし、自分にあった道もかなり分かりやすい。
自分でわからなかったとしても、少し人生経験があれば、そんなもの簡単に指摘できる。
でも、俺が「普通」であるゆえに、逆にそれが難しい。
俺の心に何が足りないのか?何が俺を不満足にさせているのか
客観的にみても、主観的に見てもそれは非常にわかりずらいものなんだ。
もっと簡単にまとめると、つまりお前はこんな仕事には向いていない。ということになるのだがwww
とかその後先生はちゃかした。

そっかー、俺はまだなんとか「普通」の範疇にいれるのかー
とか、初めて聞いた先生の過去話や自分の道についてもやもやして先生の話の本題のほうを

新しい弟子

その日は先生に呼ばれて、先生のところまでいったんだけど先生の最初の発言でびっくりした。

もう一人新しく弟子をとることにした
俺の顔はΣ(゚д゚;)って感じになって。

え?急にどうしたんですか。と先生に聞いたら

実は弟子にとるつもりのやつは、自分の弟の子供で
ちょっと込み入った事情から、そいつを入門させることになったとかなんとか

いきなりすぎる!相談ぐらいしてくださいよと俺は思ったが

まぁ、先生がいつの間にか勝手に色々決めるのはよくあったことだし。
「ちょっと込み入った事情」ってのもなんか人の家庭の問題っぽいあんまり詮索しないことにした

そんで、先生はその弟の子供に会うために
何日か後に、久しぶりに里帰りをするといった。

俺はえ?先生が実家に!とかさらに(゚д゚;)だったが。
でも、そういえばこの時期って先生の父親が亡くなった時期だ。と思いだした。

いつかは忘れたんだけど、先生の父親は9月の終わりごろに亡くなったと
聞いたことを思い出した。

ちょうどその年は先生が大学入試の年で。
先生の気をちらさないために、危篤のこともそして、亡くなったということも
合格の発表までに教えられなかったらしい。

俺は少しびくびくしながら先生にこう聞いてみた。
先生の父親の墓参りとかしたらどうですか?と
先生は俺のその言葉を聞くと、少し意外だったのか
目を見開いた。

そして、4日ほど滞在する予定だから、もし気が向いたらいくかもしれない

と答えた。

俺はそうですかー、と相槌をうちながら

内心でやったー、4日間もフリーじゃ!と、ガッツポーズをとり
自由をどう謳歌しようか考えた。

ちょうど、こん時期にだけど、先生に高卒認定試験を受けろと命令されて
夏に受けて、一度おちちまって、もっと勉強しろ的なことを言われて。

11月にある試験に向けて毎日、先生のところでそういう勉強させられた。
俺は勉強がすきってタイプでもないし
短い間でも、先生がブックオフで適当に買ってきた教材とおさらばできるのは
感劇ものだった。

そんな俺の考えを読みとってか。先生は俺にこういった。

ちなみに、お前の分の旅券も予約した。
それから何日か後、俺は先生と一緒に先生の故郷に向かった。。
特に場所は明言しないけど、海に面した県での小さな港町だった。

俺はいくならいくで、そこまで反発しなかった。
先生の生まれた土地のことは少し興味あったし、自分のおとうと弟子になるであろう人物も
気にならないというと大ウソになる。

しかし、新幹線に乗るとき、先生がまた高認の教科書を押しつけてきた時はさすがにげんなりした。

出発したのは早朝の8時くらいだったのだが。
その場所に到着したのは午後の6時あたりだった。
昼飯はおにぎり二つだけで、かなり腹が減った。

俺としては、先生が帰ることはもう家のほうには伝わっているし
関係が悪いにしろ、港町だし、お寿司とか食えるんじゃないかなぁとか
淡い期待を抱いていたが。

もちろん、それは裏切られた
目的地に着くなり、先生は俺をつれて人気のないところに向かった。

そして、持ってきた荷物をあさり始めて、すごく大きな釘を一本取り出して
アスファルトじゃない地面に打ち付けた。
先生は自分の髪を一本ぬくと、すこし頭を出した釘に結構複雑に撒きつけた。
俺はそれを見ると、少し驚いた。
これは「定山」という、うちの流派のなんというか決まり事で。

もしこういうのを見つけても、だれも抜かないでほしいwww

結構危ないときとかにやるもので
自分の魂というかそういうものを地面にうちつけるという意味を持つ。

だから、妖怪とかで魂持って行かれそうになっても
この釘が刺されってさえいれば、無事でいられるというものだ。

基本的に、釘をうったひとが一人。これを响搬といって。
この人が色々動きまわったりしても大丈夫なようになる。

その打ち付けられた釘を見守る人が一人。これを助搬という。
この人は釘が無事なのかずっと見守る必要がある。

釘で打ち付けれているとはいえ、魂がそこにあるんだから
いろんな悪いものが寄ってくる。
だから、そういうのから釘を守る役割だ
釘は市販のやつを溶かしたあとに
自分の薬指の血をいってきたらしたり、他にも色々やったりして
最後に、形にしたものだ

