洗脳
洗脳
このページはMind Craftでダントツに参照の多いページです。
’96/11/21のニュース番組で(すみません番組名が不明です)ヤマギシズムの洗脳「特講」にディレクターが潜入取材したというなかなか、見られないのをやってました。おとといからの続きもののようでした。
例によって洗脳のプロセスは、
- 感情的な反応に「なぜ、なぜ」をつきつけまくる。
- こういう質問をされ続けると、必ず、答えは抽象的なものになる。
- そこをまだ、「なぜ、なぜ」とやると、頭が空白になる。(時間をわからなくし、えんえんとやる)
- すがりつける答え(主催者の意図に他ならない)を提示する。
- サクラのひとりがすがりつく。
- どっとみんながすがりつく。
と書けば、アホらしい、自分がしっかりしてればひっかからない、と読んでるあなたは思うでしょう。テレビのディレクターもそうだったし、企業の洗脳研修をいくつか受けたことのある私もそうだけど、「抵抗できませんって」経験すればわかります。
洗脳はまず、「解凍」という従来の価値観を崩壊させるところから始まります。今までの行き方とか仕事の仕方とかについて、徹底した自己否定をさせるのです。次に、「注入」と言われる新しい価値観にすがりつかせるのです。最後に「定着」といわれるフォローが必要です。
どうやらヤマギシズムでは「定着」が甘いようです。これをやらない場合、テレビの取材に応じていた精神科医の診断では、「3週間で解ける」そうです。
極端だったのが、オ○ム真理教の洗脳。
- 麻薬を与える
- 殺人や死体がバンバンでてくるビデオをひたすら見せる
- 赤い光の部屋に放置
- 信者は完全にバッドトリップし、最大の恐怖におののく
- そこに教祖が救い主であらわれる
次に自己啓発セミナー
- 徹底的に批判する。抵抗する人には「抵抗すればするほど、私のいうとおりになっていくんですよ。」と断言し反応を引き出していく。
- 自我の崩壊した「私はどうすればいいんだ?」状態にもっていく
- 親のありがたみ、周囲のありがたみといった否定できないものと共に。。。
- イベント(勧誘)などで「仲間」にする
やられたら、そりゃいちころでしょうね。
このテのことをやる「教室」ってのもあちこちで使われています。際立った特徴があります。
- 時間の感覚をとりさるため、窓がない。
- 音楽の力をフルに使うため、異様にCD,カセットが準備されている。
- 集中させるため、人数と空間を比べると狭い。だいたい椅子だけ。
こういう「教室」に連れ込まれたら、「!」と思ったほうがいいです。「洗脳されたい」と思っているのでなければ、なんとか出るようにしましょう。
「俺は私はそんなヘンなところに行かないから大丈夫」と思ってるあなた。こういう話はご存知ですか?
実は企業人事の世界で知る人ぞ知る「暗黒の80年代」という時期がありました。私は被害者の一人だったかも知れません。いろんなカタログ雑誌で有名なR社、富士山のふもとで合宿するT社などの手法がいろんな大手企業で大流行したことがあります。私は偶然にも大学生のときモルモットでR社の教育パッケージを経験し、最初に入社した会社がその手法の研修を行っていたんです。寝かせない、洗脳するという手法を。
つまり、あなたもいつ突然、そういう「研修」を受けさせられるかわからないのです。もっとも「暗黒の80年代」がすたれた理由は、一見効果的な洗脳研修も定期的にフォローし続けていかないとその場限りであることがわかってきたからです。
今ではリストラしたい人に対して行っている企業もあると聞きます。
さて、教室のみならず、洗脳は商売をする上では、次の7つの手口で行われるといわれています。
信頼
人は生活する上ですべてのものに対して思考力を働かせているわけではない。決まりきったと思われるものに対しては機械的な反応ですませてしまう。喫茶店で出されるコーヒーに毒が入っているかどうか、など考えることはしない。
ところが毒入りコーヒーなどを出す(に等しいこと)、価値観を崩壊させて新しい信頼を「埋め込む」というような手口で洗脳される。
お返し
「今まで決してラクな道を歩んでいませんね。もう大丈夫ですよ。」と徹底的に親切にされると人は自分も相手に対して親切にしようとする。そういう相手が頼むことを2度、3度断り続けるのは相当にしんどい。
一貫性
「行動」「考え」「気持ち」というのは一貫しているべきだと人はなんとなく思っている。高価な健康食品を購入し、摂取すると、当然元気になるべきだと思い、元気になった気がしてくる。対価以上の効果があったと思い、他人に勧めるようになる。ここで重要なことは「お金を使わせる」ことである。
社会的証明
人は目の前で集団の行動を見せられるとそれに逆らって動くのは難しい。閉ざされた環境で集団で「すばらしい」といっているものに、反抗的態度を表明することは困難であり、暗黙のうちに賛成させられてしまう。
好意の連想
テレビで通信販売する商品をタレントが出てきて褒めちぎると、なんだか親しみのあるいいモノのように思えてくる。タレントへの好意を商品に投影しているのだ。
権威
同様にある権威者と懇意であるような関係を見せつけると、その人まで権威があるように思ってしまう。テレビに出演しているというのも同様の効果をもたらす。この作用は強力で、社長秘書が社長のように威張るのは珍しくないことだ。だからいろんな人が偉い人との写真を飾りたがる。
希少性
「先着50名」「在庫限り、こんどはいつ入庫するかわかりません」という希少性を知ると、必要ないものまで「今すぐ」確保しておかねば、と考えてしまう。
広義にいえば、主張,意見の交換はすべて洗脳しあっているといえるのかも知れません。しかし、洗脳は論理以外の心理的要素により、あなたの選択の自主性を奪うという点で話し合いと大きく違います。
これらの基本的手法と応用は「影響力の武器」という本に解説されています。
こうやって全体を俯瞰してみると、洗脳するのは相手を選べば、そんなに難しいことではないということがわかります。
たとえば、考えるのが嫌いな若者や年寄りは、一度、おいしい思いをさせれば、どんな変なことでもやりますね。それが、過酷なノルマの仕事やワケのわからん投資話にひっかかる要因でしょう。
出世欲に取り付かれた人間がMBAやらの資格取得に目の色を変えるのも、一見まともに見えますが本質は洗脳でしょう。子供を寄付金で入学させようと詐欺にひっかかる親もいますね。どんなに汚いことをやっている企業でも社長というともてはやす人がいるのも権威により自らを洗脳しています。
そう、洗脳しやすいタイプとは、「自らの本質を考えず、その人の周囲の価値観が正しいとすでに洗脳されている人」なのです。