サクセスストーリに気をつけろ

2011/11/20 日曜日

サクセスストーリに気をつけろ

サクセスストーリに潜む罠

願望を整理し、肯定し、新たな習慣とすることで、あなたの人生は思っている方向に少しずつ変化していきます。つらいことがあっても建設的な方向に向かいます。
このちょっとした考え方のコツは、ビジネス界で幅をきかせている努力と合理性一辺倒でもなく、精神世界、占い、オカルト界で幅をきかせている現実逃避でもありません。もちろん、特定の宗教や超能力者など他に依存するものでもありません。あなたや私の人生の主人公はどこまでいっても、あなたや私でなければならないはずです。
「努力をすれば他人より成果がでる」という考え方は、全員が同じ条件の田畑をもち、耕作するような、世の中が秩序だっており階層が決まっているときにしか通用しないのではないでしょうか。

現在は、知恵を使い努力もし、自分で条件を作り出していかねばならない厳しい時代だと思います。努力についての話はビジネス書が多くでていますし、仕事によって大きく異なると思うので私が書くべきことではないように思います。

巷のサクセスストーリのウソ

とはいえ、願望達成と同じくらいに、サクセスする、という本はたくさんあります。 確かにサクセスストーリーは読んで聞いて楽しいものです。そして多くの人が口にこそださないけれど「俺も」と思えるように書かれています。でも、書いていないことで結果的に嘘となっている大事なことが2つあります。

ひとつは、サクセスストーリーを追いかけてばかりいると、身を誤るということです。すでに経営雑誌など(ハーバード・ビジネス・レビュー2005/7)などに論文が掲載され、一部の間でも有名な「失敗学」にまでなっています。
たとえば、「コアビジネスにフォーカスすることが成功の大きな要因だ」という考え方があります。アウトソーシングを使う言い訳にも使われているし、一部でも熱狂的なファンがいます。しかし、HBRの「選択バイアスの罠」によれば、選択と集中をしていたにもかかわらず倒産した企業をふくめて検討すると、たいした意味はない、というのです。似たような話は、MBAです。MBAのコースで教えられているケーススタディ至上主義も成功例ばかりを演習するため、現実に対応できない人間を量産するだけだという反省が最近はあります。誰もがやってうまくいくサクセスストーリーの王道なんてないのです。逆にどんなことやってもサクセスできる可能性はころがっています。よくいわれるアメリカの黄金狂時代。多くの人が帆布も鉱山もみていた。ただ、リーバイ・ストラウスだけが、それでズボンを作った、ということです。

もうひとつは、心がけだけで成功はしない、ということです。多くのサクセスストーリはビジネスの肝心要の「どうやって金儲けのネタを見つけ、育て、他人にマネされないように防波堤を築いたか」ということには、ほとんど言及されていません。確かに人により違うケースバイケースでしょう。だからといって、忘れていいことではありません。車の片輪くらいに重要です。心がけがあなたの思うことと正反対でも成功している人はいるのです。

さらにむつかしいのは、その金儲けのネタ(ビジネス・モデル)にゴールはなく、一時的なものに過ぎないということです。サクセスストーリーはそこで終わるから「そして、幸せに暮らしましたとさ。」とみんな思い込んでいます。
でも、現実は続いていきます。繊維、鉄鋼、造船、ダイエー、証券、銀行。。。永遠なものはなにひとつとしてありません。ブックオフなどの古本屋に行けば、古い時代に成功した企業の「なぜ成功しているか!」というサクセス・ストーリの残骸の本がいくらでも見つかります。
華やかなサクセスストーリから目を離したときにはなにが残るのでしょうか。いい時も悪い時もある中で、ただ変化に対応することです。進化論でも「ただ変化したものだけが生き残った」といわれています。