俺は先生にどうしたんですか、急に?ときいたら

すこし兄が亡くなった場所を見てくる。見張っておいてくれ的なことを言って
日本酒を一本俺に渡すと
すたすたとどこかに行ってしまった。

俺はえ、でも、と言いかけたが。やはりやめることにした。

先生はあまり俺に助搬をまかせたがらない。
理由は簡単で、俺のまわりにいるイタチたちになにかいたずらをされるのが怖いんだろう。

でも、これを俺に任せるということは多分。

俺のイタチなんかより、遥かに怖いものに会いに行くんだろうと
俺はそう感じた。
時期的に肌寒くなっていたころだったし、それに日も短くなっていて

もうほとんどあたりは真っ暗だった。

前にも書いたが、俺はあまり飲めないタイプではあったが
先生からもらった日本酒を一口だけ飲んで、後は釘のまわりに円を描くように
撒いておいた。

すきっぱらだったから、すぐに酒で体がポカポカしてきた
でもさすがに量はそんなに取らなかったから、頭がぼうっとするようなことはなかった。

「定山」が魂を打ち付けていられるのは精々2,3時間だ。
それ以上長いと、魂は自分の体に戻ってしまう。

俺は携帯を取り出して、タイマーを3時間に設定した。
その時間になっても先生が来なければ、釘を引っこ抜いて
先生を探しに行かなくてはならなかった。

正直すこしこわかったのもあってか、いつの間にか俺の頭の中で
夏祭りの曲のサビの部分が延々と無限ループしてた。

うちあげはなびー
うちあげはなびー
うちあげはなびー

多分8,9回目ぐらいになったときかな。

今までお酒でポカポカしていた体がすっと、謎の寒気を感じた
俺はドキッとしたが、すぐに釘の周りのお酒の濡れた後を見つめた。

ここからが本番であった。

お酒は水より乾くのが少しだけ早い。
もちろん、科学的にはアルコールが入っているとかそれだけなんだけど

しかし、昔の人はこれを妖怪がお酒を「飲んだ」とおもっていた。

妖怪というのは大抵お酒が好きで
かなりな有名どころだとヤマタとかもそうだしね。

夜にお酒とかをこぼすと、そこにそういうものが群がっているように感じるとか
霊感ある人から聞いたことはある。

実際どうかは知らないけどね。

だから、まったく霊感のない俺はこういう風にお酒を少し撒いて
その渇きぐあいで、やばさを判断したりする。

そしてこの状況だと、そういうものの注意力を釘からそらす効果も期待できた。
酒のほうを見ると案の定、殆ど乾ききろうとしていた。
俺は急いでお酒をまた同じあたりに撒き散らした。

でも、こんなのはただの時間稼ぎにしかならない。

お酒の量にも限りがあったし
このペースじゃすぐにつかい果たすのは目に見えていた

だから俺は持ち物のカバンをあさって、短いしめ縄を取り出した。

お酒を好む妖怪は大抵まだ話せる相手だ。
人間にとって害があるか、ないかはともかく、少なくとも交渉しようと思えば
なんとかなる奴が多い。

だから、俺は一種の囲いを作ろうと思った。
中二的に表現すると、結界だけど、そんなすごいもんじゃない。

ここでいう囲いは言葉にすると意味合い的には「なわばり」という表現のほうがいい
漢字にすると「縄張り」だ。

つまり酒のあるほうの土地をお前らにやるから、代わりにこの釘の打ってある場所は俺のもんだから
入ってくんなよ!的な暗黙のルールを結ぼうとした。

これにまつわる昔話も一つあって。

昔々あるところに猿好きの爺さんがいた。
その爺さんは猿が好きすぎて、家族さえ捨ててしまい、何十匹の猿を飼った。
しかし、猿を飼いすぎてしまったせいか、餌代がたりなくなった。

だから、ある日の朝、爺さんは猿にこう言った。

「前までの餌は、朝に栗4つ、夜に栗4つだったが、今日からは朝に栗3つ
夜に4つで我慢してもらえないか?」

それを聞いた猿どもは激怒して、猛反対した。だって、朝の栗が一個減ったんだから!

