近赤外線カメラ

2014/10/25 土曜日

 新しい発見をする試み

患者さんの発言は主観でどうとでも変わりますし、患者さんが数が多くなってくると、データを保存しなければワケがわかりません。

pdcaMind Craftでも、なんとか測定器を作り出したいとさまざまな試作を行ってきました。
治療結果の差はわかるのですが、わかりやすさには欠けていました。

今回、試みた測定器は、近赤外線を利用したものです。(遠赤外線やサーモカメラとは違います)
サーモカメラが高価なために、近似的な方法が取れないかの試みです。

irfield

近赤外線で撮影した写真はあまり見たことがないと思います。いったいなにを撮影しているのでしょうか?基本的には水分の変化を撮影していると思ってください。(そのほか、皮膚をとおして血管なども写ります)

参考文献はここ

キルリアン写真も実は水分の放出を捕らえています。活性化した細胞が新陳代謝が盛んになることはよく知られています。

同時に画像に色をつけるとはどういうことかについて考察します。であくまでも相対的なものです。

それでも左の写真でわかるとおり、普通とは違うものが写っています。

撮影

USB接続の安価なウェブカメラを用意します。(カメラの説明書どおりにソフトを導入して、接続してください。)

本当はカメラには赤外線をカットするフィルターが入っているので、のけたほうがいいのです。
以前、Mind Craftではフィルターを除去した改造カメラを売っていましたが、ちょっと試すならばあっても映りますので。

次に、カメラから静止画を記録するソフトウェア、BTSCANを導入します。ベクターからダウンロードします。(取った写真をパソコンにJPEGで保管しておいてもいいですよ。)

カラーリングプログラムはここのrfm001.jarをダウンロードしてください。

これは、Javaで書かれています。もし、Javaが導入されていない場合、
こちらから
システムにあわせた環境を導入してください。

まだ、Windowsでしか動作を確認しておりません。

rfmの使い方は、簡単です。

 

menu1メニューでOpenを選ぶと、ファイル選択ダイアログが出ます。そこからJpegファイルを選んでください。もしくは、ウィンドウにJpegファイルをドラッグ・ドロップしてもいいです。

menu2保管する場合は、メニューからSaveを選んで保管してください。

スライダーは2箇所にあります。画面の下のほうにあるスライダーから説明します。

黒いスライダー初期値は0です。白いスライダーは255です。

赤外線写真の部分部分の明るさは0(最も暗い)から、255(最も明るい)までで表現されています。黒のスライダーは右にずらすと、暗いところを黒く塗りつぶし、色をつける対象からはずしていきます。白のスライダーは左にずらすと、明るいところを白く塗りつぶし、色をつける対象からはずしていきます。操作してみれば、すぐ意味はわかります。

このスライダーで暗すぎる部分、明るすぎる分を取り除くことができます。色の配色は黒、白をのけた範囲で適用されます。

画面の左側の縦のスライダーが画面を拡大、縮小します。処理能力の低いパソコンや、画面の狭いパソコンを使う場合は便利でしょう。しかし、ファイルを保管する時、表示されたままの大きさで保管されます。色調を決め、保管する時は一般的には100%にしておくことをお勧めします。

色の段階

色の階調についてサンプルを示します。
Java Appletですが、ttcaで使われているものと同じ発色オブジェクトを使っています。色が段階的に並んでいることがわかると思います。

128色

 

 

64色

 

 

32色

 

16色

 

8色

 

 

色について、少しだけ説明します

人間の目には赤 (R)・緑 (G)・青 (B) の3種類の視神経 (錐体) があります。そのため、赤、緑、青の組み合わせでさまざまな色を見分けることが出来ます。

生物としては、RGBは万能ではありません。犬や牛は明暗しか感じることができない一方で、蝶は紫外線を見ることが出来るようです。
色の三原色は人類に通用するものですが、性別によっても見え方は違います。女性は赤に敏感に反応します。
絶対的なものではないことを覚えておいてください。

この図はRGBのをまぜあわせたらどうなるかを示しています。

 

AdditiveColorMixing

光の場合は、このように色をまぜていくと「白」になります。コンピュータやテレビのディスプレイは発色しますから、こういうRGBの強弱による配合で色を表示します。

一方、印刷物のように光を反射して目に入る色の場合はまったく違ったことになります。
赤、緑、青の捕色である、シアン(cyan)、マゼンダ(magendta)、イエロー(yellow)を組み合わせたCMYという表現方法となります。写真の色をレタッチする場合に使われます。

RGBとCMYは補色の関係にあります.捕色とは、白色光から特定の色を取り去ったら見える色です。

次のような関係となります。

黄緑
青緑
紫赤
緑青
青緑
紫赤

CMYの重なりあわせは次のようになります。

SubtractiveColorMixing2

光の反射、通常見る色と、光の放射、は逆だということをご理解ください。
端的にいえば、体に赤を放射すれば赤いエネルギーですが、体に赤を塗れば、赤エネルギーを防いでいることになります。

