サブミリナル

サブミリナル効果

サブリミナル効果、訳すと「潜在意識への刷り込み」とでもいうべきだろうか。CDには音楽がながれ、潜在意識でしかとらえられない暗示が吹き込まれている、という。サブリミナルが有効である根拠として持ち出される例は、次のエピソードだ。

アメリカのニュージャージの映画館で、映画の上映されているスクリーンに、「コーラを飲め」とか「ポップコーンを食べろ」という文字を一瞬、観客に見せた。その結果、映画館のコーラもポップコーンもあきらかに売り上げが増えた。

実験した広告業者ジェイムス・ヴィカリーが、広告雑誌で「あの実験は観客をふやすための作り話だった」と告白したということは新聞にも掲載されたが、サブリミナルCDを販売する業者には、知らん顔をされている。サブリミナルテープの「人前であがらない」テープを「不眠がなおる」と間違えて聞いていて「効いた、効いた」といっていたという話も身近にあった。

1980年代にウィルソン・ブライアン・キーという学者が「あらゆる広告物にはsexとかfuckとか過激な言葉がすぐには見えないように刷り込まれていてサブミリナルに訴えかけている」という本を出した。本ではちょっとした布のしわが実はsexという文字をあらわしているなどということが延々と書かれていた。また、女性に見えるモデルが実は男性で、そういうアンバランスでサブミリナルに訴えるともあった。こういう認識できないものをサブミリナルは認識する、ということは疑わしいと思う。そんなこといってたら満員電車や居酒屋の会話を横で聞くともなしに聞いたら我々はなにか刷り込まれるのだろうか?
しかし、こういう実験結果をテレビで見たことがある。赤いワンピースを着た女性が何も知らない被験者の男性ににこやかに微笑みかけ「あなたのこと好きよ」という。
翌日、被験者に赤、黄、青、緑などのカードからラッキーカラーのカードを取れ、というと圧倒的多数が赤を取る、こういう「以前受けた刺激が後の処理に効果を及ぼす」ことはプライミング効果として知られる。住宅の広告などで住宅そのものの機能にはほとんど触れずに、美しいモデルが海辺で楽しげにしているところを宣伝するのもプライミング効果を狙っているのだろう。
本人が意図しないものへ学習効果については、一定の効果がみられたという論文(Nature 413号, 844 – 848ページ (2001年)は時々みかける。

あのディスカバリーチャンネルの「怪しい伝説(Myth Busters)」でも乗り物酔い止め、瞳がグリーンにかわる、蜂が怖くなくなる、というものをサブミリナルテープを聞くことで効果をあげられるかやっていたが、まったく効果はなかった。

2008年6月1日の朝日新聞「Be On Sunday」の2面によれば

東大大学院医学系研究科の坂井克之准教授によると、イスラエルのグループが最近、こんな研究を発表した。
研究協力社に分からないよう、イスラエル国旗を一瞬表示した映像を見せ、パレスチナ問題など政策について質問した。するとタカ派だった人とハト派だった人の意見の相違が縮まったという。「国旗によって無意識のうちに一体感が増したと論じられています」と坂井さん。

感覚器官が捉えた情報を脳はすべて処理はしていない。どんどん捨てている。そうしないと処理が間に合うわけがない。ほんの少し違う写真を何枚か見せても違いに気づかないのは、そういうわけだ。
その気づいていない信号処理に介入すると、なにか認識がかわるかも知れないというのがサブミリナルについての理屈である。
理屈と書いたのは、今までいろんな例を見てきてわかるとおり、現時点ではその介入方法が確立しているとは言いがたいからだ。

(2017年7月追記)

「しらずしらず」(レナード・ムロディナウ著)の日本語版55ページに心理学者が発見した重要な手法についての記載がある。引用する。

2005年、カルテックでアントニオ・欄ゲルの同僚であるクリストフ・コッホとその共同研修者が、健常な被験者の無意識の□を探るための新し強力な方法を考え出す。

(中略)

コッホのグループの発見した手法では「視野闘争」と呼ばれる視覚現象を利用する。適切な条件下で、ある映像を左目に、別の映像を右目に同時に見せられると、その両方を何らかの重なりあった形で見ることはなく、一方の映像だけが知覚される。そして、しばらくするともう一方の映像が見栄、その後再び最初の映像が見えるというように、ふたつの映像が再現なく切り替わる。

しかしコッホのグループは、片方の目に変化する映像を、もう片方の目に静止した映像を見せられると、変化する映像のほうだけが見栄、静止した映像はけっして見えないことを発見した。つまり、右目に、学級をしている二匹の猿のビデオを、左目に100ドル札の写真を見せられるとひだr見えはその写真のデータを記録して脳に伝えているにもかかわらず、本院はその写真に気づかない。

これとて感覚器官の目が認識する程度には見せなければ話しにならない。
しばしば感覚器官が写真やレコーダーのように正確に記憶しているという記述を見かけるが、この本を読めばそんな幻想は完全に打ち砕かれるだろう。

製品

巷の製品はあまりに単純で潜在意識に介入しているとは、ちょっと言い難い。が未来に渡ってサブミリナル製品に期待がもてないともいえない。

現時点では、「サブリミナルテープはどうやって作っているのか」について簡単に記しておく。

製作方法は、繰り返した暗示の言葉を圧縮、つまり早まわしして聞こえないくらいの周波数にする。その上に穏やかな曲をかぶせる。自作する場合は、小さな声で暗示の言葉を同時に吹き込んでもよい。暗示の言葉のポイントとしては性的な単語を取り入れることで潜在意識の注意を引くことと、目的の内容を過去形にするということだそうだ。

プライミングを利用するには、まず、なにかについて「快」であると認識させるが、その時に「タグ」を刷り込む。たとえば美人とデートさせて赤い服を着せるようなものだ。その後、なにかを選ばせる時に赤を見せる。サンプルを配って商品を売るというのもこれかも知れない。巷ではよく見ると使われている方法だ。

投稿者: たかお

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