怒り狂った猿たちを見たじいさんは、しょうがないなぁというような顔をして

「わかった、わかった。もう怒らないでくれ!こうしよう。さっきは朝に栗3つ、夜に栗4つ
といったが、仕方ない。特別に朝に栗4つ、夜に栗3つにしてやろう。これで満足か?」

といった。

それを聞いた猿たちは、朝に4つくれるのか。ならいいやと納得し
その案に賛成した。

夜のこと?そんなの夜にまた考えればいいじゃん。もし3つだけだったら
また泣き叫べばいいし。と猿たちは思った。

でも、実際に夜になって、猿たちがどんなに泣き叫んでも、爺さんは約束だからと言って
栗を3つしか渡さなかった。まぁ、あげたくても金がないからね。

猿たちはそれで納得するしかなかった。

人間もこの猿たちのことをバカにすることはできないかもしれないが
でも、妖怪はこの猿たちよりもっとゲンキンな奴らで

しかも、一度した約束は絶対に守る。
俺はしめ縄に「はぁ」と自分の息を吹きかけた。

あと3分の1くらい日本酒の入った瓶をもっとすこしだけ遠くの場所で
瓶でこんこんこんと地面を3回軽く叩いた。

そして、瓶をそのまま地面に置いて、いわゆる神社に行く時の二拝二拍一拝のようなことをして
最後に酒瓶を軽く蹴って、酒をこぼさせた。

これで、妖怪の気はこっちのほうに向くはずだ。

あとは急いで、釘のところに行って、しめ縄で釘と自分を囲えば良かった
俺は少しだけ安心して、釘のうちつけてある場所にもどろうとニ、三歩あるいたが

その時だった。

ピシャリと、何か濡れているものが、俺の肩をつかんだ。
その瞬間、足がまるで鉛のように重くなって、全身から嫌な冷や汗がどばっとふきだした。

耳のあたりから、なにか人の息遣いを感じた。
でも、もちろん生きた人間のような温かいものじゃなくて

すごく冷たくて、ねっとりとした嫌なものだった。
まるで掴まれた場所から吸い取られているかのように、俺の体の温かみが消えていった。

やばい。

俺もこの仕事をもう何年やってきたが、さすがに関わっちゃいけないものと
なんとかなるやつの区別とか付く。

その時俺の後ろにいた何かは、間違いなくやばいやつだ。

俺は自分の中の激しい振り返りたい欲求をなんとか我慢して、それでも釘のほうに行こうと
必死に歩いたが、奇妙なことに、どれだけ歩いても釘に近づくことはなかった。

その頃になると、俺の心の中でも焦りが生まれはじめた。
そして焦りはどんどん恐怖へと変わっていって。恐怖は俺の理性を食いつぶしながら
どんどんと成長した。
俺はパニックになる寸前の状態だったが、最後の気合いをなんとかふり絞り
寒気でカチカチな足を曲げて、地面に左膝をつけた。
そして、頭をあげ、はるか空のほうを見上げた。

流石は田舎。あたりは真っ暗だったし、いい感じに星空が見えた。
北極星を見つけると、俺は手で銃の形を作り、そこに向かって「バン」と口で言った。

なにか由来のある術とか、由緒ただしい技とかじゃない。
強いて言うなら、もう名前さえ忘れたんだけど。昔みたアニメの主人公のかっこいいライバルが
死ぬ前にやった行動で

自分で決めた、自分を落ち着かせるための一種の儀式だ。

退治の時に一番怖いのは相手の妖怪じゃない。
自分自身の心の中に眠る恐怖だ。

人間でも同じだ。
交渉するときに、弱気になると、相手は強気になるし
こっちが強気になれば、相手は弱気になる。

怖がれば怖がるほど、対峙しているものは勝てないものになっていく
でも、逆に、落ち着いて、自分の友人といるような心持になれば、相手側も心を開いてくれる

俺は怖くなった時、この行動をして。あのとき見たアニメを思い出す。
そんで星空を見上げると、なんというか自分とか妖怪とか全部がちっぽけな感じがして
心の何もかもが穏やかになっていく。

はたから見たらかなり痛い行動だったかもだが、そんなことは気にしていられなかった。

そこから俺は、2,3回深呼吸をしたが、もっと気分がよくなった。
海潮の香りが微かにしていた。

これが終わったら、絶対先生にうまい寿司を奢らせてやる。
そんなことも考えた。

すると不思議なことが起きた。さっきまでがっしりと俺の肩を掴んでいた「何か」の存在が
急に消え、体が自由に動くようになった。

俺はすぐに立ち上がりながら、手のひらに唾をかけて、ぽんぽんと額を4回たたいた。
そして、今度こそ、釘のほうに向かい。しめ縄で俺と釘を囲った。

周りに撒いた酒は殆ど乾ききろうとしていた。

急いで俺は「そっちの酒と、この円以外の場所はお前らのもん、でもこの円の内側は俺のもん」
といった感じに詩を読み上げた。
それからどれくらい時間がたったか。
俺は囲いの中でひたすら、じっとしていた。