色の温度

多くのカラーチャートが、RGBもしくはCMYの色の強弱により示されています。しかし、これらは我々人間の感性からずいぶんとかけはなれています。我々が連続した色というと虹のような次のような色の並びを考えるはずです。

Spectrum4websiteEval
このような色の並べ方(色空間といいます)をHSVモデルといいます。色相(Hue)、彩度(Saturation.Chroma)、明度(Brightness.Lightness/value)の三つの要素の総称です。HSVとRGB,CMYの間には直接の関係はありません。決してシンプルとはいえない計算で、変換します。

Hsv_sample
rfmソフトでは、最大256色を利用しますから彩度、明度は1のもっとも明るい状態における色相から色を選んでいます。

デジタルカメラ

多くのデジタルカメラには、CCD(Charge Coupled Device) という素子で光を電気信号にかえます。このCCDは 300nmから800nmと、かなり赤外線の領域までの感度をもっています。以下は波長と通常の関係です。

波長 通称 周波数
~10 -14 meters ガンマ放射線 ~10 22
~10 -9 meters (nanometer) X線 ~10 17
~10 -7 meters 紫外線 ~10 15
~10 -6 meters 可視光線 ~10 14
~10 -5 meters 赤外線 ~10 13
~10 -2 meter (centimeter) 短波ラジオ ~10 10
~1 meter TV やFMラジオ ~10 8
~10 2 meters AMラジオ ~10 6 (megahertz)
~10 6 meters 長波 (潜水艦などの通信用) ~10 2

デジカメが赤外線に敏感であることは、極めて簡単に確認できます。テレビのリモコンなどについている赤外線リモコンをデジタルカメラごしに眺めてみてください。白く光っていることを発見できると思います。通常は、あまり赤外線で予想外の写り方をしないように赤外線をカットするフィルターをCCDの前に入れてあります。

そのフィルターをとりはずし、可視光線をカットするフィルターを入れるとどうなるでしょうか?そうです。赤外線しか写らないカメラになるのです。(そういうフィルターは市販されています。HOYA R72が好ましいようです。)

近赤外線写真は白黒写真にきわめて似ています。しかし、違うところもあります。空は暗く、暗い緑の葉が明るく写ったりします。これは可視光線と赤外線の反射率の違いからおきるのです。とはいえ白から黒までのグレースケールで表示されています。

参考リンク

Infrared Photography with a Digital Camera
How to make a webcam work in infra red

赤外線について

光は高い周波数をもつ電磁波です。以下をご覧ください。

spectrum

このように、テレビ・ラジオの電波が周波数が高くなるとだんだんと光になり、目に見える光線となります。さらに、周波数が高くなると紫外線となり目に見えなくなります。
今回我々が扱う赤外線は以下のようなユニークな特徴をもっています。

  • 可視光に比べて波長が長いため散乱しにくい性質があります。
    そのため、煙や薄い布などを透過して向こう側の物体を撮影するために用いることができる。この特性により、盗撮などが行われています。
  • 光であるため、近赤外線の光源が必要。
    ただし赤外線は目に見えないため、赤外線の光源があれば、夜間などでも撮影することができる。この特性により、警備用のカメラなどに応用されています。
  • 可視光と比べてガラスに対する屈折率が小さい
    撮影の際には焦点距離を大きく取る必要があります。

人体を赤外線写真で撮影すると、条件をあわせると血管を撮影できたりもします。
これは、赤外線が皮膚数ミリメートルまで浸透し、反射すること。また、血液は周囲の組織よりも温度が高く、赤外線の光源を反射しやすいからだと考えられます。このような特性を応用し、脳の動きを見る機材も研究されています。

一方で、必ずしも熱にだけ反応するわけではない点も注意が必要です。たとえば、植物の葉は赤外線をよく反射します。(ウッド効果)しかし、温度が高いわけではないことは明らかです。

代替医療においてはリラクゼーションが治癒に役立つことは広く知られています。人体はリラックスすると血管が拡張し、血行はよくなります。これは赤外線カメラで撮影可能です。このカメラは、変化をわかりやすくするためにカラーリングを施します。

似た写真を撮影する機器として、サーモグラフィーという装置があります。これは熱源から発する遠赤外線を直接測定するものです。そのため、温度が同じなら同じに移るので解像度が悪い、装置自身が熱をもつと使えなくなる、といった欠点があります。しかし、遠方から検査できるため産業ではよく使われています。

今後、サーモグラフィについてはさらに研究していきたいと思っています。

参考サイト:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E5%A4%96%E7%B7%9A
赤外線- WikiPedia

代替療法

Posted by たかお