普通ならこういう風に時間を潰す時、携帯いじったりするだろうけど
今の状態だとそれができなかった。

携帯の液晶が鏡になって、なんか変なものが見えるのを避けるためだ。

だから、かなり手持ち豚になってたんだけど

さっきよりはだいぶ落ち着いていたのか。
また心ん中で夏祭りのメロディーがループし始めた。

そんな中、急に「ぴぴぴぴ」と携帯のタイマーがなったときは結構びっくりした。
俺は「あ、まじかよ。先生3時間たったのに帰ってこないのかよ」と思った。

これはつまり先生の身に何かが起きたかもしれないということだ。

俺はまた焦って、地面に突き刺さった釘を抜こうとした。
今すぐ先生を探しに行かないと。

「定山」をやり終わった後の釘とかは使いようによっちゃ、「定山」をやった人間を
呪う道具にもなるから、回収して、ちゃんとした処理をしないといけない決まりがあった。

でも、手が釘に触れたところで、俺はぴたりと動きを止めた。

うちあげーはーなびー

これで78回目だ。

仕事をしているとき、時間を気にすることは多い
術や儀式によっては、やり始める時間とかもちゃんときまってたりする。

でも、時計や携帯の時間というのはあくまで目安で、完全に信用できない。
なぜなら、妖怪に「目隠し」されて、変な時間が見えてしまうのだ。

大抵は蝋燭とか線香とかの短さとかで時間を大まかに判断する。

次点として、こういう風に音で判断できるものを使う。
そして、それもできない場合は心の中で図る。

俺の場合、それが「うちあげーはーなーびー」のサビの部分だ。

心の中で図る場合、焦って早く回数を数えてしまうこともあるが
遅くなるという場合はめったにない。

さすがにタイマの音が鳴るのは早すぎないか?と数えた回数を思い出して
心の中で引っ掛かった。

そういえば、今の携帯の音、聞こえたのは俺のポケットからじゃない。

俺の後ろのほうからだ。
俺の動きはそこでピタリと止まった。
ポケットから携帯を出して、なるべく液晶をのぞきこまないように
時間だけを見た。まだ2時間にもなっていなかった。

確かにそれまではなんか大人しいなぁとか疑問に思ったりしたけど
俺の携帯の音をまねするとかこういうパターンはやっぱり奴らだ。
と思った

特に証拠はなかったが、長い付き合いだし
これはイタチたちのいたずらであるとなんとなく確信した。

わりと危ないところだった。
もし本当に釘を抜いちまって、先生になんかあったら
結構心に来てたはずだ。

まぁ、イタチたちの狙いはそれなんだろうけど。

俺がそのまま、釘に触れていた手を離すと
どこからともなく「ち」というような舌打ちする声が聞こえた。
先生が戻ってきたのは、それから約30分後だった。

かなり疲れた顔をしていて。

俺はどうでした?と聞いたが。何もなかったよ。と首を振って
それ以上何もいわずに釘を回収すると。

先生は本来の目的地にもくもくと、向かい始めた。
まぁ、なんというか複雑そうなので俺も何も聞かなかった。

しばらくすると先生の実家のほうに着いたんだけど。
それなりに大きなお寺で、あまり表現しすぎるとすぐ流派とか分かっちゃうから
具体的な部分は省く。

出迎えてくれたのは先生の弟とその嫁さんと先生の母で。
どうやら、弟のほうが寺を継いでいるみたいだった。

母は先生に大きくなったねぇとか言ってて涙ぐんでて

俺は晩御飯を期待したのだが、なんというかそういう雰囲気じゃなかったというか
さすがに初対面の人たちにご飯は?とか聞く勇気もなかった。

俺は弟さんの嫁さんにとまる客室に案内してもらうと、そのまま放置プレイをくらった。

先生はさすがにつもる話しでもあるのか、弟さんと母親さんと家のどっかに消えていった。

携帯で2ちゃんのスレみながら、空腹を紛らわすこと2,3時間。
先生が部屋に来て、ちょっと来いと言われた。

先生は弟さんと一緒にいて、弟さんはメガネをかけていて一人称が僕で
かなり丁寧な印象な人だったんだけど。どこか不安げだった。
その二人について、家の中を進んでゆき、とある部屋でとまった。
弟さんが部屋をノックして、入っていいか?と聞くと

部屋の中から、どうぞ。と女性の声がした。

中に入ると、そこは13,4くらいだろうか?中学生っぽい感じの女の子がいた
部屋は年相応というか、これが女子なんだなーって感じの部屋で。

目立つ所に書道のなんかの賞状が貼ってあった。
女の子はベットから体を半分起こしている感じで、見知らぬ人がいることにびっくりしていて
少しいぶかしげにこちらの様子をうかがっていた。

弟さんは、こちらが前に言っていた人だよ。という風な感じに先生を紹介すると
先生とその子はお互い軽く会釈をした。

そんで、その次にちょうど俺も紹介されそうになった時、俺はその女の子と目を合わせた。

すると、なぜか女の子は急に手で口を押さた。
顔色も見る見るうちにものすごい勢いで真っ青になって。

そのまま、吐いた。

弟さんはそれを見ると急いで嫁さんを呼んた。
嫁さんは先生の母親さんと一緒にやってきて、女の子の周りの惨状を急いで
片づけ始めたり、大丈夫?とか女の子に聞いたりした。

俺は状況がわからず( ̄△ ̄;)って感じだったんだけど。
先生は弟さんと2,3小声でしゃべると

ついてこいと俺に言って、すこし離れた部屋に移動した。
その部屋は和室で、先生のが泊る部屋みたいだった。

そんで、三人で座布団に腰をおろすと
俺はあの子は?と先生に聞いた。

先生はお前の妹弟子になる人だ。と答えた

俺はびっくりした。

さすがに女だとは思わなかった。
なんせ、うちの流派は女を入れない決まりはないが
やっぱり女性を忌避する部分がある。

なぜなら、女性は男より変なものに入り込まれやすい。
それはイタコとかそういう意味合いでは役に立つが、うちのやり方だと
正直ただの足手まといにしかならない。
どうしてまた女性を?と俺は聞いたが
あの子は少し危なくてね。と先生は答えた。そして、弟さんに

それにしても、またひどくなったのか?というような言葉を投げかけた。

弟さんはすこし言いにくそうになったが
どんどんひどくなる一方だ、と答えた。

先生はそれを聞くと、俺のほうを見て、なら仕方ないなぁとつぶやいた。

俺は良く状況がつかめなかったんだけど、さっきの女の子の様子とか
このやり取りとかを見て。少しピンと来て

もしかして、あの子って霊感あるんですか?と先生に聞いた。

先生は、ああ、そうだ。それも随分とはっきり見えるようだ、と頷いた。

俺も仕事柄上たまに霊感があるというひと(自称だから本当かどうか知らんが…)と
たまに関わり合うことがあるんだけど

みんな結構俺のことを嫌な目で見る。なんか後ろのほうでたくさんの真黒な何かがニタニタとしているらしい。
まぁ、もうそれが何かは分かり切ったことなんだけど。

でも、目を合わせただけで吐かれたのは初めてだった。

弟さんは、あの子は小さいころから、少しは見えていたらしいけど
本当にひどくなったのは二か月前のある出来事からだ、とその時のことを話し始めた。
女の子は小さい頃はわりと変なものが見えるとか言ったりしていたが
その頃にはもうそんなこともなくて、普通な子って感じだった。

その日は土日だったんだけど、女の子は学校に部活しにいってて。
帰りがすこし遅くなると家に伝えていた。

でも、いくらたっても女の子は戻ってこなくて

夜の10時くらいになると、さすがに弟さん家族は心配になり
女の子の友達に電話したり、学校のほうに聞いてみたりしたが
なんと、女の子は部活にも行っていないという答えを得た。

とりあえず、弟さんたちは12時まで自分たちで女の子をさがして
それでも見つからなかった場合、警察に通報しよう。と話し合い。

近所の人とかに女の子の行方を聞いたりして回った。
近所の人たちも女の子が消えたことを聞くと、捜すのに協力してくれて
町を結構くまなく探した。

でも、女の子はどこにも見つからなかった。

捜している人たちがまじでやばいんじゃないか?とか焦り始めたころ

町の近くの草むらに、女の子の名札のついた制服が見つかった。

捜していた人たちが急いでそのあたりをさらに探してみると
少し離れたところに女の子のカバンがあって

さらに離れたところにスカートとか、靴とか

どんどんと町の離れの海の崖のほうに続いていた。
大人たちはそっちのほうに向かった。

これはもしかしたら事件かもしれないと、誰かが警察にも連絡した。

場所に着くと、あたりはもちろん真っ暗なので、懐中電灯の光をたよりに
何か手掛かりがないか探した。

すると、崖の近くの大きな岩の上に人影があった。

近づいて、光を当てると。そこには女の子の姿があった。
ほとんど裸で、両手に何か持っていて、何か楽しそうにぶつぶつ言っていた。

それを見た弟さんは急いで女の子のほうにいったんだけど
女の子が持っているものを見ると唖然とした。

女の子は小さな木の枝を箸のように片手で持っていて
そして、もう片方の手には石を持っていて、その石の上には大量のミミズがいた。

女の子はさもおいしそうに、ミミズを木の枝で挟むと、口に放り込み

ひとかみ、ふたかみ、ごくり。

彼女は生きたミミズを啜っていた。

異様な光景に弟さんは凍りついたんだけど
他の大人たちが来るのを手で静止した。なんせ女の子は裸だ。

その間もずっと、女の子は目の前に誰かがいるかのように
その何かに、ひたすら話しかけていた。

何を話しているのかは良く聞こえなかったらしい。

弟さんも少しも知識があったみたいで、ごくりと唾を飲み込むと
懐中電灯を一度消して、光を出すガラスの部分にはぁーと息を吹きかけて

女の子が話しかけている場所に向かって、一瞬だけ電灯をつけて、またすぐに消した。

その一瞬に、弟さんは見た。

何もなかったはずの場所には、なにか動物のようなものがいた。
弟さんはかなり怖かったんだけど

それでも、自分の娘を助けたい一心で、覚悟をきめた。

数珠を握り締めると、大声でお経を叫びながら女の子のほうに走って行って
手に持ったミミズを払い落した。

すると、女の子はたちまち無表情になって、弟さんをじっと見つめた。

弟さんはそんな女の子に服をはおらせる、なんとか彼女を大人たちのいるほうに
引っ張って行った。

ちょうどそのころには警察も来ていて
全員急いで彼女を病院のほうに運んだ。

いつの間にか女の子は気を失っていて。意識を取り戻したのはそれから2日後らしく
失踪している間のことは全く覚えがないらしい。

そして、弟さんは彼女を無暗に刺激したくなかったし、どんなふうに見つかったのかは
女の子に黙っていて、彼女は自分に何があったのかまだ知らない。とのこと

俺はこの話を聞き終わると、ふと、これってもしかして「天命漏らし」じゃないのか!?
と思った。

もしそうだとしたら、女の子は確かにかなりヤバい状況だ
「天命漏らし」というのは、占いの業界で気をつけないといけないことなんだけど

未来をはっきりと、誰かに伝えることで起こる。
まぁ、占いとかで本当に占ったのか嘘八百なのはともかく
みんな曖昧にしか言わない理由がこれだ。

はっきりと誰かに未来を伝えてしまうと、その未来までの時間分の寿命が
聞いた相手も、教えるほうもちじむというものだ。

だって、未来に起こるはずのことを今知るというのはおかしいから、その分年をとる
と理解すればいいのかな?
というものだ。

これは漢字からもわかることなんだけど

天命というのはまぁ、運命とかそういう意味なんだけど。
「寿」という漢字の意味も、確か本来は「天命」からきたはずで
「天命漏らし」がそのまま「寿漏らし」につながるわけだね。

だから、普段の生活でも、もし予知夢とかみたら、あんまり他人に伝えないほうがいいね
寿命ちじむんだ。

あとすごい予言者とかが預言書書いたりするけど
それが全部意味不明な言葉だったりするのもこれを恐れてだ。
そして、妖怪は占いとかを通して未来をしることはできないんだけど
人をだまして、人を通して無理やり聞き出すことができる。

こういう風に妖怪が人間に何かをおもてなしして
さらに話しこむ場合は大抵、人間をコントロールして占いとかさせて
天命を聞きだしている。

妖怪はあんまり寿命とか気にしないけど、人間側からしたらたまったもんじゃない。
そのまま漏らし過ぎて死んでしまう例もある。

俺は先生に自分の思ったことを伝えると、先生は自分も同意だ
と答えた。
妖怪と幽霊とか念とかの違い

妖怪は生きている
幽霊は死んでいる

ってのが一番の違いかな
幽霊は足がないっていう話があるけど

あれはつまり、幽霊は死んでいるから、実際に物理的なちからがないんだよ
じゃあ、どう人とかとかかわりあうというと、人に幻覚とかみせたりている

妖怪は物理的なものかな?例えば部屋の中でなぜか足音がするとしよ
この場合、周りを探してもなにもなけてば、それは幽霊がきかせている幻覚の可能性が高い
もし、なにか物理的な証拠、たとえば足跡とかあれば、それは妖怪だよ

人間が妖怪になる方法だけど

そういうのはあまりわからないけど

人不死、即成妖って中国の言葉があるから

とりあえず長く生きればいいと思う
音は幻覚の可能性があるから、どっちかといえない

妖怪なら、何かしら証拠みたいなのはあると思う
獣の毛とか、変な足跡とか
金牌術というのは具体的にどういうものかというと
「法」の範囲に属すもので、代々「金牌」というものを受け継いでいる

継承者というか、そういう人は、いろんな所を旅して
なるべく多くの友人をつくり、多くの妖怪とかそういうものと触れるようにする
その分業を背負う可能性があるんだけどね

そして、最終的になると、たとえば、妖怪にちょっかいだされたら
「ほら、この金牌がみえないか。俺は何々の弟子の弟子の弟子の…だ!
友達たくさんいるんだぞ!俺をやったらやばいんだぞ!」

とか

困った時は「ほら、この金牌がみえないか。俺は何々の弟子の弟子の弟子の…だ!
友達たくさんいるんだぞ!俺に恩を売るのは悪くないぞ!」

みたいに金牌が伝わった代とかが多ければ多いほど
虎の威を借りるキツネ的に、どんどんとそのコネ的な力を強める
すごいところだと、神さまでさえ命令できたりする

金牌術の中には「死体運び」という技術があると聞いたことがあった。
一番金牌術の大本になったのは本来葬式屋だった。
しかしもととなった葬式屋は、少し特殊な葬式屋で
昔って死体とかは故郷とかに埋葬するじゃん?
でも交通の便がかなり悪かったから、もしどっか自分の家から
遠いところで死んだりすると

その死体を故郷まで届けないといけない。
それも腐らせたりせずにね。

その葬儀屋というか死体の運び屋が、最終的に金牌術をうみだした。

なぜそんな術が生まれたかというと、どんな人でも死体となっては罪とか
そういうのはないし、それを故郷の土に埋めたりするのは生きる人の義務
みたいな考えが昔にあるから

死体運びの仕事をする必要だったが、それをする人って、あんまり人気がないのは
すぐに想像できるよね?

まぁ、ばっちいというかなんというか、不吉なイメージあるし。

だから、旅をする割には、宿とか食事とか誰も提供してくれなかったりした。
でも、死体を運ぶのは誰かがやらないといけない。

だから、朝廷から、この人たちに絶対協力しなさいみたいな「金牌」
を死体運びの人に配ったんだ。
そこでその死体運びの人たちは、「自分たちが死体運びだ

それで、死体運びの人たちは「自分たちは死体運びだから協力しろ」
みたいな感じで

ただで宿とか提供してもらっていた。
そのうちそれがどんどん変化したのがもとらしい。

そして、その「死体運び」の具体的なやり方が、運ぶというより
死体自身に動かせるというものだった。

これが中国のキョンシーの由来でもある出しいんだけど。
何かしらの処理の後、死体を立たせて、軽くひもでつないで
それを引いて歩くと、ぴょんぴょん後ろをついてくるらしい。

さらにすごい人とかだと、死体を自分自身の故郷に行かせる方法とかもあるらしくて
その後ろをひたすら見守りながらついていくみたいな。

ただ、その死体をじぶんで歩かせる方法にはすこし不便なとこがあった。
それは、その死体が生きた人間の周りを通れない、というものだ。
理由はよくわからないけど、まぁそういうものらしい

 

俺の初めての一人での仕事の話。そんなに怖いもんじゃなかった。

そんときは先生はまだ生きていて、3年くらい前かな。
うちに、20後半近くの男が訪ねてきて、住んでいる家がなんかおかしいから

みてほしいといってきた。

そんで、その男の話を聞くと、どうやら男の家はかなり古いアパートらしく
男は夜勤の仕事も多くて、夜はあまり家にいないのだが

よく近所から、夜中家がうるさいと苦情が来ると、大家に言われた。
でも、言われた時間帯は、明らかに男の家にいない時間帯で

その旨を大家に伝えたら、それはおかしいと言われた
そして、さらにしばらく経って。やっぱり周りから大家まで苦情がきて
大家が文句が言うのだけれど、男は仕事だから、あり得ないといった。

そして、その夜も仕事があるから、男は普段通り家を出た。

大家も男の話を聞いて、まさか泥棒とか?とか思って
少し心配して、その日はアパートの部屋に泊まった。

すると夜中、確かに男の部屋はなんか騒がしかった。
そんで、その部屋に行って、中に誰かいますか―というと急に静かになった。

でも、大家は部屋の中からこちらの様子をうかがう気配を感じたらしい。

大家は、部屋の合鍵を使って、部屋のドアを開けてなかの様子を見てみた
すると、ふしぎなことに、部屋の中には誰もいなかった。

大家は怖くなって、この話を男にした。
男と大家はよくある陳腐な話だけど、部屋にカメラを置いた。

そんでいつもうるさくなる時間帯にタイマーを設置して
1時間録画することにした。

そして、やっぱり、そのひも家は少しうるさくなって
次のひ、カメラを見ると、誰もいない部屋の中で、ただひたすら物音がするのが
聞こえるだけだった。
もちろん、ものも何も動かない。
大家はいくつかのアパートを経営していたので

結構こういう住宅のトラブルというかなんというか風水とかそういうのに
少しつてがあって。大家は用事があってこれなかったから、その日は男一人で
うちに相談にきたとのこと。

まぁ、まずはそのビデオを見せてもらったんだけど。
俺は霊感がないから黙ってて、先生はうーんとか、なるほどーとかなんか
ヤバそうな貫禄をだしてて

でも、この人も多分何も分かってないなーと俺は培った長年経験で察した。

そんでどうでしょうか?と男が聞いてくると。先生はとりあえず、うちのものを
行かせて、様子を見させます。といった。

この段階で、先生はぼろアパートの住人とその大家という組み合わせで関わる
気力を無くしたんだと思う。あんまりお金にならないだろうしね。

そんで、初めて、俺に一人で行って来い。今のお前なら一人でも充分だろと言ってきた。
俺は初めての一人仕事だったから少し緊張した。
こういうのはよくある系の多分実害のすくない軽い仕事だから
特に怖くはなかった。

相手はもし妖怪だとしたら、たぶん「イルス」とかそういう系統のものだとおもった。
イルスってのはまぁ、感じにすれば居留守で

有名どころだと、アズキ洗いとかもこれの一種だ。
まぁ、とりあえず、もしかしたら、幽霊とかのうせいもあるから
少し慎重にことを運ぶことにした。

そのアパートにつくと、部屋の中は狭い7畳くらいで、フローリングだった。
なのでとりあえず、その部屋に小麦粉と塩あと、古いお米類を混ぜたものを
地面にバーと薄く、まんべんなく広げた。

かなり前に書いたと思うけど。幽霊と妖怪の違いって何かというと
幽霊はあくまで精神的な作用をもたらせるけど
妖怪は物理的にも作用をもたらせる。

なんでこの小麦+いろいろとか(詳しく配合は企業秘密)を地面に撒くと
もし妖怪なら、足跡が残るんだよ。
幽霊は残さないけどね。

だから、幽霊は足がないとか、いう話がよくある
そんで、また夜、男は友人の家に泊めてもらって。
部屋ではビデオカメラをまわした。
床には例に粉をばらまいてね

そして、後で確認すると、カメラには特に何も映ってなくて
でも、床のほうには何か紐を引きずったような薄い跡があった。

イルスは、部屋に人がいないときに物音を出すやつに対する総称で
それ自体色々あるんだけど
追い出すこと自体そこまで難しいことではないというか
昔なら、みんなやっていることなんだけど。

俺はそこで深刻な顔をして、とりあえず、お祓いをしておきます
とか言いながら、お札やらなんやら取り出して、それっぽいことをした後に
今日、一晩ここに泊って様子を見ると男と大家にいった。
夜中、俺は電気を消して、部屋の窓をあけた。
そんで、玄関の入口のほうに蝋燭を一本だけ立てて

玄関のほうから、部屋の奥に向かって

豆をまいた。

福はうちー、鬼はそとー的なあれ。
ただ、もちろん一般的に撒くあの豆ではなく、あの豆をさらに自分のおしっこに
一晩漬けて、そんで乾燥させたやつ。

そして、「出て行きなされ、出て行きなされ、ここよりもっと住み心地のいい家
はたくさんあるぞ、こんなより、もっといいお家に行きなさい。そして、そこでいたずらしなさい
そうすれば、また豆を上げに行くよ」と。詩を歌う。

そして、最後に窓を閉めて、蝋燭を吹き消す。これでおわり。

まぁ、なぜもっといい家に行ってもらうかというと
そっちのほうが、駆除しに行ったときにたくさんお金がもらえるからである。
そして、また追い払っては豆をやって、っていう相手側にとっても自分側にとっても
美味しいビジネスなんだ。
昔先生にきかれたことなんだけど
人間でもっとく強い欲求ってなんだと思う?
食欲睡眠欲生存欲とか色々あるけど、大抵は理性で抑えることだ出来る
食欲とかは、断食して死ぬ人もいるし、睡眠欲も、死ぬまでに寝ないことができるひとがいる
生存欲ですら、最終的には自殺する人も出てくる。

性欲はオナ禁出来る人もいるんだから、これも何とかなる。

なら最終的に何が最大の欲求かというと知識欲だよ。

何かについて考えることだけは絶対に抑えられない。
抑えようと思えば思うほど、脳にこびりつく。

昔の人たちは、分からないことだらけで、そのわからないことに恐怖した
夜、われわれ現代人でもカーテンを閉めるんだけど

それはもちろんプライバシーとかもあるけど、人間ってのは闇が怖いんだよ
今だと特に理由がないのかもしれない。
それでも、怖いという感情は抑えることなんかできない。
頭の中ではぐるぐると闇の中に何がいるのか、と考えてしまう。

俺が言うのもあれだけど
もしかしたら、妖怪とか幽霊とかはこういう形のない恐怖に無理やり形を与えて
無理やり知ることによって、自分たちの中のこういう恐怖について考える欲求を
抑えたんじゃないかな?
だから、人より少し物音に敏感とか、そういう人たちが
自分たちのそういうわけのわからないことに対して蓋をしようとして

いつの間にか幻想をみて
それで納得するように精神がおかしくなるのも十分にありえるとおもう。

でも、そういう人たちにとって、確かに妖怪はいるんだよ。

自分の心の中の恐怖の中に。

もしかしたら、俺の仕事も、妖怪を退治してるんじゃなくて、精神病医だったのかもwww

投稿者: たかお

毎度、お世話になってます。店主です。